劇場公開日 2024年7月12日

「このシリーズは大沢たかおに救われた!」キングダム 大将軍の帰還 ケンイチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0このシリーズは大沢たかおに救われた!

2024年7月13日
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鑑賞方法:映画館

この映画シリーズが凄まじく好きな友人がおります

その友人は普段、映画など見ませんし、ドラマもそれほど熱心に見る訳ではありません
マンガも読みませんから、当然この映画の原作も未読ですし、おそらく今後も読まないと思います
中国の歴史にも疎く、秦の始皇帝すら知りません

誰か芸能人が好きとかそういうタイプでもないので、おそらくこのシリーズのキャストも知らない人が沢山いると思います

長澤まさみや吉川晃司、高嶋政伸なら知ってると思いますが、山﨑賢人や吉沢亮のことを知っているかは怪しいところ

しかしなぜかこの映画シリーズだけは異様な熱量で鑑賞するのです

面白いものでその友人には、同じようにこのシリーズだけメチャクチャ楽しみにしている幼馴染がおり、TV放送されるときなどは2人で鑑賞会を催すらしいです

2人は幼馴染とはいえ、それぞれすでに家庭のある大人ですから、普段それほど親密にしている訳ではないのですが、ことキングダムの映画に関してだけは話が別なのです

むしろ今や、ほぼキングダムだけで繋がる間柄と言って良いでしょう

何が言いたいかというと、このシリーズには理屈で説明できない魅力が宿っているようです

私はその友人に非常に強く勧められてこのシリーズを見ましたよ

私も原作マンガは読んだことありません
中国の歴史は、まあ最低限わかります
秦の始皇帝は知ってるし、春秋戦国時代の故事が「馬鹿」とか「阿保」とか「性善説・性悪説」とか「酒池肉林」とか諸々の元ネタであることは知ってます

個人的な感想として、1作目と2作目はまあ酷かった…

お芝居が「仮面ライダー」にしか見えなかった…
(そういう感想を聞いたことがないのですが、一度見てみて下さい。仮面ライダーにしか見えませんよ)

何度も何度も何度も寝落ちして、何が何だかわからなかったけど、まあ要するに秦の始皇帝が中国を統一するまでのストーリーなんだなというのは見当がつきました

春秋戦国、秦の中華統一、項羽と劉邦、漢帝国成立という流れは知っていますし、この時代を取り扱う作品は映画だけでなく小説や漫画でいくつも触れておりますから、ネタバレも何も、あらすじだけで充分だと感じました

「映画を早送りで観る人たち」の気持ちが理解できた気がしましたよ

強いて言えば、長澤まさみがシリアスなキャラクターでアクションに携わっているのは珍しいので、そのシーンは見てよかったかな?

あとはお金のかかったコスプレ映画だと思っていました

刮目したのは3作目です

大沢たかおが大御所オーラを纏いながらも、まるでオネエキャラのような物腰の、慇懃極まりない王騎将軍を怪演しているではないですか!

このシリーズが俄然面白くなってきました

そして本作

もう完全に「大沢たかお映画」でした
他のキャストもそれぞれ自分の役割を果たそうと頑張っているのでしょうが、大沢たかおだけが別の次元にいました
大沢たかおの王騎将軍だけでこのシリーズは救われました
大沢たかおが1人でこのシリーズの格を高めました

色んな意味でまさに「大将軍の帰還」でした

原作マンガを知らないのですが、原作でも王騎将軍はこんなに「主人公」なのですか?

推測ですが、大沢たかおの王齮将軍は原作のクオリティを超えているのでは?

「浜ちゃん」「のだめ」「剣心」に並ぶ原作超えクオリティの実写化演技なのではないかと推測しますよ

伊勢谷友介が抜けて、ぽっかりと空いた日本漫画映画界の穴を、まさか大沢たかおが埋め、さらに金字塔を建てるなんて予想もしなかった…

本作でこのシリーズは終了とのことですが、それはまったく正しい!

この映画シリーズの関係者は大沢たかおに足を向けて寝れないでしょう!

ケンイチ