「苦悩を出さずに振る舞う表情とそれが拭えない背中」ぼくが生きてる、ふたつの世界 サスペンス西島さんの映画レビュー(感想・評価)
苦悩を出さずに振る舞う表情とそれが拭えない背中
2024年劇場鑑賞76本目 傑作 76点
+ロングラン舞台挨拶にて2024年劇場鑑賞95本目
母役の五十嵐明子さんは個人的に2024年最優秀主演女優である
拭え無い幸薄さや芯の強さが、実母を彷彿した男児は多かったのではないだろうか
成人して母と出かけたりランチしたり電車乗ったり、小っ恥ずかしさを超えた彼は凄い、作中の彼と歳が近いし似た母を持ち仲が良いと思っているがあれにはまだ到底なれない
けれど長くない親子一緒にいれる限られた時間と命に対していつまでのシャイでいるのも後に後悔するのもまたわかっているのが悔やまれる
だがこれも今作のタイトルであるふたつの世界である一方のろう者に住み寄り添う二人だけの世界だからと吉沢亮演じる主人公が己の皮を剥いで生まれた行動原理なのだろう
それまでの彼の成長とその過程の母の強さ、反抗期から脱皮期を丁寧に描いた最後の下車し先を歩く小さく丸くなった母の背中から感じる苦労を出さずに明るくそこに居続けてきてくれない母の拭え無い背中には、彼同様あらゆる穴という穴から水が噴き出すほど涙した
個人的24年ベストシーンと最優秀女優の2冠を誇る大作であった
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