侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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インディーズ映画が日本アカデミー賞をとってしまう驚き
池袋駅西口にあるシネマ・ロサでインディーズ作品として単館上映された作品が、口コミで広がり、ギャガが配給に協力して、まさかの第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞…。こんな夢みたいなことがあるんですね。
本作がこの1年で最も素晴らしい邦画と言われたら困るのが正直なところですが、直球の優しさや一生懸命さ、責任の引き受け方を観ることができたのは純粋に嬉しいし、楽しい。斬られ役に徹せられず、咄嗟に師匠を斬り込んでしまうシーンも笑ってしまいました。
カメラワークやポジションがやっぱり上手い。ファーストショットの横移動のカメラワークで平凡なインディーズ作品ではないことが一発で分かるし、カメラポジションによってタイムスリップを実現させている。
それはタイムスリップ先の東映京都の地の利もあると思うが、高坂新左衛門を真正面から捉えるカメラと時代劇の撮影をするカメラは直角の関係になっており、高坂が移動し時代劇のカメラに合流することで、時もまた合流するのである。
つまるところ本作は本当の侍になりたい「未熟な男児」の成長物語であり、そんな主人公と本当は侍になりたかった観客が合流したことによって、熱狂を生み出したのだろう。私はファンダムとか応援上映とか大嫌いだし、独りで勝手にみろとは思ってしまうのだが、本作がそれでも気持ち悪さをかいくぐっているのはヒロインの山本優子の佇まいのおかげだろう。
優子は最後まで眼鏡を外さなかった。それは斬られ役の所作と同等にもっと重要視されていいと思う。
不滅の風情
「いかにも低予算」
「無名の役者ばかり」
「ベタな設定云々」
もし仮に、もしも仮に、この映画が巷でそんな風に評されていたとしたら、私はそれらの言葉をかき集めて火薬いっぱいの三尺玉に詰め込み導火線に火をつけてやりたい。
あ、別に危険思想ではありません。
その三尺玉は大空に放たれて大爆発。大輪の花火となり多くの人々足を止めてい見上げるだろうと思う。と、言うか既にそうなっている。もちろん立ち止まらない人もいるだろうけど。てもやっぱり私は足を止めて見上げたい。
「殺陣」と言う何やら物騒な漢字が時代劇のアクションを指す言葉だと知った時、ひとつ物知りになったような気がして嬉しかった。そしてその殺陣はそれこそ血の滲むような稽古に時間を費やし時代劇を観る全ての人が喜べるようにと綿密に練られた技だと知って憧れた。だから冒頭の3行に対して私はついつい熱くなりカッカしてしまうのだ。
花火のように日本人の心の中にある風情、時代劇。時代の波にのまれて消えて欲しくない。ふと忙しい足を止めて立ち止まった時いつでもそこに在るものであって欲しい。
夢ある受賞!自主制作作品から第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞の快挙!!
自称映画好きなワタシ。
2024年の映画業界を静かに時に熱い視線で見守ってきたつもりだった。今年もいい映画をたくさん観て心から満足していた。楽しみにしていた日本アカデミー賞授賞式。横浜流星くんの主演男優賞、大沢たかおさんの助演男優賞、河合優実ちゃんの主演女優賞、吉岡里帆ちゃんの助演女優賞とここまでは予想通り🧐
しかし、最後にそれはおこったのです。唯一私がノーマークで未鑑賞であった「侍タイムスリッパー」がなんと最優秀作品賞を受賞したのだ。てっきり「正体」か「夜明けのすべて」の2択だと決め込んでいた。
ええっ?!ええっ?やらかした…。
どうして見逃したんだろう???
しかも調べれば京都発の自主制作映画だという。ノーマークで未鑑賞であった自分を今更ながら猛烈に反省した。無意識ながら、時代ものはスルーするクセが祟ってしまった😭
気を取り直して本日遅ればせながら
いざ、禊の鑑賞でござる⚔️
感想は
はい、優勝🏅
いいものはいい。理屈じゃなくとりあえず一度ご鑑賞あれ🫡
映画の原点みたいなものをこの作品に観た気がしましたよ。脚本があって、演じる人がいて、それを撮る人がいて。シンプルにいえば、それだけで十分なのです。話はありがちな設定ではあったものの、笑いや涙を交えて終始飽きさせない130分でした。シリアスではなく、コメディに主体を置いたのが良かったと思う。
監督・脚本・撮影・照明・編集もろもろを担当し、自身の全てを賭けてこの作品に向き合い結果を手に入れた安田淳一監督本当におめでとうござます🎉まだまだ日本映画業界も捨てたもんじゃありませんね!こういったインディペンデント映画が最優秀作品賞を受賞できるという事実に夢が広がります。
笑いと涙とメッセージ性がしっかりとある作品
見る前は、侍が現代にタイムスリップしてきて、現代とのギャップにドタバタとなるコメディかなと思ったら、予想通りのコメディ要素はあるものの、しっかりとしたメッセージ性も高い作品だった。
時代劇が廃れていく寂しさは、朝ドラの「カムカムエブリデイ」も描かれていて、世の中栄枯盛衰だから致し方ないよなーと思ったけれど、現代の人たちの視点ではなく、あの時代を生きた侍に時代劇を演じさせることで、より一層の寂しさが募ると同時に、申し訳なさみたいな感情が芽生えた。
また、当事者の彼らの視点だからこそ、現代にあの時代の皆の想いを残したいという気持ちの強さがより伝わってきて、涙腺が刺激された。
幕末の志士たちは、新政府軍と幕府軍に分かれて各々の信念のもと戦ったけれど、どちらが正しいというわけではなく、ただその時貫いた信念が今に続いている。会津藩の高坂にとっては辛い事実でも、今日本は争いのない平和な世になっているし、良い国にしたいという彼らの願いは叶えられているんだよなと思った。
インディーズ映画あるあるで、俳優さんは皆さん初めて見る方々でしたが、主演の山口さんの演技がとてつもなく良かった!わざとらしくなく、本当に侍がタイムスリップしてきたような動作や話し方で驚いた。周りの方々の演技がわざとくさく見えてしまうほど。
また、劇伴や効果音がちょい古典的でダサいのは笑ってしまうw
カメとめの再来言われていて、ずっと気になっていた作品だったので、見れて良かった!
時代劇愛
痛快エンタメ映画
自分の人生の中に、隔世の感をもって振り返ることができる時代がある人にこそ深く刺さる
映画館で観て、いいなぁと思っていたら、アマゾンプライムで無料配信しているのを見つけ、以来、ヘビーローテーションのやみつき状態。いまではBGM代わりに流していても細かいところまで思い描けます。この作品は「すたれつつある(?)時代劇」という枠を超えて、自分の人生を振り返るときに、ああ、あんな時代があったなぁ・・・と、隔世の感をもって振り返ることができる時代がある人にこそ、深く刺さっているのではないかと思います(私の場合はまさにそうです)こんなに繰り返し見てしまう映画は、60年余りの人生の中で初めて。ダントツ1位です。ほんとうに良い作品をありがとうございます。主演男優さんの、どこを切っても誠に細やかな演技は本当に見事。(なぜ主演男優賞にならなかったのだろう?)小さなところで言うと、ビールを初めて口にするのであろうときの様子(ウィスキーロックのほうもしかり)、助監督への恋心を風見にあっちこっちでからかわれるときに見せるそれぞれの表情。そして全編通してですが、ごく自然な訛り(どうやって習熟されるんでしょうかねぇ・・・)ショートケーキのところから、テレビで番組が終わってお寺のご夫婦が放心状態になってるところまでは、私の中で一押しです。あと、剣心会に入門ゆるされて最初に関本さんに稽古つけてもらうところでどうしても切る側になってしまうくだり、関本さんの演技も画面のテンポもとてもよいので、わかっていても、何度見ても、笑ってしまいます。心配無用之介の中でおうめの涙声がとても上手で、髙坂の、鼻のクリームを拭いたティッシュで目をぬぐう表情とうまく呼応しているなぁと感じました。ちなみに、アマプラでは字幕を出せるので、聞き取れなかったところや知らない単語(「さかやき」とか)もわかりました。もっともっと話したいので、どこかに、ファンサイトみたいなものはないだろうか?と思ったりしているところです(笑) ところで二つ、いまだにわからないままのところがあるので、ここに書いてみたいです。1。140年後の日本に来たとわかって、さまよい歩いているうちに、タイムスリップする前に切り合っていたお寺の門に通りかかり、石段に腰かけて脇差(というのか、短い刀)を抜く場面。これは自決を考えていたのでしょうか? 2。お寺の住職が「あの男、悪い男や無いで・・・」奥さんが「あれは単なる役者馬鹿や(笑)」そして最後にゆうこ助監督が、「役者馬鹿・・・?」とつぶやく。このつぶやきは、何かの伏線になっているのでしょうか?結構間をとっているので、何か深い意味があるのかなぁと思いながら、わからずにいます。
メインの登場人物、みんな好きになる
やはり最後の殺陣
時代劇だけど自分の話。
ナミビアの砂漠
面白かったです。
この映画は、定番の「映画を作る人達についての映画」なんだけど、
ここのレビューで高い評価をつけた人たちは、
「映画を作る人達についての映画を作った人達の物語」
として楽しんでいるっぽい。俺もだ。
額縁が中身を引き立てる額縁効果が、額縁が増えたせいで増し増しになっているうえに、
「私財をはたいて車も売って」みたいな応援したくなる物語にもなっている。
「映画を作る人達についての映画」としても良くできていたし、
「映画を作る人達についての映画を作った人達の物語」としても、
若干チープなつくりや、様々な名作映画へのリスペクトや、
八面六臂なエンドロールや、
助監督役の女優を実際に助監督にしたりなど、巧みな演出がされていた。
よくよく考えられたメタ構造は、エンタメに昇華している点で、
「映画通」好みの「ナミビアの砂漠」のそれより好感が持てるかも。
ちなみに助監督役の「沙倉ゆうの」さんのYouTubeは、
謎の自然体トークがマジでナミビアの砂漠(オリジナルの方)なので、
「映画なんか観てなんになるんだよ!」って人におすすめです。
つうか、エンタメ映画はためになると思う。
ためにならないのは、マウントを取るツールとしての映画だ。
タイムスリップ映画で「転職者」という日常感強めの世界観。
上映前の予告編やポスターを見た時から、ただならぬ面白そうな雰囲気を醸し出していたが、
いかんせん、上映館が確か東京の池袋のみと、さくっと行けない地方都市民の泣きどころゆえ、サブスク化を待っていたら、
数ヶ月で我が街の映画館にやってきて、嬉しくなった記憶。
年に数えるほどしかない、エンドロール時のなんとも言えぬ余韻と、鳥肌立つあの感覚が両方くる映画だった。
ただ、ストーリー自体はそこまで飛び抜けた発明的なものはない。
設定はタイムスリップモノ。タイムスリップ映画は良作多しのセオリー通りで、もはや映画の王道設定とも言える。
タイムスリップ設定に時代劇を掛け合わすのも、ありがちと言えばありがち。
未来(現在)から過去に行くパターンが多いが、この作品は過去から未来(現在)に行くパターン。
これも、坂本龍馬や徳川家康など、偉人たちはタイムトラベラーの常連客と言ってもよい。
この作品は、幕末の、偉人ではない一般的な、幕府方の武士が現在にやってくるパターンで、
到着先が、時代劇の撮影所付近という所が話の肝。
しかも、元いた場所にはどうやら戻れなさそうな雰囲気で進む、片道切符のタイムスリップ。
生きていく為には働く必要がある。しかし、侍しかやった事がない人間ができる事には限りがある。
妙に日常感強めの世界観。劇的展開があるわけでもなく、
時代への適応力が試練。この縛り条件設定だけでかなり面白く、
元武士という立場よりも、「転職者」という、観客の身に覚えがありそうな経験や立場に変容する事で、
投影や共感がしやすい主人公を生み出した事が、この作品のウケるポイントになっている。
物語とは別の投影や共感として指摘したい点は、この映画は時代劇ではあるが、
それ以前に、時代劇を作る「映像制作者達の物語」であるという点。
日本アカデミー賞で最優秀作品賞を「ジャイアントキリング」的に受賞したが、
よくよく考えれば、日アカは投票権を持つ人の大半は業界関係者であり、制作スタッフ経験者なわけで、
自分達の業界を題材にした映画なのだから、そりゃ投票しやすいし、投影共感しやすいわなと、
冷静に考えれば考えるほど、妥当な最優秀だったわけだ。
物語の本筋に戻すと、もう1つ注目したいポイントがあり、
それは主人公のアイデンティティ。
時代に適応し、順応し、自分の想像を超える未来の日本の変わりようを、好意的に肯定的に受け止め消化する一方で、
どうしても譲れない佐幕派としての思想や、郷土や家族への愛、背負ってきた想いというのを、
変えられないアイデンティティが、主人公にはあった。
このディテールの持っていき方が、とても丁寧で、コメディからシリアスへと繋ぐ大事な縦軸になっていて、
上手く出来てて、いい映画だなと思った瞬間でもあった。
いわゆる、「武士の一分」ってものがあり、それに一区切りつけるために、
ラストの、あの緊張感溢れる名シーンに繋がっていく。
愛着を持ちつつ、固唾をのんで見守ったし、あの緊張感こそが時代劇の醍醐味で最大の見せ場。
スクリーンだけではなく、観客席をも、時代劇への愛情に包まれる幸せなひととき、といったところだろう。
設定の良さだけでなく、ディテールの築き方や持っていき方も上手く、
大胆で発明的な面こそ無いけれど、緊張と緩和が上手くハメこまれていて、
終わった時には、もっと長く観ていたかったなあと思うような寂しさもあった。
老若男女に伝わる映画だった。
良かった演者
山口馬木也
最高でした
正直、不自由な体を押して行っても今の世では常に映画館はガラガラです。配信サイトで見ればプロローグを早送りできる、最近はインターネットで早送りできるので、映画館で座って全編見ることが苦痛に感じる人が多いようです。製作者側ではないので、それを承知でそれでも映画を作るメリットが分からないのですが、この映画のようにインディーズで最初は1館だけの上映だったものが、最終的には、最優秀作品賞を獲得する、日本の映画界も捨てたものではないと思いました。
タイムスリップした時代も不良がいた昭和の終わりか、平成の初期というところも良かったです。
ラストも日本人が好きなラストだな…と感じました。見ている側にとって「1番ほしいラスト」で監督はじめスタッフも分かっていて、そういうラストにしたんじゃないかなと感じました。昭和世代には、たまらない作品です。
様々な評価があるようですが
安田監督のデビュー作を観賞していたので、温かい作風を期待して地元での上映を待って速攻で観賞。リピーターになってしまいました。
世間での大きな評価に疑問を持たれたレビューが散見されますが、沼に落ちた身としては、この映画は映画館で観賞しないと正しい評価が難しい映画なのだと感じています。
リピーターから見ても監督本人の弁でも???な場面は多々あります。(文庫本並の活字量のパンフレットより。)
しかし、スクリーンの中で京都の街並みを彷徨う主人公の姿からは、そのサイズ感から自分も一緒に彷徨っている様に感じ、おむすびには躊躇なくかぶりつきながら、ケーキやビールには人の所作や匂いを嗅いだりして安全を確認する部分に不安に押し潰されそうになりながらも置かれた現状を受け入れようとする姿に「そりゃそうだよなぁ。」と共感を覚えるのです。
監督がインタビューで「有名な俳優さんで映画を作るんじゃなくて、この映画で俳優さんを有名にしてあげたいんです。」旨の発言をしておいででしたが本作に出会って推しの俳優さんがすごく増えてしまいました。まんまと監督の策にはまった様です。
動画配信サービスで初見された方は、時間が許されるなら映画館での再鑑賞をお勧めします。
きっと又会いたくなりますから。
大好き
てっきりゆるめのコメディ作品だと思ってたのですが、真面目な作品でした。
主人公の人柄がとても気持ちが良い。
タイムスリップものってまずは現地の人に自分の素性を伝えて(なかなか信じてはもらえないものの)理解してもらった上で、何らか協力してもらう流れになることが多いかとおもうのですが、こちらの作品はそれがありません。
自分の足で、目で、自力で現状を把握し、戸惑いながらも受け入れます。
制作上の時間の都合だったのかも知れませんが、そうしたことによって主人公の真面目で優しく、頭の良い人という印象を強くしていたように思います。
好敵手のキャラクターも、ヒロインも良。
主演の俳優さんの演技も最高!
コミカルで愛らしい部分もありつつ、締めるところはしっかり締める、ラストの仕合シーンは緊張感に痺れました。
話題になるだけありますね、とても良い映画でした。
楽しめましたが、欲を言うと
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