「話を作り込み過ぎて、かえってつまらなくなってしまったのは残念!」名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
話を作り込み過ぎて、かえってつまらなくなってしまったのは残念!
財宝の隠し場所を巡る「謎解き」のストーリーがメインとなっているが、6本の刀とその目釘穴、土方歳三の和歌集、五稜郭の神社、商人の日記と彼が土方に贈った刀剣、太平洋戦争中の五稜郭での実験と、ヒントや手掛かりの移り変わりが目まぐるしく、途中で何の話だか分からなくなる。
その上、コナンと平次、キッド、警察、居合の達人の親子、財閥、武器商人といった「謎」を追うグループだけでなく、その他の登場人物も多すぎて、物語が複雑で整理し切れなくなっている。
そのため、ミステリーを楽しんだり、謎が謎を呼ぶ展開に引き込まれたりといった感覚にはならず、むしろ、なかなか進展しない状況に退屈してしまった。
新函館北斗駅のスタンプがどう謎解きに結び付いたのかは、最後まで理解できなかったし、戦時中の五稜郭の実験も、五稜郭を燃やさなくても昼間に行えばいいだけで、そもそも、そんなに手の込んだことを、わざわざ実施する必要があったのかという疑問も残る。
しかも、刀のツバの大きさとツカの長さが分かれば、実際に気球を飛ばさなくても、簡単な比例計算で高度を割り出すことはできるはずで、まったく無駄なことをやっているとしか思えないし、ツカの長さは推定値だから、「謎解き」としても杜撰としか言いようがない。
肝心の「財宝」にしても、戦局を覆せなかったという歴史の事実から、それほどの価値がないということは、始めから明白だし、むしろ、それを破壊しようとした「爆弾」の方が気になってしまった。
荒唐無稽で現実離れしたアクションは、いつもの通り、「マンガ映画」としての派手な見せ場になっている一方で、ミステリーを作り込み過ぎたせいで、かえってストーリーがつまらなくなってしまったのは残念だった。
本作の目玉でもある、怪盗キッドの正体が明らかになるくだりも、エンド・クレジットのオマケ映像としてではなく、本編のストーリーにしっかりと絡めて描くべきだったと思う。