劇場公開日 2024年8月23日

「日本頑張れ!日本人頑張れ!」ラストマイル naozさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本頑張れ!日本人頑張れ!

2024年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

幸せ

タイトルは私が思う、この作品のテーマ
(あえてパンフも読まずに書いているので間違っていたらとても恥ずかしい)

きっと予算的にはネトフリとかに全然及ばないだろう。それでもこれだけの大作を作れるクリエーターが日本にいてくれることがとてもうれしい。
あえて端的に言うなら「強く心に残る映画」、名作です。

野木脚本は今の日本の現状、とくに労働問題について正面から問題提起している。そして物流業界と某巨大外資ショッピングサイトについて相当しっかり取材し、何が問題なのかを強烈に訴えてくる。
彼女の脚本は予定調和を嫌い、無知を嫌い、人間を丁寧に描く。さらに「どうせこの先こんな感じの話なんでしょ」と安易なストーリーにはならない。先が読めないから上映中ずっと緊張し続けることができる脚本は少ない。そして、決して説教くさくならずエンタメとしてちゃんと成立し、物語の本質的なテーマが絶対にブレない。だから原作モノであってもファンを裏切らない。

テーマが重くてもエンタメとして成立しているのは塚原監督の技量も非常に大きい。テンポよくスタイリッシュでありながら、劇中音楽を含めてドラマの盛り上げ方がとにかく上手い。
個人的には異様なまでのリアルな描写(爆破シーンのけが、例の男性の大量出血シーン、焼死体の消し炭感)に手を抜かない。そこに「しっかり現実として感じろ」と言う強いメッセージを感じる。

そしてそして、彼女たちの能力をフルに発揮する場所を提供するプロデューサー、本当に素晴らしい。

岡田将生、満島ひかりの魅力が存分に描かれた本筋のストーリーも素晴らしい!出てくる役者が全員とても魅力的に見えるのもこの制作陣の作品の特徴でしょう。
アンナチュラル組もMIU404組もどちらもドラマの終了後もしっかりそこで生きていると思わせてくれる。
これが下手な作品だと過去が無い人間がいきなりその舞台に立つ。キャラクター造形の深さが全然違う。

映画もアンナチュラルやMIU404と同様、決して甘く終わらない。現実はとてつもなく残酷で弱者に厳しい。それでも、私たちが少しずつ「なにか」をすることで、自分の周りが、会社が、社会が、日本が変わってくれるのではないか、と信じたくなる見事なエンディングだった。

あとなにげに爆発のCG良かったです。あれがチープだとドラマ自体がチープになってしまうので。

強いて言えば404組の活躍がもう少しだけ欲しかった。
あでも大倉
でもまさか彼が新しいメンバーになってるなんて(笑)

naoz