「こんな殺され方はしたくない 映画「毒娘」」毒娘 稲浦悠馬 いなうらゆうまさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな殺され方はしたくない 映画「毒娘」
・毒娘とは?
ネーミング的には、毒親を反対に娘にしてみた語感。
世の中には色々なホラー作品があるだろうが、ほとんどは屈強な大人とか怪物とかゾンビが敵なんじゃないだろうか。
人間の小さな女の子が危険人物というのは珍しい気がする。
だからこそこの小さな子がどうやって周りの人間たちを狂わせて行くのかが見どころになる。そんな映画。
ちなみにしっかり物理的な毒も使う。ハチをたくさん集めてその毒を煎じて抽出して、毒武器を作り出したりするのだ。あとはどうやって作ったのか分からないが人を即死させるような毒ガス兵器も使う。
・こんな死に方はしたくない
独娘によって毒を刺され、ハサミで滅多刺しにされ、さらに胸にハサミを深く突き刺され押し広げられて殺される男。
思わず目を覆ってしまった。こんな死に方はしたくない。
・主体性のない女
とある一家の妻。なんとなくぼーっとしているというか主体性がない。
子供みたいな幼い声でしゃべる。中身が空っぽなのではないかと思える。
ただ夫の言葉や状況に流されるままに生きているのだ。
彼女は意思を持った言葉をほとんど発さない。彼女の内面を示す描写がないので何を考えているか分からない。
ホラー映画に出て来る人物は悪人ではなくてもどこか変だ。
・モラハラ男
一家の夫。
一見優しそうだが実は丁重に人をコントロールして自分の思い通りにしていくタイプ。その毒がじわじわと家族に周り始める。
「強制するわけじゃないけれど」と言いながら相手が断れない提案をしたり「責めてるわけじゃないけれど」と言いながら相手を責める。そんな男。
・ちいちゃん
一家が住む家に突如出没する女の子。ハサミを持って切りつける。ゲーム「クロックタワー」のシザーマンみたいだ。
この町では人に危機感というものが欠如しており、警察も大人たちも全く役に立たないので、このハサミの少女を誰も止めることが出来ない。大人たち無力すぎ。
・たまにオシャレ
何故かたまににちょっとアートでオシャレな場面が挟まれる。
単にホラーではなくて「ホラー」「家庭問題」「オシャレなアート」のテイストが混じっている。
・ホラー映画を観た後は疲れる
緊張感のせいか疲れを感じた。だが怖い映画を観てちゃんと怖い思いをしたというのはホラー映画としては成功なのだ。
・PG12 / PG15 の違いはよく分からない
本作はPG15だ。
最近観た「オーメン・ザ・ファースト」はPG12だったけど残酷さのインパクトは本作以上だった。
同じくPG12の「キラーズオブフラワームーン」は残酷すぎて途中でシアターの席を立ってしまった。
おそらく細かな規定があるのだろうけれど、観客が受ける残酷さのレベルは必ずしもレーティングでは測れないようだ。