「「映画『ラストマイル』と僕の“疎外労働”体験」」ラストマイル domisotaka68さんの映画レビュー(感想・評価)
「映画『ラストマイル』と僕の“疎外労働”体験」
物流業界の闇を描いたサスペンスだが、そこに浮かび上がるのは“新自由主義が生み出した労働の現場”だった。
ラストワンマイル——最後の配達工程。受け手からすれば当たり前の便利さだが、その裏で「迅速」「丁寧」「安価」を求められる労働者たちは、常に疲弊し、すり減っていく。
これはかつて僕自身が経験した「疎外労働」の構造と重なる。小売店を継ぎ、フランチャイズ本部との軋轢の中で自由も尊厳も奪われていった。あの時、自分がまるで“顔のない労働力”に変わっていくような感覚があった。
マルクスの言葉を借りれば、それは「自分の労働と自己に対する疎外(疎外労働)」。何のために働いているのか、誰のためなのかも見えなくなっていく。映画の中でも、システムや企業は責任を個人に押し付け、「便利さ」だけが正義になっていた。
これはエンタメ映画ではあるけれど、“僕たちが日々無意識に享受している便利さの裏側”を鋭く突きつけてくる。労働とは何か、正義とは誰のものか。観終わったあと、そんな問いが静かに残った。
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domisotaka68さんのコメント
2025年10月1日
ひな様、
コメント、共感ありがとうございます。野木亜紀子さん脚本は社会的弱者に寄り添っていて泣かせますね。WOWOWドラマのフェンスも沖縄の今を描いていました。映画館の隣りで泣いていた方も弱者の気持ちに共感されたんですね。
ひなさんのコメント
2025年9月30日
domisotaka68さま
共感ありがとうございます🫡
公開初日のエンディングで「がらくた」が流れた時、劇場内はいたたまれない空気になっていました。
私と友人のそばにいた男の人(中村倫也さん位の年齢)が、肩を震わせて嗚咽をこらえて上映中ずっと泣いていたことが、今でも忘れられずにいます🥲