「家族によって傷ついた人たち」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)
家族によって傷ついた人たち
物語の主人公は生徒にも同僚にも嫌われている偏屈者の高校教師ポール、その言動で誰をも不快にさせる高校生のアンガス、そして酷く肥満した寄宿舎の料理長の黒人女性メアリー(一人息子を亡くした悲しみ、ストレスで肥満になったのかなあ)の三人。誰もが家族と共に過ごすであろうクリスマスから年明けにかけての10日間ほどをひと気の失くなった広々とした寄宿舎で3人は生活を共にする。そしてこの3人が付かず離れずの関係を保ちながらも互いの心の傷の深さや大きさを認識しその原因を理解していくなかで距離を詰めていく(その過程は決してべたべたしたものではない)。
結局、心の傷の原因は家族にある(わかるだけに沁みる)。自分を理解して欲しくて、そして頼りたくて…。そういう存在が家族であり、その家族に裏切られたと思ったり、頼ることができなくなったと思ったとき、人は本当に深く傷つく。その理由なんて考える余裕もなく。深く傷ついた人は溺れているのだから、もがきながら頼れると思った人にしがみつこうとするんだから仕方ないんだよ。
最後に、家族のいないポールはアンガスを救うことで、自分自身を救ったんだと思う。
※日本でも大ヒットした pop music ヴィーナス、嵐の恋、ノックは三回の3連発で、物語のあった1970年にタイムスリップして僕はこの映画を観てました。途中で流れたキャット・スティーブンスのウインドも懐かしかった(これは日本ではヒットしなかったな)。この時、僕の脳内で快感ホルモンが分泌されました。キャット・スティーブンスの歌は心が癒される。
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