「なんか勿体無い」港のひかり 大さんの映画レビュー(感想・評価)
なんか勿体無い
『港のひかり』は、元ヤクザの漁師と盲目の少年が心を通わせていく物語としての設定自体は悪くありません。むしろ、題材だけを見れば胸を打つドラマに発展しそうなポテンシャルを感じました。
しかし、実際の本編では一つ一つの描写が浅く、感情移入がしづらいという印象が終始つきまといます。特に、舘ひろし演じる主人公が、なぜあの少年にそこまで思い入れを抱くようになったのか——ここが映画の核であるはずなのに、丁寧に描かれていないため、観客側が勝手に理由を補完しないと成立しません。
「誰かの役に立ちたい」「助けたい」「生きがいを見つけたい」という動機を推測することはできますが、結果として彼は元所属していた組の“汚れた金”を使って少年の手術費用を捻出するという、倫理的にも現実的にも無理のある展開へ進みます。作品として舘ひろしを“ヒーローとして描きたい”意図は理解できますが、もし自分が少年の立場なら、
「汚いお金で助けられた」と知った瞬間に罪悪感すら芽生えるのでは?
という気持ちも否めません。
終盤、椎名桔平との結びのシーンも唐突で、物語としての説得力が弱いまま進みます。加えて、斎藤工が取り乱し、椎名の“タマを取る”ような暴発行動に出る場面は、もはや「なぜそうなる?」と首をかしげるばかりでした。
さらに言えば、ピエール瀧のポジションも理解が難しい部分があります。
あれほど舘ひろしに忠誠心があったのであれば、彼が引退するときに一緒に足を洗えばよかったのでは?
という疑問が残りますし、10年以上も椎名桔平の元に身を潜めていた理由も物語上十分に説明されません。
総じて、『港のひかり』は設定に魅力があるだけに、人物描写と動機付けの弱さが非常にもったいない作品でした。テーマが重く深いだけに、もう少しキャラクターの内面と行動に説得力があれば、観客の心に残る映画になり得たのではないかと思います。
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