「今悩みを抱えているすべての人に見てほしい一作」インサイド・ヘッド2 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
今悩みを抱えているすべての人に見てほしい一作
前作『インサイド・ヘッド』(2015)でちらっと登場した「思春期スイッチ」が作動したら…、という、続編としては非常に正統的な内容です。
また新たな感情たちの登場でライリーの認識世界をめぐる主導権争いが起きる、という展開は冒頭からすぐに察しがつくし、実際その通りに展開していきます。
では本作は予定調和だけの退屈な映画かというと全く逆で、ライリーとともに成長したヨロコビたち以外の、シンパイなどの新たな感情たちがなぜ生まれなければならないのか、思春期の心の揺らぎとはいったいどのように生じるのか、といった、本来なら小難しくならざるを得ない説明を、真正面から、しかも手に汗握る冒険物語として描いており、その発想力、脚本の構成力には、前作同様改めて驚かされます。
これは前作に引き続き脚本を担当したメグ・レフォーブをはじめとした製作スタッフの力量によるところが大きいこともさることながら、『ソウルフル・ワールド』(2020)や『私ときどきレッサーパンダ』(2022)を手掛けた経験が大きく影響しているようです。実際本作からは、これらの作品の影響をそこかしこに見出せます。
本作が描く心の物語は、決して思春期特有の現象を扱っているのではなく、およそ多くの悩みを抱える人々の琴線に触れる普遍性があります。その意味で今悩んでいるすべての人にお勧めしたい作品です。
ただ前作であれほど重要な役割を果たしたライリーの家族はあまり本筋に絡んでこないので、家族の物語を期待すると意外に思うかも。
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