「「アカデミー的時代劇である現代劇」こそタイムスリップ」侍タイムスリッパー critique_0102さんの映画レビュー(感想・評価)
「アカデミー的時代劇である現代劇」こそタイムスリップ
しばらく日本を離れていたせいか、この映画をめぐる評価に、完全にタイムスリップした気分になった。
インディペンデント映画として大ヒット、日本アカデミー賞・最優秀作品賞と聞いて観たが、「どこがそこまで?」というのが正直な感想。
低予算、大部屋俳優総動員、内輪的な熱量。
作りとしては時代劇版『カメラを止めるな!』で、嫌いではない。
ただ、これを年度代表作として祭り上げるのは、さすがに評価を盛りすぎではないかと思う。
話題性と無難さを取り違えるあたり、日本アカデミー賞らしいといえばらしい。
この映画のいちばんの問題は、
一見すると歴史の重さや矛盾を描く顔をしていながら、
最終的には「安心して消費できる時代劇」にきれいに着地してしまうところだろう。
挑発的な構えを見せておいて、誰も不快にしない。
そこが、この作品の自己矛盾のいちばん分かりやすい点だと思う。
会津の重さを真正面から引き受けるわけでもなく、
薩長史観を問い直すほど踏み込むわけでもない。
歴史は角を取られ、ほどよく軽く、ほどよく無難な物語へ。
「考えさせるふり」をしながら、ちゃんと安心して見終われる設計だ。
個人的には、
山口馬木也さん(大河出演おめでとう?)、
沙倉ゆうのさん(知り合いの劇団員感がすごい。そこにおるで!)、
冨家ノリマサさん(めちゃ久々やん?)、
紅萬子さん(お久しぶりで好きやけど、面と向かって名前呼べないやん!)
を確認する映画で終わってしまった。
悪くはない。
でも、この作品が「その年の顔」になる日本映画界の感覚には、やはりついていけなかった。
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