劇場公開日 2024年8月23日

「エンターテイメントと社会性のバランスの妙」ラストマイル tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エンターテイメントと社会性のバランスの妙

2024年8月23日
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なんと言っても、着眼点が面白い。
ネット通販が日常生活の一部となっている現在、届いた商品が爆発するかもしれないという設定からは、他人事とは思えないような身近な恐怖を感じるし、それによって商品が届かなくなることの事態の深刻さも想像するに余りある。
エンターテインメントと社会性がしっかりと両立しているところも良く出来ていると思う。
爆弾と犯人探しのミステリーで観客を引き込みながらも、過重労働やら、人手不足やら、賃金の低さやらといった物流業界が抱える問題も正面から取り上げていて、特に、「顧客重視」の欺瞞と下請けの搾取の問題は胸に刺さるものがあった。
犯人に関するミスリードは心憎いし、(実際は、ちゃんとした防止策が講じられているのだろうが)爆弾混入の手口にも説得力がある。
犯人の「居場所」が判明するくだりから、最後の爆弾を巡るスリルとサスペンス、そして洗濯機の伏線回収に至るまでのクライマックスも見応えがあったし、現場の配送作業員に対するリスペクトも感じられて胸が熱くなった。
ただ、「MIU404」と「アンナチュラル」のメインのメンバーについては、しっかりと物語には絡んでいたものの、せっかく登場したのであれば、もっと個性を発揮してもらいたかったと、少し物足りなく思ってしまった。

tomato