「我が名は高坂新左衛門、会津藩士!」侍タイムスリッパー そこらてすさんの映画レビュー(感想・評価)
我が名は高坂新左衛門、会津藩士!
本当に、山口馬木也さんのなんという会津武士ぶり。
親戚が福島なので、
会津藩の悲運を子供の頃から聞いている身としては、
登場から、山口さんの質素ないでたちと強固な意志を秘めた面構え、
朴訥な会津弁に圧倒されました。
だから途中で「日の本はいい国になったのですね」とケーキを食べるシーンも、
本当は笑う所なんだろうけれども、つい泣けてしまった。
そんな”一所懸命”な会津藩士、必死で現代に食らいついて行くの巻。
いろいろバランスが悪いなと思う点はあるけれども、
(俳優さんのレベルにばらつきがあるのではとか、
エピソードをもっと絞れば良かったかもとか)、
欲を言えばあるのだけれど、
しかし制作サイドの熱い思いがものすごく溢れていて楽しかったです。
先日、真田広之さんの「-SHOGUN-将軍」を見ました。
こちらは豪華絢爛、時代考証も(石垣を除いては)素晴らしく、
名優が綺羅星の如く出演していて、
重厚な脚本の元、凄まじい本気で作り上げられた作品でしたが、
時代劇への並々ならぬ熱意と気持ちは、
この「侍タイムスリッパー」からもすごく伝わりました。
そのような勢いと魂がこの映画の第一の醍醐味と感じます。
真田広之さんをここで連想したのは、個人的に、
その昔千葉真一さんの「影の軍団」に若き真田さんが出演していて、
撮影風景を偶然、太秦で見た事があるから。
(当時は観光客にも撮影を一部見せてくれていた)
あの時の監督さんやスタッフさん達、真田さん他の俳優さん達の様子が、
この「侍タイムスリッパー」と重なってとても胸熱でした。
最後に福本清三さんのお名前が出たのも嬉しかった。
そしてそして。
個人的には、令和日本に三番目に飛ばされて来た彼が心配だけど、
高坂さんと山形さん、どうぞよろしくお願いします。
イチゴのケーキのシーンにはあらゆる思いが詰め込まれいて、僕も泣かずにはいられませんでした。個人的にはあのシーンで「この映画は間違いない」と確信しました。また加筆された台本を読んだ高坂が号泣したシーンもやられました。そしてそこからの「真剣勝負」という流れも実に良かった。本当に素晴らしい映画でしたね。