ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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何層もエピソードが重り味がある作品
「サイドウェイ」の監督の作品なので、早速鑑賞。
オープニングから70年代の香り。
男学生寮の匂いプンプン。
それぞれの人に、それぞれの事情があり、うまく重なりながら進んで行く。
監督らしい作品で、味わいがありました。
なんらかのリブート?
70年代(のちに70年だと判明)を舞台に、オープニングから70年代の映画っぽい意匠で描く、あらゆるバックグラウンドが異なる3人の不器用な疑似家族の話。
きっとなにか参照されるべき過去作があって描き方の意味があるのだと思うんだけど、70年代映画はあまり知らないので…
嫌われ者の教師ハナム、ひねくれものの生徒アンガス、息子を亡くしたメアリーそれぞれの過去と事情が紐解かれてゆき、それに連れて相互理解と絆が深まってゆく…
本作が目新しいのは、70年代風の意匠ながら、ストーリーとしてはとてもポリティカリー・コレクトなこと。
いっぽうで、「良い話」風に『何を』描きたかったのかはピンとこないままだった…
「こういう後味の映画ってあったよね」とは思うので、その現代的なリブート、ってことなら分からんではないのだけど…
クリスマスシーズンにもう一度観たい一本
第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した評価の高い一本。公開したら観に行こうと楽しみにしていたが、県内での上映館が2館のみということで、車で片道30分掛かる映画館のレイトショーで鑑賞。客層は映画好きそうな人がパラパラということで、良い映画なのに少し勿体ないなと思いました。
ストーリーは王道で最初は反発しあう人達が助け、助けられという経験をするうちに心を通わせていくというもの。王道であるためストーリに入りやすく、最初は嫌な人に見えていた登場人物に徐々に共感し、どんどん好きになっていく。脚本も素晴らしいんでしょうね。
クリスマスシーズン独特の寂寥感がストーリーの背景にあるため、シーズンにもう一度じっくりと観たい。ウィットに富む会話が主体であるため、一語一語じっくりと噛みしめながらシーズンに観るとさらに味わい深い作品なんだと思う。
私だけかもしれませんが、居残り高校生アンガスの雰囲気やしぐさが、最近先輩に噛みついている芸人と被ってしまい、あの人もいろいろあるのかもなぁと勝手に思ってしまいました(笑)
映画の余韻としては、苦みのある清涼感といいますか複雑な後味でした。人生は時に不条理で、不合理でままならぬものだという諦めの反面、みんないろいろあるんだから自分も日々できることを頑張らなきゃなと少し前向きな気持ちで映画館を後にしました。鑑賞者の人生経験によって後味は少し変わってくるかもしれません。(映画ってそんなものですけど)
誰からもリスペクトされない教師の行く末は、
序盤は学園もので面白かったが、
話が進むにつれて、一個人の特性や過去の行状が詳らかになる度に超えては行けないことが始まる。
そして、中盤はアントヌルーと言う魔法の言葉で見てない振り、知らない振りをする言う忖度なのだ。
信頼や寛容ではなく盲目的な安易な妥協がどれほど物事を混乱させるのか…
そんな延長線による終盤は、戦友、悪友の晩餐会と堕ちて行く。
ラストになるほど締まらないなぁ
( ̄▽ ̄)
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
劇場公開日:2024年6月21日 133分
「ファミリー・ツリー」「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」の名匠アレクサンダー・ペイン監督が、
「サイドウェイ」でもタッグを組んだポール・ジアマッティを主演に迎えて描いたドラマ。
物語の舞台は、1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。
生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることに。
そんなポールと、母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになった学生アンガス、
寄宿舎の食堂の料理長として学生たちの面倒を見る一方で、自分の息子をベトナム戦争で亡くしたメアリーという、
それぞれ立場も異なり、一見すると共通点のない3人が、2週間のクリスマス休暇を疑似家族のように過ごすことになる。
ポール・ジアマッティが教師ポール役を務め、
メアリー役を「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」「ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男」のダバイン・ジョイ・ランドルフ、
アンガス役を新人のドミニク・セッサが担当。
脚本はテレビシリーズ「23号室の小悪魔」「ママと恋に落ちるまで」などに携わってきたデビッド・ヘミングソン。
第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した。
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
劇場公開日:2024年6月21日 133分
それでも生きていく、生きていける…
期待度◎鑑賞後の満足度◎ おそらく2023年度の最良のアメリカ映画の一つ。アメリカ映画もまだ捨てたもんじゃない。
※2024.06.27. 2回目の鑑賞。《ユナイテッド・シネマ橿原》
①人生はどんなに不条理でも不公平でも不合理でも不平等でも立ち止まらずに前に進んでいかなくてはならない、歴史を学ぶのはそのためのもの、ということを教えてくれる映画。歴史が好きな私には頷けることばかり。
②良い脚本、良い演出、良い演技があれば良い映画は出来る、ということを今更ながら沁々と教えてくれる映画。
③3人のメインキャラクターは俳優陣の繊細な演技によって見事に息を吹き込まれ生きた人間を感じさせる。
④始まって直ぐにこの映画は良いかもと感じた。その辺りの直感はちょっと自慢。
⑤現代がこんな時代なのは過去の歴史の歩み・人類のやってきたこと(進歩?も含め)のある意味当然の帰結であり、人間一人一人の現在は過去に望む望まないに関わらず起こったこと・経験してきたこと・通りすぎてきたこと・失望・落胆・後悔・苦労・あがき・戦い・諦め・叶わなかった夢・期待、様々な事柄の結果である。
どんな人にもその人の歴史がある。人に語らないだけで。
そんな当たり前なことを思い出させてくれ、なおかつ
合わなかった、
孤独な人物たちの家族のような絆への道程に心温まる
久しぶりの洋画。
舞台が1970年代のクリスマスシーズンの、雪に閉ざされた名門校の寄宿学校を舞台とし、家族の待つ家に帰らず・帰れず留まらざるを得ない事情を抱えた、堅物の教師と料理長と反抗的な生徒の物語。
反発し衝突し合っている彼らが、発した発言や行動に至ったそれぞれの孤独の背景を互いに見て聞き知ることで、だんだんとまるで家族のような絆を強めていく様に心温まった。
教師の専門が古代史ということもあり、ギリシア、ローマ時代の歴史的事実や有名な言葉・美術品なども映画内に散りばめられ、その時代に教養的観点で興味がある向きにも楽しめるものと感じた。
中盤以降で Entre nous アントルヌー=ここだけの話・内緒ですよ といったワードが出てくるあたり、打ち解けてきている仲であることを彷彿とさせるのが上手い。
たまの摂取に程良い、じっくりと味わう映画。
まぁ、まぁの映画。色々な映画賞を取っているから、良い映画なのでしょう。
安心して観ていられる作品
1970年の雪景色にアコースティックギターのメロディで作品にスムーズに入り込めた。
偏屈、くせあり、わだかまり。そんな言葉が浮かぶ面々のクリスマス休暇のひととき、前半はニヤッとするやり取りから徐々に素をさらけ出し、抱える過去の秘密も闇も共有し打ち解けるまで灯火がほわっと広がっていく感じ。ラストは寂しいが前に進むしかないのよね。メインの三人三様の演技、いいあんばい。
星はいつも三つです。
アレクサンダー・ペイン監督『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
とても良い映画でお勧めなのだが最初にひとつだけ、日本公開タイトルはどうにかならんかったのか。ホールドオーバーズって何? どゆう意味? だいいち覚えにくい。原題をそのままカタカナに起こしただけで、知り合いと会話していてこの映画を薦めようと思ってもスッと出てこない。聞いたほうも、たぶん、記憶に残らない。またホリディって『休日』のこと? だったら『ホリデー』にしたら。このところ出色のひどい邦題です。もったいない。
悪口は以上で、あとはほめるところしかないです。
英米で良家の子息が集まる伝統ある全寮制の学校というと、イメージでは野蛮で偽善的。またいじめなんかもけっこうタチが悪そう。『チップス先生さようなら』などはかなり美化されている気がする。あくまでイメージで、です。
1970年、アメリカ東部のボストン近郊。本作の舞台となる寄宿舎もやはりそんなところ。
こういう学校には必ずいそうな初老の独身男の歴史教師と金持ちの息子だが札付きの生徒、そして息子をベトナム戦争で亡くしたばかりの女料理人の話。
英米の学校を舞台にした映画というと、寄宿舎ではないが『小さな恋のメロディ』なんかは学校生活の短いスケッチを上手に使っていたが、本作も冒頭の聖歌隊の練習から始まって雪に埋もれた寄宿舎のスケッチがとても巧み。
またホームパーティーやクリスマスツリー、スノーボウルなど、クリスマス休暇を大切にするアメリカ人の心も丁寧に描かれている。
『アメリカン・グラフティ』や『スタンド・バイ・ミー』と同じく、主人公の少年はのちに小説家になるのではないか。老境にはいった小説家が、半世紀以上前の自分の寄宿舎時代の忘れ得ぬ恩師の思い出を綴った映画、という想像をしたらまた味わい深くなりました。
ちなみに邦題についてさんざん悪くいいましたが、公式サイトはつくりといい内容といい、お手本にしたいくらい充実していました。
ハナムとアンガスとメアリー‼️
この作品は名作「サイドウェイ」に勝るとも劣らないアレクサンダー・ペイン監督の名作‼️クリスマス休暇の寄宿制の名門高校を舞台に、帰れない生徒の面倒を見ることになった生真面目で頑固で融通がきかない、みんなからの嫌われ者教師ハナム、反抗的な生徒のアンガス、そして料理長のメアリーら三人が共に過ごす2週間の日々‼️さすがはアレクサンダー・ペイン監督、メインとなる三人のバックグラウンドも実に興味深いです‼️ハナムは学生時代に論文を悪友に盗まれ、逆に罪を着せられたあげく退学処分、その事実を隠して教師をやっている‼️アンガスは父が病気で施設入り、母は再婚、母はアンガスを厄介者扱い‼️メアリーはベトナム戦争で一人息子を亡くしたばかり‼️そんな三人が衝突を繰り返しては絆を芽生えさせ、少しずつ変化していく様が丁寧に描かれます‼️ハナム役のポール・ジアマッティは相変わらずウマいし、アンガス役のドミニク・セッサはスター候補、メアリー役のダヴァイン・ジョイ・ランドルフはあの体格なのに結構美人‼️まるで「シャイニング」のような状況での三人の微笑ましいやりとりに時間が経つのも忘れてしまいました‼️映画の美術もそうなんですが、フィルムの質感やユニバーサルのロゴなども70年代風になっているのもこだわりが感じられます‼️そしてラストのハナムの決断‼️あのハナムがあの決断‼️胸がアツくなりました‼️
クリスマス映画
思いのほか料理長の存在感が薄いのはどうしたことだろう?
偏屈なのに、どこか温かみを感じさせるボール・ジアマッティの演技に引き込まれる。
斜視や体臭といったインパクトのある特徴もさることながら、心に大きな孤独を抱えていて、本当は人から愛されたいのに、「どうせ好かれないなら、嫌われ者になってやる」と開き直っているかのようなひねくれた感じが、とても魅力的に感じられるのである。
そんな彼が、同じように嫌われ者の生徒と交流し、「友情」にも似た信頼関係を築いていく過程も絶妙で、2人が理解し合い、共感し合っていく様子には自然と胸が熱くなった。
その一方で、もう一人の重要な登場人物である寄宿舎の料理長の存在感が、(アカデミー賞を獲得した割には)今一つ希薄に感じられるのは気になってしまう。
それは、彼女が最愛の一人息子をベトナム戦争で亡くしているということが、物語の冒頭で明らかになり、それ以降は、あまりサプライズを感じさせるようなエピソードがないからではないだろうか?
物語の終盤で、ハーバード大学を中退したという教師の過去や、父親が精神疾患の施設に収容されているという生徒の事情が明らかになり、それで2人の心の距離が一気に縮まったように、料理長についても、そのような「仕掛け」があってもよかったのではないかと思えるのである。
それから、生徒の将来を守るために自分のキャリアを犠牲にするという教師の選択は、確かに感動的ではあるのだが、ある程度は予想できた結末でもあり、その割には、そこに至る過程が全体的に冗長で、テンポが悪く感じられたのは残念だった。
See ya!
「ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ」ベトナム戦争下の寄宿学校が舞台のクリスマスホリディに取り残された3人の物語。これ、観客とそれぞれ3人とのバディ物語でもあるよね。脚本が素晴らしくて、当初は全く魅力的に感じられない3人の抱えた生き辛さ、孤独が少しづつ積み上げられるストーリーによって、その人間性に惹きつけられていく。そしてその展開が全然あざとくない。
誰かが勝手に決めた勝ち組でなくても、人生は祝福される、そんな映画です。
あと、劇中でバッドフィンガーの「No Matter What」が使われいます。ゴジラ×コングでもラストに「Day After Day」が使われていたし、密かに再評価されてるのか。
後半はロードムービーになるんだけど、ボールとタリーの旅を観ていて、三浦友和とオダギリジョーの「転々」を思い出したな。
キリスト教に関する文化がバックにあるとかなり有利
今年225本目(合計1,317本目/今月(2024年6月度)25本目)。
(前の作品 「おいハンサム」→この作品「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」→次の作品「ターゲット 出品者は殺人鬼」)
ストーリーとしては、1970年代をテーマにした、キリスト系の高校(日本相当)のアメリカで、冬期休暇を取れなかった生徒と先生、学校の食堂の女性の方の交流を描いたストーリーです。
多くの方が書かれている通り、クリスマスというのは日本でもアメリカでもたいていの国では「何らかの意味で多くの方で祝う」文化が確かにあるので、こういった展開になるとちょっと辛いですね…。
PG12の扱いですが、序盤にやや不穏当な発言をする子(ひやかしをする子)がいるからで、その子たちがいなくなる30分くらい後は一般指定でいいんじゃないかなといった感じです。また、タイトルにも書きましたが、キリスト教のいわゆるミッション系学校がテーマなので、キリスト教に関する語句(モルモン教やらエホバの証人やらなにやら)が結構多く出てくるので、これらの知識があれば有利かなといったところです。
映画それ自体が言いたいことは理解できるし(特に、主人公の高校生の子が背景に持つ生い立ちの事項)、この映画自体はアメリカでは2022年公開のようですが、1970年をテーマにしたために、映画を最後まで見ると、今日では珍しい The End も出てきます(別に出たからってどうってわけじゃないですが)。
若干映画の長さとして難があるかな(インド映画でもない限り、120分を超えるとちょっときついし、この映画では飛ばせそうなシーンがいくつかある)というところはありましょうが、日本以上に普通に存在するアメリカのミッション系学校で「ありうる」ストーリーを描いた映画という点ではほぼ満足です。ただ上述通り、キリスト教に関する語句はどんどん飛んでくるので、そこの点がある程度知識として知っているかどうかでかなり差が出るかなといったところです。
採点上特に問題はないのでフルスコアにしています。
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