「人生のヒントは意外なところから」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ 草マクラさんの映画レビュー(感想・評価)
人生のヒントは意外なところから
アレクサンダー・ペイン監督が名優ポール・ジアマッティを
主演に迎えて描いた心暖まるストーリー。
マサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校で
ある事情からクリスマスを共に過ごすこととなった
生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポール、
母親の再婚によって他者からの愛情を受け入れられない青年アンガス、
ベトナム戦争で一人息子を失い、悲しみに暮れる食堂の給仕長メアリーの3人。
プロローグから逸脱することなく進行していく序盤から
クリスマスを分岐点として展開される心理描写の転換がシームレスに描かれ、
ポール、アンガス、メアリーそれぞれの魅力がじわじわと足の先から染み込んでいく。
他者との関わりによって人生が好転していくという
ありふれたストーリーではなく、生まれ、時代、とりまく環境など
すべてが異なった3人の人間が交わることで生み出された唯一無二の時間が
確かに本作品の中に存在していた。
利他的とはもしかすると最大の利己的な行為なのかも…。
シンプルに楽しく泣ける素晴らしい作品でした。
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