「両面性」ラストマイル スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
両面性
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塚原×野木コンビが本作でもこの現実世界の光と闇を描く。
本作ラストマイルもアンナチュラルやMIU404と同様、現実社会ならではの問題と昔から変わらない人間同士の葛藤をテーマにサクサク進んでいくストーリー展開、
登場人物たちの軽快な掛け合いは健在。
久しぶりに会えた「あいつら」も相も変わらず元気で仲良さげで何よりだ。
ただ、そんな奴らも今回は「付け合わせ」。
やはりメインは主演の満島ひかりと岡田将生のこの2人。
エレナもコウも悲惨な過去やバックボーンがあるわけではない。
キャラクターとしてはどこか薄味。
だからこそ、鑑賞者はこのどこにでもいるような2人の登場人物にすっと感情移入できる。
それもそうだ。
これは創作物であり、ドキュメンタリーだ。
彼らは有名俳優らでもあり、我々なのだ。
脚本家野木亜紀子氏のよく使う言葉の両面性。(本作では言葉のマジックと表現されていた)
そして、この作品のラストこそが描きたかったこの世界の「表と裏」なのかもしれない。
かたや無事届けられた荷物と守られた未来。
かたや無情にも稼働するベルトコンベアと守れなくなる自分。
エンドロールの締め方も含め、かなり酷な作品だ。
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