「今日がその日ではない」侍タイムスリッパー uzさんの映画レビュー(感想・評価)
今日がその日ではない
知ってる役者は出てないし、内容はお約束の範疇でしかない。
しかし、その積み方でこれだけ面白く、強度のある作品に仕上がるとは。
序盤から先の読めるベタベタのコメディ展開なのだが、不思議と笑える。
表情や台詞回しに動作、カメラワークにBGMやSE、その他すべてが噛み合っており、安心感すら覚えた。
かと思えば、横文字だけでなく伝わり難そうな単語には高坂がしっかり眉を顰める細かさも。
同じ殺陣を繰り返しても、しっかり芝居の重さが変わっているのが伝わるのも見事。
実戦と芝居の違いにもしっかり言及してくれる。
また、物語としてだけでなく、制作陣の時代劇愛もしっかりと刻まれている。
物語の最後には高坂が、侍としての想いに加えて役者や時代劇への想いを昇華する流れも素晴らしい。
その熱さのある展開へ、コミカルな流れを壊さず繋げた手腕にも唸らされた。
最後の殺陣、いや“斬り合い”の熱量は、本当に真剣を使っているかのよう。
細かなツッコミどころはいくつもあるが、どうでもいい。
単純なのに奥深く、笑えるのに沁みる。
登場人物はみな善人で悉く愛着が湧くが、やはり高坂のカッコよさと可愛さのバランスが絶妙。
優子や住職夫婦、風見などとの関係性も素敵。
こんなに拍手を贈りたくなる作品も久しぶりだし、だから映画はやめられない。
誰でも楽しめるエンターテインメントなのに良く練られてる事に感動すら覚えました。緩急も素晴らしく、泣き笑いなどは最高のバランスでしたね。なおかつ侍魂や殺陣師としての誇り、時代劇愛や幕末の激動、ほんのりの恋心まで含め、とにかくあらゆる配合が素晴らしかったと思います。僕も文句なしの満点です。
>その他すべてが噛み合っており、安心感すら覚えた。
そういえばそうでした。ずっと安心感があった。誰かを貶したり心をかき乱すような登場人物はでてこないし、突飛な演出もなかった。でもだからといって退屈じゃないんですよね。安心感や暖かさをベースにしながらも、感動や興奮する映画は作れるのだ、と教えられた気がしました。
>最後の殺陣、いや“斬り合い”の熱量は、本当に真剣を使っているかのよう。
ほんとうに真剣を使っているようにみえましたね。すごいわ。
>細かなツッコミどころはいくつもあるが、どうでもいい。
単純なのに奥深く、笑えるのに沁みる。
登場人物はみな善人で悉く愛着が湧くが、やはり高坂のカッコよさと可愛さのバランスが絶妙。
大いに同意です。
素晴らしいレビューをありがとうございます
共感とコメントありがとうございました。
監督たちの熱意と努力に、時代劇に関わってきた人々が力を貸してくれている「粋」な感じ、伝わって来ました。
三連休の初日に、いい映画に出会えて、幸せなひと時を過ごしました。