「大人の役割を考えさせられる」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ジュンヤさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の役割を考えさせられる
置いてけぼりになった3人が共同生活をする中で、それまで知らなかった互いの良さに気づいていたり、悩みを共有していくというような流れですが、個人的にはポール先生の生き様に興味を惹かれました。
ポール先生はしょっちゅう「嘘をつくな」と教えていたのに、久しぶりに過去の同僚と会った時には自分の経歴を偽り、誇張して伝えてしまう。
そこを教え子のアンガスに問われて、開き直りながらも、過去にあった事実と現在の経緯を正直に話す。
ポール先生は理不尽な目に会った時に、見て見ぬふりをして流すことができず、自分の正義を貫いてしまう人で、それが原因で現在も冷遇されている。
物語の後半にアンガスは理解はできるが勝手な行動をしてしまい、両親を怒らせて退学のピンチを迎えるが、その時にポール先生は事実とは違う事を言って、自分が罪を被り退職してしまう。
ポール先生の正義は、事実か嘘かよりも、正しいと信じる行動を取ることなんでしょう。
アンガスはクリスマスに父親に会うという当たり前の正しい行動をして、それが罪に問われてしまった場合、先生は嘘をついてでも生徒の将来を守るという事が、ポール先生の正義だったのだと思う。
退職したポール先生はどこかに去ってしまい、明るい展望は見えないまま映画は終わってしまうが、教え子のアンガスの未来は守られたし、人間として大切なものを受け取った。
これで良かったのだと思える大人になりたいです。
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