「どんな状況でも懸命に企業を支える者達の苦闘」ラストマイル みかずきさんの映画レビュー（感想・評価）
どんな状況でも懸命に企業を支える者達の苦闘
興味のあるシェアードユニバース方式を採用したヒット作品なので鑑賞した。本作は巨大ショッピングサイトの物流センターを舞台に繰り広げられる社会派サスペンス。配送物の連続爆発事件を主軸に、単なる犯人探しに留まらず、物流業界を多面的に捉え、全てはお客様のためにという企業理念に翻弄される人々の姿を丁寧に描くことで、企業にとって大切なのは何かについて深く考えさせられる作品である。
繁忙期のブラックフライデーが迫ったある日、配送物が次々と爆発し日本中を震撼させる連続爆発事件が発生する。爆発は全て同じ物流センター出荷品であり、センター長に着任したばかりの主人公・船渡エレナ（満島ひかり）とチームマネージャーの梨本孔（岡田将生）は事件解決優先の警察と対峙し配送を止めずに真相を究明しようとするが・・・。
満島ひかりは、台詞回しと目の表情で、只者ではない雰囲気を醸し出している。流石、演技巧者。また満島ひかりと岡田将生の演技の相性が抜群であり、時々刻々激変する事態への対応を巧演している。脚本も難解になりそうな急展開ストーリーを分かり易く捌いている。
連続爆発事件がメインではあるが、繁忙期に配送を止めるなと指示する自社・上層部と警察との板挟みになり葛藤する主人公達の姿、下請け会社やその従業員達の姿などの豊富なサイドストーリーを織り交ぜてテンポ良く上手にまとめている。
シェアードユニバース方式なので、多くはないがアンナチュラル、MIU404両作との絡みはあり両作の雰囲気は楽しめる。また両作とも本作との繫がりは自然なので、両作を観なかった人でも堪能できる。シェアードを名乗るなら両作の出番がもっと欲しい。
主人公は後半、梨本との会話で自社企業理念である、“全てはお客様のために”を連呼する。この言葉に嘘はないが、サイドストーリーで描かれる、どんな状況でも懸命に働く自社、下請け会社の従業員達が企業理念を支えていることを忘れてはなるまい。
観終わって、“企業は人なり”という言葉が心に深く刻まれた。
コメント、ありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いします。
テレビ番組とのコラボで話題となった本作品ですが、そのエンタメ性だけでなく、現在の状況に係る問題点についても追及していて、楽しませてもらいました。
はじめまして、てらちとと申します。
企業はお客様のため、と言い、株主とお客様の顔色ばかり見てますが、同じようにその企業で働く人達も大事にする事がその企業の今後の発展にも大事ではないかと思いました。
企業は人なり、ほんと、沁みる言葉ですね。そんな企業が増えるといいですね。
Buttonです。コメントありがとうございます。最近映画にハマるようになりました。金曜日の゙レイトショーで仕事の疲れをリセットするって感じです。呑みに行くより映画鑑賞の方がよっぽど良いなと思うようになりました。あと、写真も趣味にしております。キネマ旬報って文芸誌ですよね、採用されるって凄いですよね。昨年のベスト作品はマイゴジではなく、せかいのおきくでしたよね。キネマ旬報らしいですよね。また、採用されると良いですね。よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます♪
倉庫の在庫・安全管理はもちろんですが、配送する膨大な荷物をどうやってお客さんに届けるか
という点で考えさせられる作品でしたね。
コメントありがとうございます。
たしかに関わる人たちの奮闘があっての「お客様のため」ですよね。
あの大きな倉庫を数人の社員（今回の有事にはほぼ二人で対応）、すごい人数の派遣職員が支えてるっていう背景にも色々考えさせられました。
お久しぶりです。みかずきさんのいつもながらの高密度レビューに共感押させていただきました。
あれは、シェアードユニバースって呼ぶのですね。残念ですが、私は単なる客寄せとしか感じませんでした。
ストーリー上の重要度があれば感想も違っていたかもしれませんが。
楽屋落ち的な雑味のない、すっきりした作品が望ましいと思っています。
コメントありがとです。
満島さんが抜群でたまげました。物語も含まれるものが多い気がして見応えありましたねー。資本主義の成れの果てを見てるようで憂鬱にもなったのですが😅
共感ありがとうございます。
レビューのシメ部分…＂企業は人なり＂は、まさにそう思わされましたよね…。
観終わった際に、いろんな考えや思いなどが湧いてくる作品でした。実に面白い作品をひさびさに観たって感じられる映画だと思いました。
また、よろしくお願いします。
