劇場公開日 2025年11月14日

「この港が今は観られない風景だとは」港のひかり 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 この港が今は観られない風景だとは

2025年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

舘ひろし、眞栄田郷敦とも特別好きな役者ではないので、大きな期待は持てなかったが、木村大作撮影ということで、やや古臭くも邦画らしい映像を見られることを期待して観賞。

【物語】
かつてヤクザだった三浦(舘ひろし)は組を抜け、能登の寂れた港町で、漁師として新たな人生を送っていた。 ある日、盲目の少年・幸太(尾上眞秀)を見かける。交通事故で両親を亡くし、本人は視力を失い、引き取られた叔母宅でも恵まれない境遇にある幸太の境遇を知った三浦は、幸太を励まそうと船に乗せる。

元ヤクザと町の人から白い目で見られている三浦と居場所のない孤独な幸太の間には歳の差を超えた友情が芽生える。 あるとき、手術によって幸太の視力が戻る可能性があることを知った三浦は、高額な手術費用を幸太の叔母に残して姿を消す。

12年後、手術で視力が回復した幸太(眞栄田郷敦)は警察官になっていた。ずっと三浦に会いたいと願っていた幸太は、ある事件絡みで三浦の所在の手がかりを掴む。

【感想】
良くも悪くも、想像通りの作品だった。
特に港町の情景は古き良き邦画っぽい良さが有った。映像はいかにも木村大作らしい絵作り。

冒頭で触れたとおり主演の舘ひろしはあまり好きな男優ではないのだが、脇を固める役者は良い。適材適所という言葉がぴったりのキャスティング。特に、斎藤工の笑ってしまうほどの役作りには感心。 脇役が良いのでそこそこの作品には仕上がっている。
ふと思ったが、主演に20~30年前の高倉健を据えられたら、完璧なキャスティングで傑作になってたかな。

一方、気になったのは、少年幸太に「ヤクザだったの?」と聞かれて三浦が嘘をつくシーン。三浦のキャラ設定でこんな安っぽい嘘つくか?と強い違和感。 後になるとその嘘が終盤の展開に繋がることが分かるが、それでも納得いかない。
三浦は“元ヤクザ”を認めて、それでもなお幸太は“今の三浦”を慕うという流れにして欲しかった。終盤へのつながりは他にいくらでも考えられようが。

最後に表題に書いた件、
富山県内の撮影だと思って観ていたので、エンドロールで「震災復興を願う」趣旨のテロップが入っても、「富山も能登地方の一部か」くらいに考えていたが、観賞後ロケ地を確認したら、“港”は輪島市で、撮影は震災の直前に行われ、震災時の海底隆起で今は港に船が入れないくらい変わってしまったとのこと。地元の方にとっては本作がかつての港の情景を残す貴重な映像となったに違いない。

泣き虫オヤジ
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