「後ちょっとかな~」侍タイムスリッパー 93q2q2さんの映画レビュー(感想・評価)
後ちょっとかな~
4点つけてますが、3.7点という感じです。次作に期待して4点です。
お金がないのに、よくこれだけのシッカリした作品を作り上げたなと思いました。面白いコメディです。
冒頭の江戸時代の夜が余りにも明るすぎる所を除いてはシッカリした画で文句はないですし、ピン送りなども多用しててくれてますし、美しい画ではないのですが、シッカリした画作りで、これは映画、時代劇に対する真摯さの表れだと思います。
話は凄くベタで、わかりやすいものだと思いました。ベタで面白いものを作れるのは『力』がないと出来ないと思うので素晴らしいとは思いますが、ベタをするならもっと詰めて欲しい所が多々ありました。
主人公にとって、とてもおかしな状況に巻き込まれているのに余りにも順応が早すぎ。アニメ等の異世界モノの主人公かと思うくらいです。
テンポが悪い。というか、余りにも分かりやすく作ろうとし過ぎていてクドい感じがします。一部の日本のTVドラマみたいな説明セリフやカットが入ってくるのでリズムが出そうになっては切れてしまい、ちょっとダルさを覚えます。
多くの人に観てもらわないといけないのが映画なので、分かりやすくするのは大事なことだと思いますが、それで映画のいい感じのリズムが壊れるのはどうかとも思いますが。
難しい所です。
あと、人をちゃんと描こうとしていて、すごく丁寧なのですが、その丁寧さがテンポを崩してしまっているのかなとも思いました。この脚本で2時間20分は少し長いと思います。
チャンバラ支軸の時代映画でキレが悪いのはどうかと思いますが、役者の上手さと作りの丁寧さと真摯さには舌を巻きます。
最後の立ち回りはとってもカッコ良かったです。
高坂役の山口馬木也さんが超うまいです。とても自然で『力』のある役者さんだと思いました。私は彼の演技でそこまで退屈せずに観れた気がします。
それと殺陣の先生の関本役の峰蘭太郎さんも年期が味を出しているような渋い演技をされていると思いました。
山口馬木也さんはNHKのドラマが合うと思うので出て欲しいです。というか絶対にメジャーになる方だと思います。
時代劇映画への愛が詰まっている、決して「面白くない」作品ではないのですが、もう少し上手く纏められなかったかな?と思います。テンポや主張ばかり気にして観客に頼りすぎな独りよがり的な映画よりは絶対楽しめます。ですが、もう少し観客を信頼していいのではないかと思いました。これだけの情熱があればそこまで噛み砕かなくても、十分その熱を通して観客には伝わっていくと思います。
安田監督が新作を作られたらきっと観に行くと思います。