「時代劇へのリスペクト」侍タイムスリッパー こんさんの映画レビュー(感想・評価)
時代劇へのリスペクト
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時代劇は、勧善懲悪で陳腐なストーリーだった。やがてそれは飽きられていって、
ほぼ消滅してしまった。そんな中で、時代劇が描いていた時代からやってきた侍が、
時代劇を見ながら激しく頷いていた。笑いのシーンではあるが、私はそれが心を打った。江戸時代、世の中には理不尽なことがまかり通っていたことだろう。人権意識も低い。自身も密命とはいえ、他人の命を奪おうとする。そんな時代をまさに生きている侍が、勧善懲悪の時代劇を見て、「こうであったらいいのに」と同調するわけだ。今、世の中は善も悪も渾然としてきて、わからなくなりつつある。今こそ時代劇が描いていた世界は必要なのではないか、そんなことを気づかせてくれた。まっすぐでない時代だからこそまっすぐに生きる侍と、そして現代の、やはりまっすぐに生きようとする映画人たちのシンクロが眩しい。
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