「EDのアレは論外だが、チームの五輪までの距離感がわからないのがモヤってしまった」カーリングの神様 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
EDのアレは論外だが、チームの五輪までの距離感がわからないのがモヤってしまった
2024.11.11 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(99分、G)
最古のカーリング場がある町を舞台にした小学校時代のチームの再建を目指す高校生たちを描いた青春映画
監督は本木克英
脚本は谷本佳織
物語の舞台は、長野県北佐久郡の御代田町
かつて小学校時代にカーリングで優勝を果たした香澄(本田望結、幼少期:奈良澤祐佳)は、親友の舞(川口ゆうな、幼少期:平岡灯代莉)がチームを去って以来、気の抜けた青春を過ごしていた
ある日のこと、世界大会のエキジビジョンが御代田町で行われるという話が持ち上がり、その為にご当地チームを復活させることになった
香澄は、優芽(泉智奈津、幼少期:町田埜乃花と沙帆(白倉碧空、幼少期:佐藤彩海)に声をかける
そして、舞も声をかけることになったが、彼女は意にも介さず、仲良しチームよりは勝てるチームでプレイがしたいと断言するのである
映画は、この町に転校してきた実乃梨(長澤樹)が4人目として強引に加えられる中で、チーム強化の為に元日本代表候補の鈴木あゆみ(秋山ゆずき)にコーチをお願いする様子が描かれていく
あゆみは素人の実乃梨をサードに据えるならばと条件をつけるものの、サードは沙帆のポジションで、優芽は納得できないと抵抗する
それによって再び休止状態になるものの、足を引っ張っていると考えている実乃梨は自主練習を始めていく
そして、その指導にあたるのが、実乃梨の母・真紀(田中麗奈)が働いている老人ホームに入っているレジェンドこと小宮山進(柄本明)だったのである
と、よくある青春スポ根ものの王道展開を迎える本作だが、カーリングを全く知らなくても「なんとなくわかる」程度には説明されている
だが、映画から伝わらないのは「オリンピックへの道筋」であり、ライバルとなる軽井沢ECの日本代表への距離感と、みよステラとのレベルの差であろうか
エリートチームとは言え、どの規模の強さなのかわからず、長野代表レベルなのか、日本代表を争うほどなのかというところが読めない
劇中のアーカイブで登場するロコ・ソラーレは超有名なチームで、このチームとの距離感はどれぐらいだったのだろうか
カーリング自体のルールなどはわかるのだが、最終決戦となる試合の行く末によって、彼女たちがどのレベルに到達するのかというのが抜けていたのが問題だったように思えた
その辺りが見えないので、しきりに勝ちたいという舞の気持ちを担保することに繋がっておらず、単にわがままを言っているだけのように思えてしまう
映画は、このあたりの細かなところを抜きにしてもそこそこ楽しめると思うが、カーリングになぜ体幹トレーニングが必要なのかとか、酒瓶担いだり反復横跳びレベルで鍛えられるのかはわからない
アーカイブで登場するロコ・ソラーレのチームの投擲(ショット)の姿を見れば体幹の強さは一目瞭然で、有力選手の舞ですら結構震えていた
彼女のレベルを見せるのがこの体幹の強さとブレないショットだと思うのだが、さすがに短期間でそこまでのトレーニングは難しいのだろう
これらの細かな描写をきちんと描くことでチームのレベル差というものも見えてくるし、舞が軽井沢ECで孤立している背景も見えてくる
俳優さんにそこまでを求めるのは無理なのかもしれないが、そこにこだわってこそのスポーツ映画なのではないだろうか
いずれにせよ、これらの細かさなツッコミもEDのコンサート映像で全てが吹っ飛んでしまう映画だった
てっきりアイドルグループの誰かが主演級に登場しているのかと思いきや、唐突に挿入される香澄のクラスメイトと言うのはねじ込みにしか思えない
しかも、御代田町に全くゆかりのない瀬戸内海を中心に活動するグループのコンサート映像と言うのは映画を冒涜するレベルに近いと思う
映画を観ていた時は「長野県のご当地アイドルがタイアップしているのかな」と思っていたが、作詞はガッツリ例の人だし、ググったら縁もゆかりもなくてビックリした
同じ楽曲を使うにしても、みよステラと軽井沢ECの8人で歌った方がまだ心に響いたのではないだろうかとか、余計なことを考えてしまった
ファンの人には申し訳ないが、推している人からも困惑するタイアップだと思うので、足元見られない為にもファンとしての意地を示しても良いのではないだろうか