「でめきん」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ なつさんの映画レビュー(感想・評価)
でめきん
身体的な情報をネタに揶揄うのはよくない。
生徒だけでなく教師までハナムを蔑む。
そんな陰口を無視し、厳格に生真面目に生徒を教える古文教師。
威嚇するように相手が分からないような例えをだし、マウントを取っていくスタイル。
クリスマスホリデイ
別の教師に騙されて居残りになったハナム。
一人息子を亡くし、料理長として残るメアリー。
母親が新たな男とハネムーンに行くことで楽しみにしていた休暇が急にキャンセルになったアンガス。彼の悲しみは一際大きい。
あとはあまり出番はないけど、用務員ダニー。
序盤で、料理を作る最中ふと外を見た雪降る光景を寂しげに見るメアリーや、教師の食事テーブルに一人分だけ空いてる席なども合わせてみると彼らのクリスマスの寂しさが分かる。
最初は居残りは6人だったが「ヘリで来た」なメンバーの家族により居残りはアンガスのみに。
嫌われ物のハナムなんかと過ごすのはまっぴらなアンガス。
ストレスフルな生活で爆発してしまい、ハナムをからかっている内に怪我をし急遽病院へ。
そこでアンガスの家庭の不和を感じそこでアンガスとハナムの秘密の共有ができる。
秘密というのは何故か急激に人との距離を近づかせる。
クリスマスイブは同僚のリディアのパーティーへ参加するも散々なクリスマスに。
バートン校出身のメアリーの息子は大学費用も出せず徴兵先で死亡していた。
このパーティーでのダニーのメアリーへのプレゼントの渡し方がスマートでうまくいくかな?って思ってたけど、やはり息子への悲しみが上回ったよう。
ハナムはリディアに期待をしていたが夢破れ様々な事柄に苛ついた彼はアンガスに酷い言葉を投げつける。
そして迎えたクリスマス。
ハナムはクリスマスツリーを購入し、その下に2人へのプレゼント。
雑な包装が彼らしいと感じた。
メアリーの暖かな料理に暖かな家庭を思い出し笑顔になるアンガス。
その期待に応えてハナムは3人をボストンへ「遠足」の名の下に連れていく。
そこでメアリーは身重な妹家族と再開し、笑顔を取り戻す。
ハナムとアンガスはスケートしたり、ボウリングしたりと遊びまくる。美術館でも、性的な絵柄の古代作品で笑ったりと男同士は下ネタで仲良くなるのよ。
2人きりで話し合い、秘密を打ち明けあい2人は師弟として絆が深まる。柔らかくなり楽しく笑い合う。
友人や親子のようではなく、教師と生徒の域を出ていないところが好ましい。
年越しのカウントダウン。
4人はテレビの前で新しい年を迎える。
キッチンで爆竹を鳴らし、一際大きな音をバックにハナムとアンガスはがっちりと握手をする。
ボストンでのアンガスの精神科に入院していた父との再会の件でアンガスが退学になるのを止めるためにハナムは罪を被る。
学園を去るハナムはアンガスに多くを語らず教師としての言葉をかける。
そして固い握手を。
もう教師ではなくなったハナムとアンガスの握手はきっと親友の握手。
学園を出る際に学長のお高いレミーマルタンで口をゆすぎ学園に向けてぺっと吐く。くそ学園に。
正しく物事を見る右目。
このクリスマスホリデイで1番成長したのはハナムだった。
カルタゴを楽しんでくれ。
そして、2人の精神安定剤の量が減ればいいな。
メアリーの妹の子供が男の子ならメアリーの子供の名前をミドルネームにつける予定って未来も素敵。
ミドルネームって文化いいよね。
クリスマスにありがちな奇跡とかなんとかは全くない。
ただただ、それぞれの心がお互いで少し癒され前に進むことができたという話。