劇場公開日 2024年2月3日

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「現在の劇場公開作の中で、最もフィリピンの空気感を伝えてくれるであろう一作」サンパギータ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現在の劇場公開作の中で、最もフィリピンの空気感を伝えてくれるであろう一作

2024年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フィリピンから日本にやってきたエミリア(小池樹里杏)と、彼女に心動かされた写真家志望の未来(内田裕大)の二人が、日本とフィリピンで積み重ねていく交流を描いた作品です。

物語は大きく日本(東京)パートとフィリピン(マニラ)パートの前後編に分かれていて、特に後半のフィリピンパートは、マニラの雑多だが活気あふれる街並み、人々の表情までよく伝えています。なかなか日本において、今現在のフィリピンの風景に接する機会はないため、どの描写もとても新鮮です。

未来は作中なかなかな「やらかし」をしてしまっており、通常なら完全に二人の関係はアウトなところ。演じる内田裕大も「これはちょっとないのでは……」と思いながら演技したらしいんだけど(正直だ……)、そうした戸惑いがむしろ未来の、無鉄砲だが実は何をやっていいか良く理解していないという、若手写真家にありがちな態度を説得力あるものにしています。この演技は俳優デビュー直後の今しかできないと思うので(批判じゃなくて絶賛です)、これからの長い俳優人生の財産にぜひして欲しいところ!

またエミリアを演じた小池樹里杏は本作で主演だけでなく、三室力也監督と共同監督を務めただけでなく、脚本も担当したとのこと。

共同監督の難しさからか、やや展開にぎこちない部分はあったものの、劇場公開長編映画をこの水準で作り上げた時点で十分偉業だと思います。

日本フィリピン合作映画という珍しさだけでなく、若い才能の才気煥発ぶりを堪能できた映画体験でした!

yui