劇場公開日 2024年6月21日

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「70年代のささやかな絆の物語」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ フレンチクローラーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.070年代のささやかな絆の物語

2025年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

笑える

幸せ

アメリカにおけるクリスマス休暇は日本の正月休みに相当します。本来なら家族と過ごすその時期に、それぞれの事情で学校に滞在する事になってしまった三名の織り成す奇妙な疑似家族。交わるようで交わらない、しかし確かに過去を知りお互いを認め合う描写が素晴らしい

ショーン・ベイカー監督は、1970年代のニューイングランドの寄宿学校を舞台に、この物語を丁寧に紡いでいます。誇張された感動表現に走らず、知的で大人向けなれど気取らず、各々が抱えている孤独感やわだかまりがほんの少し溶けるような温度感の作品です
過去のトラウマや家族との確執、自己受容の難しさといったテーマを、日常の些細なやり取りや表情、沈黙の中に滲ませる演出は秀逸。物語の救済のささやかさが、逆に心に残るパターンの映画だと思います(「私はダニエル・ブレイク」をちょっと思い出しました)

舞台となっている70年代アメリカの再現度の高さは、本当にその年代に撮影された映画かと思うほど。社会のアウトサイダー要素の強い主要人物三名の配役と演技も見事で、実在する人物として感じることが出来ました。良い映画です

フレンチクローラー
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