Floating Holidays フローティング・ホリデーズのレビュー・感想・評価
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定番の感動ドラマじゃなかった
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適応障害のため田舎で療養することになった会社員女性が美しい自然や人々の温かいおもいやり、はたまた転がり込んできた弟の奔放な生き方に触れるうち、あるべき姿を取り戻していく・・・という定番の感動ドラマなのかと思って見たら大間違い。楽園のような澄み切った青空の下で繰り広げられるのは意外や重層的で複雑、そしてどうしようもなくいびつで不器用な人間の物語だった。
コミカルにも見える姉弟の関係だが、幼少の頃から姉は羨望を抱え、弟は計算高い狡猾さを備えていた。長年の不信と愛憎が鮮烈かつ繊細に描かれる。だからこそひたすら仕事に執着し続ける姉に
人は死に向かって生きてるだけとさらりと言ってのける弟の暗部は深い。そして二人は互いを思いやりつつも理解し合うことはないのだと思わせるエンディングが切ない。
にしても、全編から立ち昇るむせるような生気が素晴らしい。複雑な来し方と抱える闇があるだけに、風景も登場人物たちも言葉も音楽もビビッドな光を放っている。こんな光に包まれて、なんだか素敵な休暇を過ごしたみたいな気分になった。
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