「CQCQ、あなたの恋は「Ditto」で満ちていますか? CQCQ」同感 時が交差する初恋 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
CQCQ、あなたの恋は「Ditto」で満ちていますか? CQCQ
2024.2.28 字幕 シネマート心斎橋
2022年の韓国映画(114分、G)
2000年に公開された『リメンバー・ミー』のリメイク映画
1999年と2022年に生きる大学生が無線機を使って交流する様子を描いたファンタジー&ラブコメ映画
監督&脚本はソ・ウニョン
原題は『동감』、英題は『Ditto』で、ともに「同感」という意味
物語は、2022年と1999年のソウル大学を舞台にして、そこに通う時を超えた大学生の交流を描いていく
2022年に大学に通っているキム・ムニ(チョ・イヒョン)は、父が使っていたHAMを使って交信を試みていた
ある日、その応答に答えた男がいて、彼は1999年に同じソウル大学に通っているキム・ヨン(ヨ・ジング)という学生だった
ヨンは通貨危機の煽りを受けた時代に生きていて、堅実な生活のために行きたくもない機械科に通っていた
彼は大学でバスケサークルに入っていて、その練習中に親友のウンソク(ペ・インヒョク)を怪我させてしまっていて、それを仲間からなじられたりもしている
ある日、ヨンは新入生のハンソル(キム・ヘユン)と会う機会を持ち、そこで彼女に一目惚れをしてしまう
話の流れで無線に興味を持っていることを知ったヨンは、ウンソクからHAMを借りて勉強することになった
そんな彼の元に、2022年のムニの電波が届いてしまうのである
映画は、2000年に公開された韓国映画『リメンバー・ミー』の時代を再設定したリメイク作品になっていて、リメイク元の未来が今回の過去パートになっている
それによって、世代間ギャップの描かれ方が違うのが特徴で、1999年を取り扱っているので終末論に苛まれている世代であることもわかる
絶望的な未来があることを知って終末論を否定することになるのだが、あの時点でのヨンならば、「いっそのこと世界が破滅してしまえば良いのに」と思ったかもしれない
だが、ムニがこの世からいなくなるという未来になるのも嫌で、それが原因で姿を消すということになっている
映画では、彼氏がいるにも関わらず、ハンソルはその恋に見切りをつけてウンソクと付き合い始めていることになるのだが、どれぐらいの期間、ヨンのことを探したのかなどが描かれない
それゆえに若干悪者っぽい印象になっているのだが、ハンソルが行方不明になったヨンを探すというシークエンスは描いていた方が良かった
部屋に行ってもいない、実家に行ってもいないという中で、憔悴するハンソルに寄り添うウンソクという構図を描いていれば、もっと印象が変わったように思える
このあたりのシークエンスと並行して、ヨンがどこに消えて、何をしようとしているのかを描くことで、ラストのヨンとムニの邂逅が感動的なものになるのかな、と思う
そのためにも大人になったハンソルとウンソクの夫婦シーンが必要になるのだが、このあたりは手間をかけてでも描くべきで、「外国に行っている設定」で登場させないのはナンセンスだったように思う
いずれにせよ、物語の骨子がしっかりしているので、欠落に思えるパートを減点材料としても補える出来になっている
1999年を生きた経験がある人には懐かしいシーンがたくさんあって、日本初のダンスダンスレボリューションとか、ノストラダムスに傾倒する若者などは観ていて楽しかった
その一方で、変わりゆく言語に関しては、日本と同じように「新語の誕生」「略語の進化」などが描かれているので、このあたりの解説はパンフレットに委ねても良いのかもしれません