「ラテン風味のヤケクソに向けて爆走する痛快ワンシチュエーションスリラー」ハンテッド 狩られる夜 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
ラテン風味のヤケクソに向けて爆走する痛快ワンシチュエーションスリラー
アリスが深夜に立ち寄ったガソリンスタンド、コーヒーを買おうと店内に立ち入るとそこには店員もいない。しょうがないのでお金をレジに置いて店外に出ようとしたその瞬間に銃声が響き・・・からのワンシチュエーションスリラー。ほぼ全編ガソリンスタンドだけが舞台、姿の見えない狙撃者とアリス、対峙する二人の心の闇が少しずつ暴かれていく展開がスリリングで意外な結末までの90分があっという間に過ぎる痛快作。
突然絶望的な状況に叩き落とされたヒロインの決死のサバイバルはいかにも製作総指揮のアレクサンドル・アジャが好きそうなプロット、アリスを演じるカミーユ・ロウはミシェル・モナハンに似た凜とした眼光が印象的。冒頭の数分でシレッと描かれるアリスの境遇がガソリンスタンドの脇に立つ巨大なビルボードに大きく書かれた“GODISNOWHERE”という言葉がフラッシュバックされるたびにグラグラと突き動かされる。これがGod is Nowhereなのか、God is Now Hereなのかは観る人に委ねられています。
ハリウッド映画ではあまりないタイプの終幕がずっしりと重くて、B級スリラーと片付けるのはもったいない作品。それもそのはず2015年のスペイン映画『シャドウ・スナイパー』のリメイクなのだそうですが、そんなタイトル聞いたことないのでググってみたところ現在配信はされていない様子。YouTubeで見つけた予告を観ると主人公は男のようです。去年DVDを買った『暴走車 ランナウェイ・カー』みたいにそのうち見つけて観てみたいと思います。
ちなみに入場特典でもらったチラシ、70年代風のレトロなデザインが最高です。
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