劇場公開日 2024年8月23日

「カスタマーセントリックとは何か? きちんと自分の頭で考えている人は強いよ。」ラストマイル あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5カスタマーセントリックとは何か? きちんと自分の頭で考えている人は強いよ。

2024年8月26日
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鑑賞方法:映画館

ポスターをみると「シェアード ユニバース ムービー」とキャッチがついている。これってバラバラな複数の物語が一つの映画の中で共通の舞台に乗っかるということで、元々はアヴェンジャーズやX-MENのような作品群のことを言ってた。
今回は、塚原あゆ子、野本亜紀子のコンビのTVシリーズ2作品がオリジナル作品の映画に乗り入れるという趣向で興行的には大成功。劇場はTVシリーズのファンと思われる人たちで一杯になっていた。それはそれで全然悪いことではない。
ただ映画の主題の「ラストマイル」すなわちサプライチェーンの最後、消費者の手元に商品が届く最終段階で事故がおこり、そしてその原因はその手前である物流倉庫のなかで仕込まれている、という設定の意味合いが、シェアードのシーンが入ることでちょっとボケちゃったね。ちなみにサプライチェーンっていうのは生産者から消費者に至る一連のモノやお金や情報の流れのことを指します。
いや、本筋の方の話もよくできているんです。でも「綾野剛のキャラはドラマ通りだな」とか「石原さとみでた〜」とか目を奪われているうちに、あれあれ何だか話がわかんなくなっちゃったとかいう人多いんじゃないかな。つまりラストマイルと物流センターでそれぞれ起こることの対比がきれいに見せられず間にあれこれ入ることで理解を阻害するっていうことです。そして5年前の事故の真相、それに関連するロッカー内の謎の数字、っていうあたりは明らかに説明不足というかおそらく設定自体が十分に掘り下げられていない。あれでは中村倫也や仁村紗和がわざわざ出演した意味がないです。
でもこの映画でやっぱり光るのは舟戸エレナを演ずる満島ひかり。優秀なビジネスウーマンを圧巻で表現できています。Daily Fast社のモットーである「カスタマーセントリック」を彼女は自分の言葉で説明しているでしょう。私の経験でも、顧客第一をどこまで自分の身体に覚え込ませているかでマーケッターとしての優秀性は違ってきます。大概はディーンみたいに付け焼き刃なんだけどね。

あんちゃん