「人間臭さ。あたたかみ。」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ あま・おとさんの映画レビュー(感想・評価)
人間臭さ。あたたかみ。
この作品、よくある話かなと思いつつ観てみたが、なかなか面白い映画だった。心温まる内容でもあり、寒さも厳しくなり人恋しくなる12月頃にはとてもよかった。
このようなパターンの話では、ふつう生徒のほうが未熟で欠点だらけだけれど、ここでは師の側の人間的デコボコや未完成さがクローズアップされているのだから、ちょっと面白い。おとなのクセ、欠陥、不完全さが素直にされけだされる。
ポールは、最後に、彼の立場でできる最も誇るべきことをした。大仕事を成したという自信がポールをも変えていく。アンガスは、受けた愛情をまた他の誰かに伝えていくだろう。
アンガスとポールの間には垣根を取り払った人間性のぶつかり合いがあった。先生だから、家族だから、他人だから、という仕切りは不可欠な社会の秩序だが、本当に人を変え得るのは本音の付き合いの方なのだろう、柔軟性のある風通しの良い社会なのだろう。
作品では、ストーリーが思いがけない方向に展開していく楽しさも。わずか数日でもたいへん充実した時間になることが人生にはたまにはある。ノリのよい音楽と一緒にそんな≪ご馳走的の数日≫を映画で観られるのは楽しかった。
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