侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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時代劇Blues
遅ればせながら、噂を聞き劇場に馳せ参じ候。
以前、東野英治郎という名優がインタビューでこんなことを語られていたことを思い出しました。
「街並みも変わり、今は京都でも随分と奥に行かなければ時代劇も撮り辛くなった、こうして時代劇も廃れて行くのかも知れない」というようなことを仰られていました。確かに今時春の小川も原風景を撮影出来る場所も少ない、変わりにCGは発達しましたが、それは、まだどこか嘘臭く綺麗すぎて作りもの感があります。温もりのある時代劇は確かに難しくなりましたが、想像し制作している人たちの情熱は変わらない様です。そんな想いを強く感じる娯楽映画で、時代劇の先人方が映画創世記の先人方が御覧になられたら、どんな感想をもたれるだろうと、感慨に耽りながら映画館を後にしました。
駆け回る侍タイムスリーパーが活劇のようで嵐寛寿郎のように見える一瞬があり心躍りました。そのモノクロの世界のフィルムに時代という色彩を入れたようでした。
良い作品をつくるポイントを押さえた作品でした。
地元のミュージシャンの人とこれも地元の50代の音楽クリエーターの人の2人から面白い映画だったと聞いてイオンシネマ桂川の終映日に見ることができました。
自分の考える良い作品をつくるポイントを押さえたできだと思いました。
そのポイントとは
1.自分のよく知る分野(映画制作)についての作品
侍がタイムスリップして現代にやってくるのですが着いた仕事が時代劇の切られ役。撮影現場なんてどんどん出て来てドラマ、映画に対する思いなどはそのまんまの気持ちが語られているように感じました。蒲田行進曲を初めとして映画作りがテーマとなる映画作品はいいものが多いと思います。
2.売りのポイントがある作品
この作品の見せ場はなんといってもチャンバラシーン。最初からチャンバラが出て来て、ラストの見せ場もチャンバラシーン。しかも真剣を使って演技しようということになり...。実際は勝新太郎の息子(鴈龍)さんの起こした事故などもあり決して真剣の使用はおすすめできませんがハラハラドキドキさせてくれました。
3.地元密着性が強い作品
京都の太秦の撮影所が東映作品でないにも関わらず大いに協力されたようで、作品中の京都弁も効果的で京都愛を強く感じました。映画好きの人にはいうまでもありませんがこの分野でも良い作品が目白押しですね。京都自体は観光客があふれかえっていて少し風情が減じた感はありますが...
4.やさしい人が多く出てくる作品
タイムスリップして来た主人公は作品中では頭を打ったための記憶喪失の人という扱いになっていますが主人公をやさしく介抱したり住むところや仕事を提供する面倒見のいい親切な人たち。寅さん映画じゃないですがやさしい人が多くでる作品は見ていてほっこりします。
なんだかこうして振り返ってみると低予算でも良い作品が作れるお手本のような作品ですね。
感慨深い映画でした
「笑いあり、涙あり」の映画と言う評判は聞いていましたが、久しぶりに良い映画を観ました。
幕末には、手段こそ違えど、命をかけて真剣に日本の将来を考えて行動していた侍がいた事、そして今、特別な日でなくとも美味しいケーキを食べられるような平和な日常を過ごせる事に感慨深さを感じます。クライマックスは、ハラハラドキドキでした。
この映画を観る前に、今一度、幕末史を復習しておくと、より一層楽しめると思います。
稀に見る心地良い鑑賞体験
映画を観ながら堪えきれずに吹き出してしまう。そんな笑い声がそこかしこから聞こえてくる。客席全体が温かい空気に包まれる、とても良い鑑賞体験。主人公を演じた山口馬木也さんの分厚く大きく見える手が印象に残った。
現代の街中を武士が彷徨う風景の面白さ。幕末の延長にある現在のはずなのに、その隔たりの大きさをまざまざと見せつける。
困った人を助ける精神、白いご飯食べられる有り難さ、浅漬けの浸け具合が良かったと喜べる日常。忘れていたものを色々と思い出させてくれる。
郷里会津のその後を知り、殺陣でなく真剣での立ち会いを所望する高坂と、それを受ける風見。真剣を使うのはどうかとも思ったが、彼等のけじめを付けるにはどうしても必要な事だったんだなと思う。そこに監督の狂気が相まって繰り広げられる斬り合いの恐怖を感じるほどの迫力。本当に本身を使っていると感じさせるプロの技の凄さを見せつけられる。
お約束を丁寧に積み重ねてきたストーリー。最後のオチまで見事に決めて、誰かの温かい拍手とともに幕を閉じた。
…
子供の頃、祖父母と昼夜二本三本と観る事も多かった時代劇。悪代官と行ったらこの人、と言うような今でも顔を思い出す人も何人か。名前も知らぬその人達を見ながら、前の話で死んだはずの人が何故また斬られているんだろう、と子供心に思っていたことを懐かしく思い出す。撮影で真剣を使って事故が起きたというニュースを何度か聞いた記憶もある。そんな人たちの名前は何万回斬られた男、何万回死んだ男と冠されテレビや新聞で目にする訃報ばかり。何とも不義理をしてきてしまったものだと気付かされる。
あっぱれ!参りました!
本作レビューを高評価された皆様
誠にありがとうございます!
本当に観てよかったです。
男はつらいよでお馴染み
「滑る、落ちるは禁句」のくだりや
椿三十郎の様に長い“間“から始まる殺陣など
映画愛、時代劇愛に溢れた本作は
作り手の皆様の情熱がスクリーンから溢れてくるので
何故か涙でいっぱい、胸いっぱいの傑作です!
客寄せパンダ的キャストはいなくても
宣伝広告費やタイアップはなくとも
多くの人に観て欲しい作品ですねっ
低予算の限界も感じつつ
内容としてはよくあるタイムスリップ物ではあるんだけれど、よくある中でもあまり見た事のない切り口で切られ役を演じていくというのは面白いストーリーだった。
大きい配給会社が入っているわけではないのに時代劇の設定を取り入れるのは制作的には中々難しかったんだろうとも思う。衣装小道具にお金かかるだろうし。
ストーリーの中で大御所の俳優が時代劇に帰ってきて、とてもでかい作品を作るとなっているのに監督の見てるモニターの小ささや、出役のスタッフの規模の小ささやらが低予算映画の限界を現していた。
しかし主人公の俳優、めちゃくちゃいい役者ですね。
これがきっかけでカメラを止めるなの濱津のようにいろんな場所で見れるのを期待している。
「今日がその日ではない!」いいですね~
昭和一ケタ生まれの亡き父は時代劇が大好きでした。早朝、市場から帰ってくると午前中はどこも再放送の時代劇、選び放題!嬉しそうに焼酎を飲みながら鑑賞、そのあと、人とは違う時間帯に眠って夜に備える生活で時代劇が父の楽しみだった気がします。
古くは『遠山の金さん』しかも杉良太郎さんや高橋英樹さんではなく中村 梅之助さんの!『水戸黄門』『暴れん坊将軍』『必殺シリーズ』とにかく映画の中でも触れられている通り毎日どこかのチャンネルで時代劇を観られる時代でした。
子供心ながら「なんで最後は悪者がやっつけられるワンパターンが面白いんだろう?」って感じてましたが逆にその安心感が父は好きだったんだろうな~って当時の父の年代になって納得する今日この頃。でも実際有料チャンネルくらいでしか観られない現代に父が存命だったら悲しんでいるんだろうな~なんて感じています。
そんな反動からか時代物っていうカテゴリーから遠ざかってしまい大河ドラマも観ない傾向に!(大河ドラマを時代劇って言ってしまうと怒られそうですが!)
評判になる過程が『カメ止め』みたく、たくさんの観客を見込める作品中心のイオンシネマでは上映館を探してやっと見つけても1日1上映みたく、宝探し状態で今日まで観ることができてませんでした。でもやっと満を持して鑑賞!確かに面白い!よくできた作品です!!
冨家さんのお顔はかろうじてわかるもの名前が出てこない!他の役者さんたちはエンドロールを見てもピンとこないような次第で、やはりいい映画ではストーリーと脚本、役者さんたちも名前ではなく演技だと改めて実感します。でもタイムスリップするお話は結構ありがちで決して新しい題材ではないのですがうまくまとめられ131分という上映時間を長く感じる間もなくお話は進んでいきます。
ところどころで客席からも笑いが出るくだりもあり楽しく鑑賞できました。後半からエンディングにかけては主人公たちの心の葛藤に目頭を熱くしながら…
かつて旅行で太秦映画村に行ったとき切られ役の第一人者『福本清三さん』と記念写真を撮ってもらったことを懐かしく思い出しました。どこが素晴らしいとかいう訳ではありませんが全体として面白いいい映画だと思います。タイトルにも書いた「今日はその日ではない!」には思わず微笑んでしまいました。多くの映画館で上映し続けていただき、私みたいに時代劇を敬遠しがちな若い人たちにも観てほしい作品です!
タイトルなし(ネタバレ)
【貝塚ムービー(映画)シアター倶楽部】です!本日、2024年10月バトルが開催されました!バトル名は…【侍タイムスリッパー】…低予算のインディーズ映画の本作は、2024年8月17日に東京の池袋シネマ・ロサ1館で封切られたのち、口コミで話題となり、9月には全国50館以上の拡大上映が決定。10月現在は全国309館での上映も決まっているそうですね!本作が長編3本目となる安田監督は脚本・編集など1人で11役以上をこなしており、製作費2600万円は自腹だそうです!。安田監督は、車を売却したりして2,000万を自腹で支払い、残りの600万円は補助金でカバー。初号完成時、銀行口座の残高はわずか7,000円だったそうです。…本作は現代にタイムスリップした武士の姿を描く時代劇。落雷に打たれて現代の時代劇撮影所にタイムスリップした会津藩士が、剣の腕を生かして斬られ役で生計を立てる…というお話でしたね!。劇中では、新左衛門と恭一郎が斬り合うまで40秒近く無音状態が続くシーンがありましたね。安田監督曰く、これは黒澤明監督の名作『椿三十郎』のオマージュであるという。「あのシーンでは、黒澤監督の手腕をお借りしました。『椿三十郎』(の間)は41秒ぐらいだったと思うので、劇中では1秒短くさせていただきました。あれをスタート地点にしようというのは、初めから決まっていたことです」だそうです。今回のインディーズ映画は響いた方、響かなかった方、様々だと思いますが、色々な要素、タイミングが重なり、インディーズから口コミ等で一気に全国展開し、大手劇場公開にまで登り詰めたというのは本当に素晴らしいですね!本日のバトラーの皆様にはどう映ったでしょうか…。本日は2024年10月バトル大変お疲れ様でした!
時代劇愛、侍愛、役者が素晴らしい
あまり、時代劇を観ない私。
義姉が「絶対!見たほうが良い!!」と激押しされたため、鑑賞(笑)
昭和のコメディ感があり、観る人を選ぶような感じもありますが、
心理描写、殺陣が素晴らしく、とにかく、役者に好感が持てました。
映画「るろうに○○」のようなドラゴンボール的な殺陣が蔓延する中、
現在の技、演技で、リアルな時代劇を追求している感じに、
個人的に拍手、賞賛を送りたい。
剣舞や、立ち合いシーンは「空気感」「音」「息遣い」「間」に
強いこだわりを感じるので、是非、映画館で観てほしいところです。
凄く良かった
面白かった〜!映画館で見て良かった。手持ちのギフト券使えなくて、見るか一瞬悩んだけど笑 胸が熱くなりました。作り手の情熱をひしひしと感じました。
私が小学生くらいの時は、時代劇はすごく身近なものでした。病院の待合室のテレビ、蕎麦屋、定食屋のテレビは大体いつも時代劇。祖父母の家に遊びに行けば、おじいちゃんは必ず藤で編んだ椅子に腰掛けてテレビで時代劇を見ていました。両親も時代劇が大好きで、BS放送やwowowに加入して時代劇専門チャンネルを見ては楽しんでいました。大河ドラマは当然大好きで、昔の大河は今とは全然違ってもっとずっと堅い感じ。台詞回しも難しくて、私には何を言ってるのかさっぱり分からなかった。歴史の知識もないと楽しめないので、子ども心に、大人は凄いなぁと思っていました。それが不思議と、小学校高学年くらいになると、段々少しずつですが分かるようになるんです。父娘で見ながら、政治的な難しいシーンなどは「今のはどういう意味なの?」と聞くと、夢中になって見ている父にシカトされることがほとんどなのですが、たまに教えてくれることがあって、そういう時は嬉しかったなぁ。普段は父と母がするおしゃべりに子どもの私は全く着いていけないので、何となく大人扱いしてもらったような気分になれたのかも。年末は皆んな大好き、忠臣蔵。
私は監督より少し歳下ですから、監督の幼少期はもっと時代劇が盛んだったのだろうと思います。
昔、オペラ歌劇が面白いなーと思っていた時期に、宮本亜門さんが「オペラと時代劇はよく似てる。結末はどうなるか皆んな分かってて、最後皆んなスッキリする楽しさ」と何かの書籍で書かれていた記憶があります。(それから興味を持ってイタリア詩集を読んだりして、心臓を刺されて心臓から生クリームが飛び散る描写になんじゃこりゃ!と驚いたり)
そんな何十年も昔のことを懐かしく思い出しましたが、今作は全く新しい作品に仕上がっていました。タイムスリップものは擦り切れるほど使い古された手で、しかも流行らない時代劇。だけどすごく新鮮で、時代劇がまた違った魅力をもって生き生きと展開されて行く様は素晴らしかったです。
新しい時代劇の時代が始まる
神様、このような素晴らしい映画に出会えた事を感謝します。脚本も演技もすごいです。主演の山口馬木也さんが真剣使うと決めたときから纏うオーラの色が変わりました。まさに「死を覚悟した侍」の表情になり鳥肌が立ちました。
ずっとこの世界に浸っていたいと思うような映画です。ありがとうございました。
日本に生まれて良かった
素晴らしい映画でした。
「カメラを止めるな」的な爆発力は無かったけど、観賞後の満足感はハンパないです。
同じタイミングで、違う日時にタイムスリップするという発想と、時代劇と日本の歩みをオーバーラップさせるという発想の勝利でしょう。
歴史を作った先人達への感謝の念と、昔、家族で見てた時代劇へのノスタルジー。
ご年配の方々が客席に多かったのも、ほっこりしました。
ただ、残念だったのが…
そのご年配の方の誰かが、スマホをマナーモードにしておらず、たまに通知音が鳴ってるのが若干気になってはいたのですが、映画のクライマックス、真剣でのにらみ合い。にらみ合い!にらみ合い!!の緊張感フルMAXの時に、通知音が(^-^;
映画鑑賞マナーって大事だなーと再確認できたのでした。
変わるのも強さ変わらないこともまた強さ
侍が現代にタイムスリップして困惑するっていう設定自体は比較的今まででも良くあると思うが、これはそこを観て笑う作品ではない。主人公の高坂さんは戸惑いながらも周囲の助けもあって結構素直かつスピーディーに現代生活に溶け込んでいる。これはかなり大きな知的活動だと思うので彼は剣術の達人というだけでなくかなりインテリだと考えられる。この柔軟性がまずいい。真の強い男は頑固なだけでは無いのだ。またこの柔軟性が物語のテンポを良くしていて楽しい。
しかし風見の正体を知った瞬間に変わらなかった武士の心意気が表に出るくる。変わらなかった心をそれまで理性で抑え込んでいたことも彼の強さ。
風見は風見で苦労しながらも現代に対応してきたことが容易に観て取れる。しかも彼は高坂より30年前だったので孤独感はより強かったかもしれない。ほんの150年程前に日本のために命をかけた人々はこれ程までに高潔だったのかと頭が下がる。
個人的に1番好きなシーンはケーキを食べて泣くところ。日本がいい国になったという理由で泣くシーンは私自身襟を正す気分。
最後の殺陣シーンに象徴されるように譲れるところは柔軟に譲るが、譲れないところは命をかけて戦うという覚悟を持った男達(監督含め)の熱い物語。素敵な映画でした。
滅びゆく会津藩、滅びゆく時代劇
だがそれは今日じゃない!
個人的な事情として、会津で生まれ育った人間として、こういった映画の主役が会津藩士であることがとても嬉しかったです。なので☆は+0.5しちゃいます!
会津訛りに親しみが持てて(少し引っかかる部分もありましたが時代の違いということで…)誠実で実直な主人公の人柄が好ましく、現代へ順応する様子と侍として譲れない芯の部分などが伝わる素晴らしい演技でした。
会津藩の歴史を知るところは高坂さんの心情を思うと辛く泣けてしまいましたが、淡々とナレーションで語られるのみで悲劇的に描かれすぎていないところがとても良かったです。悲観的な歴史観を否定したいわけではないのですが(わたしが子どもの頃は実際に長州憎しのお年寄りも身近にいました)、風見さんの言葉がすべてだと個人的には思っています。
タイムスリップものはやはり現代の文化技術に対するリアクションに1つの醍醐味を感じているのですが、白米のおにぎりを食べて磐梯山の雪に例えるところがとても好きでニヤリとしてしまいました。会津の人間にとってやはり磐梯山は特別な山で、富士山にも劣らない名峰なのです。また、お茶菓子に出たショートケーキを食べて、日本が豊かな国になったことに涙を浮かべる姿にはこちらもほろりと泣けてきてしまいました。あの時代の人々が、一藩士に至るまで日本の行く末を案じ志を持って未来を信じ戦っていたことが伝わってきました。
また、時代劇が滅びゆく最中である事実に対して、「だが今日じゃない」と力強い言葉が聞けたのを嬉しく思います。祖父母と共に夕方の時代劇の再放送を見ていた幼い頃の記憶がよみがえり、ノスタルジックな気持ちと共に、これからも、細くとも、長く続いてほしい文化だと願わずにはいられませんでした。
いつか、高坂さんには現代の会津に来てほしいです。戊辰戦争の折、城は新政府軍の砲撃で穴だらけのボロボロになりました。復元された天守閣は当時のものとはまた違うかもしれませんが、会津の人たちの強い思いの結晶です。それはあの時代を必死で生きた高坂さんたちの魂と通じるところがあると思うのです。
鑑賞動機:あらすじ3割、評判7割
年に1本でいいから、こういう「化ける」映画があると楽しい。お仕事物としての部分と、時代物としての部分が綺麗に重なり合いつつ調和している。
高坂さんがまるで本当の侍であるかのように思えてきて、どんどんお話にのめり込んでしまった。後半の展開は意表をつかれたが、結局は前に進むために必要な通過儀礼だったように思った。
ありふれたネタを出発点にしながら、丁寧にストーリーを作っていて、コメディとシリアスの配分もよく、とても好感の持てる作品だった。
最後は…アンタもかーい。楽しかった。
2回目。変わらず面白い。状況を受け入れて馴染んでいく過程できちんと描写を入れて納得感を出すとか、ベタな笑いは住職夫妻に任せてるとか、山口、冨家両氏はやっぱり本物の侍にしか見えない(本物見たことないけどね)とか、ゆうこちゃんかわいいとか再度実感した。
「今日がその日ではない」は今年最高のセリフかも。
転生もののうまいとこを突いた作品
ちょっと前に予告編でたまたま見かけて今どきこういう年寄り向け作品もあるんだなーくらいに思ってたら、公開後こちらのサイトでめっちゃランキングや評価が高く、なおかつ最近になり流行語大賞ノミネートもありさすがに気になり、見たくなったのですがいかんせん昼一回のみの上映ばかりでやっとこさ時間をつくり見ることができました。結果、見に行って正解でした!
もはや使い古されてきてる転生ものですが、その中でもありそうでなかったような作品ですね。
個人的にはタイムスリップした序盤のくだりが自分的には最高潮の盛り上がりだったため、後半は中だるみしましたがそれでもあのラストの真剣勝負はとても見入ってしまう素晴らしい芝居でした。ラストも良かったと思います。
皆さん知らない方々ばかりでしたが主演の山口さんはじめ本当に素晴らしい間違いない演技力でした。
あと、とにかく優子殿がかわいすぎて釘付けになりました!あとで調べたらだいぶお姉さんでびっくりしました笑
自主制作でこのクオリティーの映画を作ったのはすごいなと思います。
それと始まる前のオープニングも自主制作ならではなのか、スポンサー会社が次々と紹介され、いつまで続くねん!って感じでしたが何よりびっくりしたのがエンドロールで安田監督が1人何役も裏方をこなし、ヒロイン役の沙倉さんも助監督や小道具を担当していたこと。出演しながらスタッフもやるなんてめちゃくちゃ大変だったかと思います。
素晴らしい作品でした。
これはもう流行語大賞取っちゃってほしいです!
誰も言ってないから言っておく
正直面白かった コメディと言われるとそこまで笑えるとこはなかったけれど(まぁベタベタなベタだったからかもしれないけれど) ただベタこそ至高であると再認識させてもらった作品でした
それと馬木也さん冨家さんのお二人 正直2軍の首位打者、1軍半的ポジションな方だと思ってました すいません侮ってましたごめんなさい(笑)
あと馬木他さんが新撰組隊士の扮装をされた時めちゃめちゃ様になってたのはさすが大治郎だなと思いました
あと一番ジーンとした場面は最後の殺陣より峰蘭太郎さんの袴の後ろの福本清三のネーム刺繍を観た時でした(誰も言ってないので言っておきます)
映画って本当に素晴らしい!
心の底からそう思える作品だった。
タイムスリップによって人生の目的を見失った男が、周りの人々の優しさや温かさに支えられながら、新しい人生を歩み出すまでの物語。
カルチャーギャップコメディだよ、の一言で説明できる間口の広さと、幕末からタイムスリップしてきたという設定を、最後の最後まで活かしきるストーリーテリングが見事!
武士としての経験を活かして、時代劇の斬られ役者として生きるところまでは予告で知っていたし、映画撮影の中で、自分がいた幕末の再現をさせられるところまでは予想ができた。
映画として大事なのは最後の盛り上がりだ。
主人公が役者として成功できるかどうか?
そんなことではない。
高坂新左衛門は自分個人の幸せのために生きている男ではない。
彼が最後に抱えるのは、自分一人が生き残ってしまったことに対する罪の意識だ。
物語の冒頭、彼は自分一人だけが違う時代に飛ばされたことに絶望し、途方に暮れていたのだが、物語の終盤では、同胞たちが無念の最期を迎えたことを知り、自分一人だけがのうのうと平和な時代に生きてしまっていることにやりきれない思いを抱えるようになる。
仲間たちは会津のために戦い、死んでいった。
自分は何もできなかった。
歴史は変えられない。過去には戻れない。
武士の格好をして、偽物の斬り合いでお茶を濁すことしかできない。
そんな自分に深い憤りを感じるようになる。
彼はその感情を宿敵である風見恭一郎にぶつける。
そう! 風見恭一郎が実にいい男なのだ!
終盤の高坂新左衛門がしていることは、風見にしてみればただの八つ当たりだ。
幕末の因縁を現代に持ち込まれても困るし、自分ひとりだけがおめおめと生き残ってしまったことも、風見の責任ではない。
けれど、風見は彼の思いを全て受け止める。
風見は、彼の幕末の宿敵であり現代の先輩だ。
30年早く現代にタイムスリップした風見は、人生のどこかで高坂新左衛門と同じ葛藤を経ている。
だから風見は、彼のやりきれなさを自分が受け止めてやろうとする。
風見は高坂新左衛門の唯一の敵であり、ただ一人の理解者だ。
こんなに人情に熱い敵役を、令和の時代に見られるとは!
時代劇ばんざい!
物語の結末は、真剣を使った真剣勝負。
台本なしのガチンコバトル。
決着が本当に素晴らしい。
高坂新左衛門は勝負には勝つが、信念を曲げる。
仲間たちの無念を晴らせない自分を、意思を貫き通せなかった自分を「情けない」と涙する。
曲げた理由は語られない。彼はただ涙するだけだ。
けれど、観ている側は彼が情けないだなんて誰も思わない。
生き方を曲げた彼に、良い選択をできた彼に、拍手を送りたくなる。
そのあとで彼はヒロインに引っ叩かれる。けれどそこには愛があることが誰の目にもわかる。言葉と行動が正反対。でも登場人物たちの心の中にあるものが手に取るようにわかる。
作り手の面白いように心が動かされていく。
これを映画のカタルシスと言わずして、何をカタルシスというだろうか。
展開は王道。観にいく人の期待は何も裏切らない。小気味よく挟まれるユーモアがなんとも心地がいい。
まごうことなき大傑作だ。
あと、蛇足にはなるが、高坂新左衛門の立ち振る舞いがとても良かった。
おじさんあるあるなのだが、無意識のうちに年下の人に横柄に振る舞ってしまっている自分を反省した。
年上でも謙虚に振る舞って良いし、そのほうが素敵なのだ。
映画鑑賞の後に入ったお店では、自然とそんな感じに振る舞うことができた。
キャスト全員愛おしい
2回観ました。日本アカデミー賞の作品賞始め、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、等、総なめにして欲しいくらいに素晴らしい映画でした。
所々に福本さんや時代劇へのオマージュが散りばめられ、時代劇愛が溢れていました。誰が観てもわかりやすく感情移入しやすい。
でも、一つだけ、どうしても心に引っかかるのはラストの真剣での立ち合い。そんな撮影が許されるわけもなく、誰も止めない。
思い出されたのは、昔あった、勝新太郎の息子が持った日本刀が演者の首にあたり死亡事件が起きたこと。亡くなられた方のご遺族の気持ちを思うと時代劇に真剣を持ち込むことの危なさを美化してはならない。
タテとわかっていながら
息子が面白いらしいよ、と言っているところへTVCMが流れてきたので
鑑賞。
タイムスリップ物は少々苦手なのですが、最後の真剣勝負には手に汗握ってしまった。
当時の武士の思いと、こういう切り合いを現代に再現させてくれて良かった。
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