「過去イチ、でました」キングダム 大将軍の帰還 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
過去イチ、でました
過去、シリーズ3作を劇場で観てきて、正直なところ「2」「3」は酷い作品だと思っている私だが、悪口を書くためにわざわざチケットを買って劇場に足を運んでいるワケではない。当然それなりの期待をしている。
そして本作。
ひとまずシリーズもこれで一区切りということらしい。
連休の映画館は朝イチからほぼ満席。
素晴らしい。
以前は、休日で満席の劇場は「しゃべるヤツ」「電話鳴らすヤツ・光らすヤツ」「大幅に遅刻してくるヤツ」がいたものだが、最近の映画館ってその辺りのマナーがすごく良くなってきた気がする。
素晴らしい。
で、前作までのおさらい後に本編スタート。
信が馬陽戦で馮忌(フウキ)の首を獲った後、その夜営地を龐煖(ホウケン)が襲うシーンから。
なかなか迫力のあるアクションシーンが終わると、ここからがお涙シーン。
「さっそくかい!」と思っていると、これがもう長い長い長い!
ただ、ここを抜けるとあとは戦場メインの流れに入っていく。
咸陽で語られる過去や現在の周辺情報と、高台から見守る李牧の戦略話を平行しながら(これはこれで長いのだが…)、戦場でのぶつかり合いが描かれる。
前作は「戦略と戦術」のお話だったが、今回は全体に「因縁と力」のお話。
やはり特に王騎よね。
今回はほぼ主役で繰り広げられる、龐煖との一騎討ち。
私には、シリーズの前作3本は今回のシーンのための単なるイントロダクションだったのではないかと思えてしょうがない。、
剣ではなく長い矛を使うヒーローが二人で戦うというのも珍しいし、実力が拮抗する二人が馬上と地上を舞台にして、その剣術と格闘どちらも堪能できる。
矛の「音」も工夫が凝らされていて、いろんな意味でこれはお買い得である。
あと、その周辺として「単騎」「隊」含め、騎馬を使ったシーンも多かったが、これもかなり工夫されていて、カッコ良かった。
エンドロールみたら、やはり馬関連のスタッフさんがたくさん加わっていた様子。見事なデキだったし素人ながら大変だったろうと思う。
騰(トウ)の「ファルファルファル…」も見れたし、かなり満足度は高め。
新木優子の「摎(キョウ)」はさすがに浮いてる気がするけどね。武将としては線が細すぎる。
前作まで私はずっと劇場版の信について「どうしてもバカにしか見えないのに、百人将として慕われる意味が分からない」とレビューしてきたんだけど、この後、王騎の信託を得て信が配下の兵士たちに支持されていくということなら納得できる。
シリーズの中では圧倒的に一番面白かった。
ただ、映画としてはシリーズ通してエモーショナルなシーンの使い方(まず、長い!)と、キャスティングはずっとノイズになってる。
「シリーズの中では」ダントツに面白いです。
ぜひ劇場で。