「舘ひろしの《ヤクザの美学》に高倉健を見た。」港のひかり 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
舘ひろしの《ヤクザの美学》に高倉健を見た。
舘ひろしさんは、まんま高倉健でした。
東映のヤクザ映画路線を引き継ぐ映画でした。
高倉健さんの映画に「冬の華」があります。
1978年の東映映画で降旗康男監督・脚本は倉本聰です。
プロットが似ていますし、流れる精神は同じに思えました。
“愛する者のためへの、自己犠牲“
それが男としての美学です。
「港のひかり」
元ヤクザの漁師・三浦(舘ひろし)は、白い杖をついて歩く少年が、
子供たちに虐められてるのを見て心を痛めていた。
親友の笹川(笹野高史)から、少年が失明した経緯を聞き、
世話になってる叔母の亭主に酷い扱いを受けているのも見聞きする。
少年は幸太という名前で、港でいつも出会い、
三浦は魚船に乗せて漁に出る。
沖に出た幸太は「海を見たい」とつぶやく。
三浦と幸太(尾上眞秀)は孤独な者同士、肩を寄せ合うようになる。
三浦は幸太の眼を心配して専門医に診て貰うと、
手術を受ければ回復する可能性があると言われたが、
費用は高額だった
とても元ヤクザの漁師に出せる金額ではなかった。
★このお金の捻出方法には、困惑しました。
★★完全にヤクザの理論です。
まぁ分からないでもない・・・宝くじにでも当たらなければ
用意できない額です。
★ヤクザよりタチの悪い叔母(MEGUMI)の亭主を叩きのめし、
暴力により叔母にも手術の同意書にサインせざる得ない状況にする。
暴力も性根の腐った人間には何より効果的・・・
だと知りました。
それから12年後。
三浦の尽力で幸太は視力を取り戻して、今は故郷で刑事として働いて
います。
12年間は三浦の刑事事件の刑期でした。
三浦は出獄して、笹川の助けでアパートを借りて、
タクシー代行の仕事に就きます。
笹川のすすめで三浦は初めて幸太に手紙の返事を書きます。
オジサンとしか知らされていなかった幸太
(成人した幸太は眞栄田郷敦)は、三浦の消息を遂に知るのです。
そして眼の手術のお金を出したことをやっと知ります。
三浦を待っていたのは幸太だけではなかった。
三浦の元いた暴力団の組長の石崎(椎名桔平)もまた、
待ち侘びていた。
弟分の大塚(ピエール瀧)の手引きで、覚醒剤取引の外国人との
ブツの受け渡し情報を得て、三浦はそのブツの代金を
ネコババしたのだった。
同時に外国人マフィアを殺して捕まったのだ。
三浦に迫る石崎一味の追手。
遂に三浦は石崎に捉えられてしまう。
刑事の幸太もアジトに現れての修羅場‼️
ラストがまた、賛否の分かれる所だと思います。
「お縄を頂戴します」的な三浦のシーン。
これは幸太に罪が被らないようにとの三浦の心配り・・
、と、思いましたが、そう単純に警察は鉾を納めますかね?
三浦は幸太や笹川には優しく人情に厚い義理堅い人物ですが、
そのためにトバッチリを受けたピエール瀧の命とか、
目的のためには自らの手を汚し手段を選ばない極道精神。
そこには涙しつつも納得はいかなかったです。
能登地方の険しい山肌や港。寒々とした冬景色。
撮影した木村大作の叙情溢れる風景の切り取り。
主演した舘ひろしの渾身の熱演。
眞栄田郷敦の若々しく凛々しい美しさ。
見どころは満載で好きな映画ですが、
ヤクザの流儀と考え方には疑問を感じるのでした。
監督・脚本の藤井道人さん。
三浦の男の美学は
身を賭して愛する者を守る・・・
究極の献身と自己犠牲・・・確かに胸を撃ちました。
しかし、
「ヤクザと家族The Family」の救いのなさの方が、
映画としての完成度は高かった気がします。
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