「専門的監修の効果と企画者の影響力」港のひかり てつさんの映画レビュー(感想・評価)
専門的監修の効果と企画者の影響力
尾上眞秀氏演じていた視覚障がいの少年が、そのまま眞栄田郷敦氏演じる大人になって、年齢相応の舘ひろし氏演じる元やくざの男と触れ合う話かと思ったら、そうではなく、子ども時代に治療で治っていた。縦書きで大きめの字のエンドロールがみ易く、全盲所作指導でダイアログ・インザ・ダークと光道園、取材協力で東京都立八王子盲学校と筑波大学附属視覚特別支援学校、撮影協力で東京ヘレンケラー協会と日本点字図書館、ユニバーサルデザイン絵本センターが名を連ねており、当事者俳優ではなく歌舞伎役者御曹司の登用ではあるが、現実味のある演技ができるように最大限の配慮が図られていることが窺え、パンフレットにも本人による演技指導の過程が説明されている。当初の脚本は、視覚障がいの少年の幼少期の場面が長かったのが、舘ひろし氏の意見で大人になってからの場面の方を長くしたというので、専門的指導陣を準備した配慮が減退されたとも言えるだろう。
チャプリン氏作品の『街の灯』にインスパイアされており、また高倉健氏主演作品の『冬の華』も想起するという解説があるが、役柄の設定の違いはあるけれども、元犯罪者が一旦更生し、血縁のない子どもの幸福を願い、再び犯罪に手を染め、警察が絡み、瀕死の男と対峙したり逮捕されたりする結末では、『レ・ミゼラブル』か何かの作品とも共通する点があるのではないか。
笹野高史氏演じる民宿の主人の面倒看の良さは、保護司という設定ではないかとも思ったが、そこまでのものではなかった。視覚障がいだった少年と出会い、婚約する女性との出会いの場や職場が福祉施設なのが、その点での撮影協力や専門的監修は特に挙げられていない。
企画者が河村光庸氏で監督が藤井道人氏という組み合わせは、『新聞記者』のシリーズで馴染みがあったが、『やくざと家族』もそうだったのか。でも、その作品は、本作よりは法律の変化による悲哀感が強く、暴力場面が少なかった印象がある。
出演俳優は、別の作品と同じ雰囲気の人もいれば、別人のような風貌の人もいる。
富山南警察署や富山地方鉄道路面電車は出てくるが、最後に能登半島地震復興を祈る字幕が出てくるので、少し奇異な感じを受けた。
私の身近で対決中の権力者も、やくざのように狡猾で執拗な人物だと改めて認識した。
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