「非常に良くできたドラマ」ラストマイル 野々ノノノさんの映画レビュー(感想・評価)
非常に良くできたドラマ
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配達物の爆発という1つの事件からあらゆる問題が派生していき、否応なしに様々な不安や大きな影響を及ぼす。
1つのシステムに依存することがどれだけ危険か、そんな気もなしにどれだけ思考停止に陥っていりのかあぶり出され、現実世界ともリンクしている。
でも、根底にあるのはそのシステムを支えているのにどれだけ多くの人が関わっているのか、その仕事にどれだけの想いや苦悩が加わっているのか、全てが機械で賄えないからこその人の力、等身大な生活があるからこそで、そこには必ず肯定的な物語があることも教えてくれた(もちろん、等身大な絶望もあることも)。
脚本が素晴らしく、ミスリードと伏線もよく効いている。ミステリー的な要素もありながら、文句なくヒューマンドラマとして完成されていると思う。社会人として仄暗いものまでも含めた共感ができたし、舟渡エレナのそれでも正しさを求める姿勢はもちろん、配送業に関わるすべての登場人物にも尊敬でき、現実への見方も変えてくれる良い映画だったと思う。
ただ梨本孔のキャラクターだけがちょっと微妙だった。現代らしいキャラクター、しかも後を継ぐような人物像となるとこうならざるを得ないのかというようなありきたり感? 優秀でギャップもあるけど、だからこそ作られた人物像的な感じがしていまひとつ共感が持てなかった。ラストで彼がバトンを受け取ったとき、そこにいまひとつ気持ちが乗らなかったのはそこなのか……。その先のビジョンがあまり見えなかった。
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