「灼熱の戦歌」温泉シャーク ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
灼熱の戦歌
ここ数年のサメ映画の盛り上がりは凄まじく(これ書くの何回目だろう)、国産のサメ映画も続々と誕生する中、温泉とサメを組み合わせた日本ならではのアイデア勝負の今作には制作決定時から注目していて、クラファンの出資もさせていただきました。
出演者ではない形でエンドロールに名前が載るという新鮮な体験もできました。特典は温泉シャークトレカです。
最高でした。こんなにも面白い作品に仕上がっているだなんて…。
出資して良かったと心の底から思いましたし、製作陣・俳優陣の熱がビシビシ伝わってきて、もう笑いながら泣きそうになりました。
暑海市の再開発によって目覚めた温泉シャークが街を襲うというシンプルな題材からは想像できないくらいのスケールでお話が大きくなっていくのに、物語はその大きさに全く負けずに面白くなっていく構成の巧みさは本当に素晴らしかったです。
序盤は揉めたカップルだったり、一般の温泉客だったり、調査に来た博士だったりが被害者として襲われるんですが、サメを見つけたら報奨金!に釣られたインフルエンサーたちがバカみたいに温泉に浸かって、そのまま全員バクバク食べられていくのが爽快でした。
温泉にピョーンって飛び込んだ瞬間に食べられるお約束のシーンなんかもあって、人が襲われてるのにニッコニコで観れました。
あらゆるところでサメが出現するチートさも面白く、自宅の温泉なら大丈夫だろおじさんが速攻で襲われていたり(何故か背びれが風呂からはみ出ていたのは「ハウス・シャークの面影…?)、どんな地面からも温泉が湧き出て、落とし穴のようにサメが襲ってきますし、「暑海にはどこにでも温泉があるんだね〜これも足湯か〜」と呑気に滑り台から温泉にダイブしたカップルがまとめて食われたのも面白すぎました。
温泉シャークの能力もシンプルつよつよサメではなく、サメの鼻先の獲物を完治する微弱な電波を超強化して、電気系統を使えなくしたり、ビームを撃ったりするスーパーパワーになっていたり、体内に温泉由来のメタンガスを兼ね備えていて、安易に銃などで撃つと爆発するという厄介仕様なのも最高です。
地味に体が柔らかいからパイプをスルスル通り抜けられるという大胆な設定や、サメが鳴いているというセリフ通り結構鳴いたりする様子が霞んでしまうくらい、温泉シャークはヤバい生き物でした。
そのせいもあって、対温泉シャーク部隊は全滅、潜水艦も電気系統がぶっ壊れて爆発という暴れっぷりで、新幹線を動けなくしたかと思いきや、ぶっ飛ばして市役所に新幹線ごとぶつけるとかいうイかれた映像が早い段階で流れてくれるので場内爆笑必至でした。
それによって計画される暑海市を温泉シャークごと消滅させるというエグい計画にはすっ転びそうになりました。
途中からまさかの温泉シャークの本拠地である海中での勝負に挑むというスタイルに変化し、それまで主人公だと思っていた束が温泉シャークに襲われて、サメ感染症(肌がピコンピコン)になって離脱し、巨勢博士と万巻市長がバトンを引き継ぎ、潜水艦バトルwithマッチョという前代未聞の形になっていく二層目の面白さがありました。
この手の作品では市長は死ぬか、悪者扱いされるかのパターンが多いんですが(直近の「セーヌ川の水面の下に」もそれでした)、市長がヒーローサイドになる異例さには舌を巻きました。
海中での温泉シャーク撃破の流れはスマートなんですが、そこにマッチョが鍛えられた体ならある程度は海中でも活動できるというハチャメチャな理論でサメをフルボッコにしていくという衝撃映像が流れてきて大歓喜でした。
大量の温泉シャークたちの襲来にも怯まず、大量の爆撃で対抗し、背中はマッチョが平手で跳ね返しまくるというカッコいい映像のはずなのに、面白さが先行しているという不思議な状態でした。
スパリゾートの地面をぶっ壊して、瓦礫を落として温泉シャークを全部ぶっ潰すというぶっ飛びアイデア、しかもそれをしたら市長の借金がどえらい事になるという情報をササっとやってから、爆撃して温泉シャークたちに降り注ぐ瓦礫の山、温泉シャークたちも律儀なのでガシガシ当たって沈んでいってくれます。
全部倒したかと思いきや、やはりデカすぎんだろ案件のボスがやってきて、そこに飲み込まれるマッチョに一瞬だけ絶望を感じましたが、そこはさすがマッチョ、体内でもバリバリ生きていて、自分を囮にボスをぶっ倒せというめちゃくちゃカッコいいセリフを言ってくれます。
最後の攻防を市長が決めるという流れも素晴らしく、大爆発四散していっての大団円というのもらしさ全開で最高でした。
からのマッチョ生還ババーンでエンドロールに突入していくという、今年観た映画の中でもトップクラスのエンドロールの入りには思わず痺れてしまいました。
エンドロール後の映像では明らかにトラップな温泉に入った首相が食われてENDというのも最後まで飽きさせずに劇場からお見送りしてもらってるようで拍手ものでした。
こんなに素晴らしいサメ映画に出会えるなんて…。
やはり愛に勝るものは無いんだなと再認識しました。サメ映画、温泉シャーク、ラブー!
鑑賞日 7/8
鑑賞時間 18:45〜20:10
座席 C-1
クラウドファンディング参加とのこと。うらやましい限りです。
ほんとに痛快な映画でした。
題名からして、見る人をバカにしてるのかと思えば、まさに題名通りのお話で、おもしろすぎました。
個人的には鮫のなき声がお気に入りになり、家でも「しゃー」っと、時々真似をしている(!?)くらいです。(家族は変な目で見ますが・・・)