「可もなく不可もなく 最後はうるっとくる」ふれる。 0416さんの映画レビュー(感想・評価)
可もなく不可もなく 最後はうるっとくる
全く話題になってなかったので期待せずに鑑賞。
全く面白くないというわけではなく、起承転結はしてるし、最後はウルっと来させられるシーンもあるが色々中途半端でめちゃくちゃ記憶に残る名作!というわけでもない。
75店前後の平均点という感じ。
「心が叫びたがってるんだ。」「空の青さを知る人よ」は見ており、単純な評価としてはここさけ以下、空の~以上といった感想です。
・友情物語
小学生時代からずっと一緒の3人組。
その友情がメインのお話ではあります。序盤は心地よくこの3人はずっと仲良し、ふれるのおかげで平和に続いていく…と感じさせるパートと、後半のどす黒い感情をぶつけ合うシーン、その後ふれると仲直りしたくて秋が頑張り、3人協力するのは個人的に好きです。
最後のふれるの涙があふれそうな作画の描写はさすがにウルっと来ました。
・女性向け
私自身は事前情報が全くなく、腐目的で行ったわけではないが、普通にBLを思わせる描写が多く、そういう目的で行ったなら楽しめかもと思いました。
当人たちは全員ノンケなのですが、手の触れ方、押さえつけ方、サービスショット(諒という登場人物のパンツ、お風呂シーンなど)、意味深なカットなどなど異性愛者の男性視聴者が見たらあまりそそられる要素は少ないので女性視聴者が多いのも納得なのですが、このスタッフの作る話は男女どちらにも受けるノーマルな話が多いので多分そういう意図はないかと思いました。
なのでBLとして見るものでもないし、仲の良い友情物語としても微妙で中途半端…と個人的に感じ、ターゲット層はどういう人?腐なのか通常なのか?どっちの目線で見たらいいかわからない…という感じになりました。
これなら一人は同性愛者にしたほうがターゲット層も方向性もハッキリしていてストーリーとしても面白かったかも…?とすら思います。(振り切った方がよかった)
まあどちらかに突き抜けて欲しかったって感じです。
私も腐要素は好きなので、思わず「はぁ~~~」と思ったり、おお、良い!と思う描写もありましたが、それは映画自体の評価にはならないので置いときます。
・童貞こじらせ男子3人組
ちょっと「うわぁ…」と思ったのが全員女性経験が少なすぎて「え!?いきなり距離近くない!!?」と引いちゃうシーンがありました。
よく消しゴム拾ってくれた、喋りかけてくれたから僕の事好きなのか!?と勘違いする男子の話が漫画とかでありますが、それタイプです。
まあ島育ち+今まで経験がない純粋な20前後の男って考えると変でもない気はしますが。
ただこれに関しては女子も女子で悪いので、結局傷つき損というかモヤモヤが残ります。
「え!?それだけで勘違いする!?」という人もいるかもしれませんが、キスして付き合ってないとかあの時だけとかはさすがに…なぁ…と。
・女子が割とクズ
中盤で根幹に関わる女性の登場人物が2人出てくるんですが、1人は結構クズです。
ストーカー被害に会い、主人公3人宅の家にいきなり(半ば無理やり)引っ越してくるというのも違和感ありますが、最終的にわかるのが「ビッチ」。
①キスを「いいよ」とOK出しておいて、キスして相手が付き合ってると思ったら「キスしただけ!?」「必死だったからしただけ」と逆ギレ(諒が言ってましたが「キスまでしておいて好きじゃないとか…ビッチかよ」は割と正論かなと思いました)
②ストーカー被害にあっているが、最終的に「自業自得」「ビッチ」という評価に落ち着く。しかし主人公達だけが悪いように言われエピローグでも謝ってるのは意味不明。
③顔と身長で男を選びそれまでどういう関係性でどういう事をしてもらったか関係ない
つまり簡単にまとめると『誰にでもキスをしてその事を責められたら被害者面する面食い』という感じです。サークルクラッシャーという表現が正しいかもしれません。
もちろん童貞こじらせの男も「いや勘違いしすぎ」とはなる部分もありますが、女は女で一緒に見ていた友人も納得の「ビッチ」という結論になるくらいの女だったので、そりゃストーカーもされるわと思いました(諒がそんなんだからストーカーされるんじゃね?と言ってましたが全くその通りです)
ストーカーも女が好きでストーカーをしたというより裏切られた腹いせにストーカーしたんじゃ…って感じですね。(多分一夜を共にしたら「え?付き合ってないよ?」みたいな事言われたんじゃないですかね)
で、もう一人女性キャラクターがいるのですが、この子もビッチ女を庇うものだから余計タチが悪い+勘違いさせる行動が多い。
ビッチ女よりはマシなのですが、親友と言っておきながら誰にでもキスしたりビッチ女にも明らかに問題があるのに全部男が悪いとずっと怒ってばかり。
主人公の秋に割と親し気で気があるような描写も多く(秋にだけ特別感のあるLINEを送る等)、でも実は諒と付き合ってました~も割とびっくり展開。いや、匂わせシーンはありましたが、結構唐突過ぎたので。
諒とは長続きしないんじゃないかな~とも思いましたね。主人公達との精神年齢に差があると感じるくらい考え方も大人すぎる。
・声優たちの演技
メインは俳優さんやアイドルの人なのですが(サブは櫻井さんや江口さんや茅野さんなどあの花声優が多くめっちゃ豪華)、一部の人のちょっと棒読みが気になりますね。
まず諒の声優さん。特に声が合っていない。もう少し低音で男らしいのを想像してましたが、普通の感じで、滑舌もたどたどしくずっと怒ってるシーンがあるのですが、感情の変化や起伏が少なく一辺倒…って感じでせっかく感動できそうなシーンなのに感情の揺れが全くないからもう少し徐々にヒートアップしていけばいいのに…と感じました。
男らしく頼りになるキャラクターなのでちょっと演技と声が合っていなくて残念でした。特徴的でもなく本当その辺にいる男性声という感じですね。一部駐車場で怒るシーンだけは演技良かったです。(ここだけは徐々に怒ってる感じが出てました)
ただそれをラストのシーンとかに持ってきてほしかったなぁ…声のボリュームもずっと同じだし、鑑賞に浸るとかもっと驚くとか殻を破れるシーンは沢山あったのに…と思いました。
主人公の秋の人は良かった。声がそもそも上村祐翔さんに似ていて、独白も凄く合う声質。陰キャ特有の感じもスイッチが入って感情的になるのも合ってました。最後のふれるに思いをぶつけるシーンは普通に感動出来ました。
優太の人も不可もなくという感じでした。ただやっぱり3人とも少したどたどしいというか、感情面が激しい演技は不慣れなのかな?という演技は多かったです。
・ちょっと描写不足
子供の頃にふれるを通して変な世界に迷い込んだことがあったらしいですが、そこでどうやって抜け出したのか、どうやって仲良くなったのかのシーンもなく、最後お互い引っ越してどこに行ったのか、今まで通り働くのか、秋は静岡に行くのかもわからず、優太は絶対この後問題起こすはずなのに学校の生徒と仲良さげなシーンだけが映し出されそれはそれで謎ですし、ちょっとある程度想像してね!で終わるシーンが割と多かったかなぁって思いました。
そもそもあの空間なんなの…仲直りすれば出れるの?どういうつもりであそこに閉じ込めたの?となります。
あと先生(お爺さん)がいきなり訪れ説明口調で「大変な事に…なるぅ」って言うシーンも匂わせだけじゃ展開するの難しいから説明で一気に片づける!という制作陣の意図が見えすいてちょっと萎えましたね…。いきなり現れて寄ってるのに違和感ある説明口調だけして帰っていく爺…ゲーム序盤の王様かな?