「心の声が聞けなくても本当は幸せ?」ふれる。 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
心の声が聞けなくても本当は幸せ?
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ブッダが一番説きたかったことは「友情」だと思っていますが、その「友情」の絆を作る神として「ふれる」は大活躍します。相手に対しての悪口や罵声が「ふれる」のフイルターを通した途端、愛と光に変わります。だからこそ人とのコミュニケーションが苦手だった秋(主人公)は、小学生から青年時代まで、2人の同級生と優しくて温かい友情を紡ぐことができました。しかし、人間は、創造と破壊という宇宙の流れに逆らうことはできません。そのファイルターの恩恵(常に上機嫌になる)を受けていた生活を一旦破壊して、次のステップに進まなければならないのは人間の常です。3人の同級生が手を繋げば、心の声を聞けるという魔法を、辛くても捨てるしかなかったのです。ここがこの作品の一番の背骨のような気がします。秋がそのことに気づいて、「ふれる」という神を一旦遠ざけてしまいます。しかし、いくつかの困難と誤解を乗り越えて、3人の熱い友情を再確認した時には、「ふれる」という神はワンランクアップします。そして、心の声が聞こえなくても、本当の友情と幸せを掴めるということを秋が悟った時、秋に寄り添ってくれた「ふれる」は棘のない可愛い相棒に変わるのです。人生は学びの旅だと思います。秋の清々しい成長をたどれたことは、人生の醍醐味をわずか2時間で味わえた気がして本当に感謝です。あと特筆することは「ふれる」のキャラクターがめちゃくちゃ可愛いことと、アニメ画像の美しさでしょうか。
追記 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(監督の以前の作品)の感動が、ふたたび甦るようです。あとYOASOBIの歌詞も秀逸でした!
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