「見えない人に対して敬意を」ラストマイル パンダマンさんの映画レビュー(感想・評価)
見えない人に対して敬意を
最大手の通販サイトからの荷物が開封されたと同時に爆発し、何者かに爆弾が仕掛けられていることが分かり、物流がピンチを迎える話。
手にしているものが、どこからどのようにして来たのか。
どれほどの人が関わって、ここまで配達されたのか。
そんな見えない人たちに対して敬意を払いたくなる映画。
製品がどのように管理され、どのように配達されていくのかの流れを見れるのが勉強になりました。
電気や水道といったライフラインと同等に、物流に信頼がないと今の生活が一気に滞ってしまう。いわば依存しきっている現代。
「お客様第一に」というスローガンの真意のままにされていることにゾッとした。
なにごとも一点集中で依存するのは良くないなと思わされた。とくに病院に向けた薬の件。
映画としては、現代社会の課題を取り上げているけど超絶エンタメ。
野木さんチームの作品は、コミカルだったり軽快な会話でポップであるけど、その中に現代社会の問題点を挟み込むのがとても上手い。
それも説教じみてないし、くどくもない。
アンナュラルとMIU404を観ていたら100倍楽しめます。
あと個人的な話。
工場で生産管理をした経験のある先輩がいた。
2年ほどまではバリバリ働いたけど、ある日スピード感についていけなくなり休職した。それからしばらく喋ることもままならなかったそう。
エレナの言葉を聞いて先輩のその話を思い出した。
製品をお客のもとにまで送り届けるスピード。納期。
最優先事項なのは分かっているけど、エレナや先輩といったラインを管理する人たちや、スピードを追い求められる割に低賃金の宅配業者が疲弊していくのを見聞きすると、本当に優先すべきサービスなのか?と疑問視してしまう。
時間感覚がとにかく速くなっている昨今、そんなに急かせか生きたくねぇよと言うのが本音。
そんなこと書く私は社会人一年目。
いろいろと考えさせられる映画でした。