「永岡監督は監督辞めて日常パートだけ担当しててほしい」名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) かつきさんの映画レビュー(感想・評価)
永岡監督は監督辞めて日常パートだけ担当しててほしい
映画四作目くらいからのファンで、最推しはキッドですが、二度と見たくないコナン映画は紺青の拳と業火の向日葵(これは静野監督)です。キッド好きなのに作品に恵まれなくて悲しいですね。
さて今回も紺青の拳や緋色の弾丸を担当した永岡監督。永岡監督作品の何がひどいかって、まず1点目が一番の盛り上がり(のはず)が微妙。
今回でいうと平次と×が飛行機で戦うシーン。まず飛行機どこから来た?そんな伏線あった?武器を破壊するのに爆弾ってどういう思考回路?母親の死因があれなのに無関係な人間巻き込む発想になるか?という突っ込みはさておき。そこの盛り上がりの演出がいまいち。なんだったら少し手前の沖田と鬼丸がいた乱戦のがBGMや動きも相まって盛り上がりました。
ラストの盛り上がるとこの演出って一番大事だと思うんです。この映画といえばこのシーン!、そこだけ何回も戻して見たくなるってなるところ。14番目の標的の無音のシーン、瞳の中の暗殺者の噴水シーン、最近だと執行人の「僕の恋人はうんたら」のシーンとか。今回はなんかバタバタ戦って、アニメの殺陣シーンによくある、無音からの一瞬の斬り合い、そしてお互い背中合わせになって、片方が倒れる、みたいなテンプレで終わり。紺青の拳のよくわからないドラゴンボールみたいなラストを思い出しました。
そして2点目。話がとっちらかりがち。紺青よりはましでしたが(あれは何を書きたかったのか本当に分からない)、色んな要素を詰めこみすぎて中途半端。途中まで謎解きしっかりしてるなぁって思ってた(土方の句集を使ったところとか)のに、気球使って距離が云々かんぬん言い始めたところで、最後あのレーザーが指し示す為だけのこじつけ感がすごくて一気に萎えました。これも紺青のこじつけ推理を思い出しますね。
あとは、全体的に駄目だった点が
・作画崩壊が随所にみられる(毎週のアニメは許せるが映画は駄目だろ…)。コナン映画で作画気になったの初めてです。
・BGMがちょくちょく合わないシーンがある(特にキッドが出るシーンでラスト近いのに気の抜けたBGMが流れる)
・個人的な好みですが、最近の映画タイトルが出る前のイントロがふわっと始まるのが多くて残念。このイントロで始まる映画はこれ!みたいな盛り上がりがあるのになぁ…ベイカーや天国みたいなイントロとか最高でした。最近だと執行人やから紅のイントロも好き。
逆によかった点↓
・この監督、キャラの掛け合いうまくなったと思います。こういうの見たかった!っていう絡め方をしてくれる。特によかったと思うのは蘭の動かし方。蘭のキャラを崩壊させたり違和感あるようなご都合主義的な動きをすることもなく、平次をアシスト。平次が空から降りてきたときの発言や、あの手刀は笑いました。(紺青の時の園子の言動全て解釈不一致だったので安心した)
あとは、聖と沖田と和葉の絡み、キッドと平次の共闘も無理やり感なかったし、捜査時にしれっと混じるキッド、中森警部とのあれこれとかも、ファンのこういうのが見たい!的なものが詰まってました。
・ゲスト声優が邪魔しない。これも本当に助かる。一時期重要な役どころにゲスト声優つっこんできてて、ほんとに笑えない時期がありましたので…。端役くらいにしてくれないと没入感が失われるので、この傾向のままでいてほしい…。
以上です。
キャラ同士の絡め方はうまいが、大局的な見方ができないのか全体的にまとまりがない。また、途中までじっくり話を進めるのに最後駆け足でバタバタ物語を進めがちで、盛り上がりにかける、そういう印象の監督です。
一部の演出には居てほしいが、監督には二度とついてほしくないですね。
まあ立場的なあれこれ、興行収入的な(他の監督の積み重ねのおかげでここまで大きいコンテンツになっただけ)あれこれで権力持っちゃったら、中々降ろせないんだろうなぁとは思います。
随所に紺青の拳への恨みが出てしまった感想ですが、総評としては30点の気持ちで見に行って50点くらいだった、って感じでした。