「歯車」ラストマイル LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
歯車
Amazon とクロネコヤマトを思わせる配送ビジネスにおいて、届いた荷物に無差別に爆発物が紛れ込んで人々を殺傷し始めます。誰がどの様な目的でどんな方法で・・と言うお話です。
しかし、本作はそうしたミステリー要素を装いつつも、実は、「より早く、より安く、より多く」の欲望を充足させる事に奔走し続ける現代社会は何をもたらして来たのかに深く踏み込んだ社会ドラマでした。
目先の利益追求を「お客様の為」と読み替えさせる経営モットーの欺瞞性は社会で揉まれた多くの人に沁みるのではないでしょうか。このフレーズはこの後、「それは働く人の為。あなたを成長させる」と続き、不満を持つと「それを選択したのはあなた」と押し付けて来るのでしょう。みんな嘘っぱちです。「win-win で」なんて言い出す人間が居たら要注意です。そんな場合はいつも、相手が 7:3 で得する話なのです。
ただ、「アンナチュラル」「MIU404」といったTVドラマ中の人物がそのままの役柄で本作中に登場するという設定は、そんなドラマなど観ていない僕には、全くのノイズでした。ストーリーに直接関わる訳でもない役に大物俳優が次々と登場する流れはそこだけが浮いていました。
「テレビを観ていた人の為のお祭りなんだろうな」って。
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