ぼくが生きてる、ふたつの世界のレビュー・感想・評価
全180件中、101~120件目を表示
母の背中に涙。
耳が聞こえない両親を持つ青年の成長物語。
原作は未読。
描かれていた日常の差別的な事はほんの一部でしょうし、完全に理解はできないかもしれないけど、映画になったことは意義あることでしょう。
ママに抱きついていたかわいい子が、中高生になり母にひどい言葉を浴びせるけど、当事者にしかわからない苦悩があるけど。
思春期にはどこのご家庭も、男の子ならあんな感じですよと、お母さんに声をかけたくなりました。
手話サークルの仲間に「やれることを取り上げないで」と言われてその世界を理解したように、もっと接して理解できたらいい。ふたつの世界はひとつにはならないけど、より近づけたらいいなと思いました。
涙ジワジワでした。
吉沢亮、この役うまかったです。現状に悩む姿だけでなく、髪長めの時やパチンコ屋店員の時の投げやりな感じとか、就活してもこれじゃ面接受からない感じとか。
そして子役の子達が、吉沢君に似た顔立ちで違和感がなくて良かったです。
忍足亜紀子さんは知っていましたが、演技は初めて拝見。…と思ったら、レビュアー様のレビュー見ていて、「黄泉がえり」に出てたの判明。見たけど覚えてないです。もっと色々出演されてる作品見たいです。
烏丸せつこさんも久々に拝見しました。クレジット見るまでわからなかったです。
ぼくが生きてる、ふたつのせかい
静かな映画
聾者の両親のもとに生まれた主人公を中心に、
聾者とその家族の葛藤、愛情を描く映画
「聞こえない」親のもとに生まれた「聞こえる」こどもを、
『コーダ(Children of Deaf Adults)』と称するんですね。
初めて知りました。
主人公の出生から始まり、幼少期・小学校・中学校と進みます。
いろいろと嫌な思いをしたり、同情されたり…
自分の失敗を親のせいにしてみたりと、様々な葛藤がある。
しかも、同居の祖父は刺青しょった博打うちだし、祖母は宗教に傾倒しているし…
なかなかの家庭環境ですね。
私はエンパスの気があるので、ちょっと観ていて辛かった。
そんな中でも、聾者の両親は穏やかで誠実なタイプで、自己肯定感の強い、明るい人たち。
これが救いでしたね。
主人公も、いろいろと葛藤はありつつも愛情深くて、良い人。
静かな明るさが好印象でした。
映画としては、派手なことは何も起きなくて、
静かに静かにエピソードが紡がれていくもの。
エンタメとしてのおもしろさは無いかも知れないけど、
エピソードの向こうに透けて見えるものに感じ入りました。
母と子の暖かい関係
2022年の米国アカデミー賞作品賞を受賞した「コーダ あいのうた」に続く”コーダもの”(そんなジャンルがあるのか知らんけど)でした。 コーダ=CODAは、Child of Deaf Adultsの頭文字を取った言葉で、直訳すれば”聾唖者の親を持つ子供”という意味であり、本作でもこの言葉そのものもが出て来てました。「コーダ あいのうた」も本作も、聾啞の親と耳が聞こえる子供の親子関係にスポットを当てた良作でしたが、創作の物語でどちらかと言えばコメディ要素が強かった「コーダ あいのうた」に比べると、本作は原作者にして主人公でもあった五十嵐大(吉沢亮)のエッセイを元に映画化されていることや、舞台が日本であることもあって、非常に身近なお話に感じられました。
そして主役の大が生まれたところから始まり、大人になるまでを描くことで、特に母親である明子(忍足亜希子)に対する大の感情や二人の関係性の変遷が、非常に分かりやすく表現されていて、コーダの偽らざる想いが十二分に伝わってきました。
さらに大が故郷の宮城から東京に出て来て働き始めた以降の展開も面白く、第三者との関係性の中で両親、特に一度は反発した母親に対する想いが再び優しい方向に向いた時、こちらも自分の母親を思い出して涙腺が緩んでしまいました🥲
俳優陣は、主人公・大を演じた吉沢亮が、表情だけでなく後ろ姿を含めて実に繊細な感情表現をしていて素晴らしかったです。また、母親役の忍足亜希子はじめ、「コーダ あいのうた」同様に聾の役は聾の俳優が務めており、本作の見所とも言うべきものでした。
大が勤めることになった雑誌編集長のユースケ・サンタマリアも、怪しげでいながら魅力的な雰囲気で良かったです。
一点予想と違ったのが、東日本大震災の話が出てこなかったこと。原作者の五十嵐大は1983年生まれとのこと。主人公の大の生年は作中明示されていなかったものの、子供時代にファミコンでスーパーマリオに夢中になっていることからも、年代にブレはないのでしょう。従って、宮城県の海辺の街を舞台にした作品だったので、確実に震災の話が盛り込まれるだろうと思っていたのですが、実際はそうではありませんでした。
震災の話を入れるとそちらがメインになってしまいがちなので、それを避けたかったのか、全く当初から念頭にすらなかったのかは分かりませんが、そういう物語になっていたらどうだったのだろうと夢想しながら劇場を後にしました。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
ドラマ『デフ・ヴォイス』と共通したところ
人気俳優が主人公のコーダを演じ、ろう当事者が親や友人として多数出演するとともに、手話表現の監修や演出まで関わって丁寧に制作され、母親役として忍足亜希子氏が抜擢されている点では、NHKドラマ『デフ・ヴォイス』と共通している。実話でもそうなのかもしれないけれど、主人公の生き方がはっきりせず、祖父母の人物設定が冗長で、また母親に比べて父親の出番が少なく感じられた。子役が赤ん坊から細かく区切られ、小学生時代は、『君の手がささやいている』のエピソードも採り入れ、演技場面も多かったから、中学生・高校生時代も、相応の年代の子役の演技をみたかった気がする。ろう当事者との絡みの場面は、ドラマ『サイレント』よりも薄いけれども、自己主張の強いろう者像も随所にみられたことは収穫であった。阿武隈急行にも乗りに行きたい。
盛り上がる部分が欲しかった
誰もがいくつかの世界を生きている。
五十嵐大さんによって出版された自叙伝の実写化で耳の聞こえない両親の元に生まれた息子の成長を描く物語。両親を実際に聾者である俳優が演じている。
ごく当然だったことが、成長と共に違和感に変わってゆく。お母さんの通訳を誉められて誇らしかったはずなのに、いつの間にか手話を恥ずかしいと感じてしまう。そんな少年が成長しやがて東京へ旅立つ。そして都会の中にも両親と同じように耳の聞こえない人達がいて、それぞれが地に足をつけて生活していることを知る。
各世代の子役がしっかり吉沢亮に似ていて感心した。欲を言えば中学生までは子役でやってほしかったかな。さすがに吉沢亮の中学生はちょっと無理があった。
両親との確執ばかり描いたりせず、あくまで大の成長の過程の中での両親との関わり方を描いていて、そこがとても良かった。この世界の全ての家族と同じように。出版社のシーンも面白かった。
素晴らしかった
出演者みんな良かった。
コーダの悩みや、障害者との関わり方もリアルなんだろうなと感じられた。
大ちゃんとご両親役のお二人が実は年齢が近いだなんて、観ているときはまったく感じず、祖父母や叔父叔母含め、本当の家族のようで自然だった。
お父さんが倒れて実家に戻った大ちゃんに、おばさんが「大ちゃんが生まれるとき祖父母が反対したけどお母さんは産んだ」と伝えるときの感じとか、私に語彙力がないから上手く表現できないのだけど、本当に関係ができてる家族の感じで、聞こえない両親の元に子が産まれることへの祖父母の不安と、子を産み愛したかった両親の愛、それを見守ってきた叔母、みんなが素敵で…
近所で鉢植えが倒されなぜか犯人扱いされる理不尽、
きちんとお母さんは怒ってくれたのに、お母さんが聞こえないから自分がこんな目に遭うと思ってしまう苦しさ、リアルだった。
面接で落ちる経験はしつつも、大ちゃんが東京で居場所を見つけられたのは、親や家族に愛されて慈しまれて育ったからなんだなと感じた。
ユースケサンタマリアの「大ちゃんはどこでもやっていけそう」「しがみつく場所ができたらいいね」の台詞が沁みた。
自分が「こんな思いをする」苦しさ・怒りを、本当は大好きな両親に向けてしまうことでの二重の苦しみが、上京するとき、駅のホームでの涙と表情に表現されていて、こちらも一緒に感情が高ぶり、たまらなかった。
手話をからかうような、小学校のときの同級生は問題外としても、飲食店で注文の際に良かれと思って“手伝ってしまう”のとか自分もやっているけど、当事者がそこまでいいのにと思っても言い出しづらい関係性だったら、良かれと思ってても相手にはありがた迷惑通り越して不快かもしれない…
自分も含め、障害者に障害を背負わせてる側の者として、どうするのが良いことなのか、考えて行動していきたいと思った。
お母さんが、外で手話を使う自分について、必要なものだ、ごめんと素直に伝えたこと。
率直に逃げずに向き合える親って素敵だなと思った。
大ちゃんは心の底では、外で手話を使うお母さんを嫌いとか恥ずかしいとか思ってないんだよね。
だから、東京で知り合えた手話サークルの人の知り合いとの誕生会に参加するし、上京前にカフェや電車でお母さんと自然に盛り上がる。
パチンコ屋さんで意思疎通が取れずに困っている人を、見て見ぬふりせずに助ける。
とにかく、とにかく、素敵な映画でした。
素敵な家族の、あたたかな物語なので、障害がテーマだとか思わず構えずに観てほしい。
主演の俳優さんは今旬の若手俳優さんだと思うが、そういう方が出たことで間口が広がって、たくさんの方に届くといいなと思う。
思い出した順に取りとめなくダーッと書いてしまったが、本当に良い映画です!
ずっと自然体で優しく美しいお母さん
丁寧な作品
とても丁寧な作品でした。
両親が耳が聞こえず、健常者の息子(いわゆるコーダ)の育ち方、感じ方を順番に追う構成。
原作がエッセイなのか、実体験ベースの話らしい。
聞こえる自分(主人公)が、母に言葉を手話で「通訳」して伝えることが誇らしく嬉しい幼少時代はいいとして。
小学校の同級生からの「お前の母ちゃん変」から始まり、多動性気味で空気を読まないお調子者の同級生が手話をからかう。
近所のババアは「障害者の息子はストレスを発散するため、近所で起きたいたずらは主人公のせい」とやってないのに決めつけ「一緒に謝ってあげる」と無理矢理腕を引っ張る差別っぷり。
元ヤクザな暴力男で博徒の祖父の介護と新興宗教にハマった祖母、聾唖な両親のケアで、次第に家族の通訳や介護が「当たり前」になることが重く感じ、自分だけが不幸で搾取されている気になっていく。
忙しさに勉強が追いつかず高校受験に失敗し、大学進学はならず、パチンコカスとして生きる。
不景気による父のリストラで働かなければならなくなり、田舎でくすぶるよりいっそ東京に行けと背中を押した父の言葉に上京。
背景に描かれる流行が「あったあった」と思えるものが多く。
小学校低学年のときにファミコンってことは、私より下の世代(後でググったら、著者は1983年生まれ)だから、結構かぶっていました。
夜逃げしちゃう編集長がユースケ・サンタマリアで、うさん臭さが何人か知ってる人そっくりでよかったw
反抗期~思春期には「違う」って見られるだけでつらいのに、母の内職などからわかる「ヤングケア前提で貧乏な環境」はキツいよね、と頷きながら観る。
『コーダ あいのうた』より、メタメタに悪い環境にある子どももいることを念頭に、勝手に思い込んだ「普通」を基に差別しちゃいかん!と改めて思わせてくれました。
その環境だって、作中お父さん役の人のセリフ「どこの家にもそれぞれ悩みがあるよ、たぶんね」という一言に集約されていたように、特殊な事例ではなく、どこにでもあることのような気がします。
程度の差はありますが、たとえば「子どもは親を手伝って当たり前」みたいな、親ではなく祖父母や親戚、周辺住民の同調圧力による、子どもの心の圧迫とか、「娘は家族の料理を作って当然」みたいなクソ親だっているじゃないですか。
そんな勝手な「当たり前」「価値観」を押し付けることで子どもを傷つけ、もめて。
それは子どものせいではなく、主に周りの理解のなさの方が問題じゃないかとも。
それだけの説得力ある描写の積み重ねが、映画としてよかったです。
……ただ原作者がどんな人かは知らないし、同一視したら危険かも。
ラストは鼻の奥の方がツーンとした😢
聴覚障がいの両親の元に生まれた1人の男の半生を描いた感動作。 本年度ベスト!!
何か起こる訳ではないけど、日常の親子の会話や息子の行動や発言などに心を打たれる素晴らしい作品だった!
観賞後も本作の事を思い出すだけで理由が解らない涙が出る感じ(笑)
聴覚障がいの両親を持つ吉沢亮さん演じる大の半生を描いたストーリー。
吉沢亮さんが主役と思いきや前半は全然登場しない(笑)
と、思いきや小学生の大を演じた子役が吉沢亮さんにそっくり(笑)
ここでストーリーの流れが予測出来た感じ。
大の行動の全てが心に刺さる!
こんなに登場人物に共感出来る作品に出会った事がない!
大が成長する過程での反抗期や家を出たい気持ちとか、男性なら共感できる感じだった。
逆に女性陣の感想が聞きたくなる。
大が父親と道路を歩きながら会話する長回しのシーンも素敵だった。
手話で話しているのに、思い返せば普通に会話していた記憶になっている錯覚に陥る(笑)
圧巻だったのは吉沢亮さんの手話。
相当練習したんじゃないだろうか?
コーダと言う役を違和感無く演じる姿が素晴らしかった!
母親と子供の親子愛は障害の有無に関係無い絆で結ばれていると思わされた。
終盤の駅のホームのシーン。
いきなり無音になる演出がヤバい!
ヒクヒクと泣いてしまった自分が周囲にバレてしまった(笑)
個人的に吉沢亮さんに主演男優賞を差し上げたい作品でした( ´∀`)
全180件中、101~120件目を表示