劇場公開日 2024年12月20日

型破りな教室のレビュー・感想・評価

全107件中、101~107件目を表示

5.0貧乏で可哀そう、なんて思ったら貴方の負け、日本の問題と捉えるべし

2024年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

知的

 圧巻の感動作です。実話に基づく映画の場合、その実話が感動的だからいい映画としたら実に片手落ち。いい話をベストな映画化で仕上げたからいい映画となるべきで、無論本作は後者です。メキシコはマタモロスが舞台、調べたらメキシコの東側でメキシコ湾に面した最北部、要するにアメリカ合衆国と国境を接した人口50万人超の都市のみならず、アメリカ側テキサス州のブラウンズヴィルを含めた一つの経済圏だそう。ですが、この貧困の苛烈な現実が2011年の時点だそうで驚くばかり。本作での問題の根底はすべてこの貧困に由来するもの。中南米諸国の混迷は多少でも知ってても、メキシコですらこの現状とは凄まじい。とは言え7人に1人は貧困と言われる日本ともども、貧しい政治の帰結であって到底他人ごとではない。

 元気いっぱいの、タイトル通りの型破りな教師の奮闘によって、子供達
(小学6年生・12歳)の生き生きとした成長を描く。よくあるタイプと言えばそれまでですが、主役の教師を変人として描かず、押し付けがましくなく、説教臭くもない描き方が奏功し、嫌味なく感動の域に連れていってくれます。人物配置はこの教師・フアレスと体制側と思わせて実は協力を惜しまない校長チュチョ。クラスの約30名程からメインとして描かれるのが3人に絞られ、ゴミ拾いで辛うじての生計を立てる父親の娘パロマ、彼女に思慕を抱くもギャング集団に属する少年ニコ、そして母子家庭で4人目を妊娠した母を助ける少女ルぺとなり、本作でのヒール役は市の教育委員長?となる布陣。

 シリアスな現場ですが、作品の優しさの象徴として校長・チュチョの激しく太った体型と憎めない禿げ頭が計算された上で描かれます。ドーナッツを見つめる目の優しさを上手く捉え、その体型も子供達の成長に大いに役立つ仕掛けが巧妙です。パロマは美形ですが、その激しい貧困ぶりを一切恥じる事もなく、堂々としている所が圧巻で、病弱な父親をほとんど乞食同然でも愛してやまない描き方が凄い。ロバにクズ載せて学校まで父親と来るなんて、これがフツーなの? ここまで人間出来ていれば凄いですよ。彼女の賢さは天才レベルですが、あっさり身を引く有り様には手も足も出ないのが悔しい。とは言え、ラストにはその実力を発揮出来たからいいけれど。

 対して、幼い兄弟の世話をしながらも、哲学への興味が湧きあがるルぺはその意欲を自ら閉ざしてしまうのが辛い。赤ちゃんを連れてまで試験会場に来るのを願ってましたが、叶いませんでした。自分のしたい事を見つけた幸運には感謝ですが、それを貫く事を環境が許さない切なさには胸が苦しくなります。そして兄が既にギャング集団ゆえ、多分麻薬でしょう、その運び屋を担わされているニコに対しフアレスは「自分で決めろ」と本人に委ねるも、最悪の結果を迎えてしまう。日常の生活圏に死体がある精神的タフさって、私には理解が及びません。パロマと一緒に海の向うのヒューストン宇宙センターを望遠鏡で臨む一時が至福の時でしたでしょう。

 知識より自ら考える力を先に備える教育で、実際に国内でもトップクラスの成績に上がったのですから文句は言わせません。フアレス先生の口にするキーワードは珠玉の名言がぞろぞろで、ポテンシャルは誰でも持っているが使うか否かは本人次第ってところは感動的です。受動的な知識ばかりを詰め込んだ日本の教育の弱点は、今年の数多の選挙での行動にストレートに現れてしまいました。自らジャッジしないで、ネットでの潮流に乗っかる軽薄さです。他人のより自分自身の可能性をもっと信じましょう。

 映画は当然にエンドロールで実際のご本人達の写真を映し出します。ルぺやニコは実はどこにでも居るハズで、それを見つけ引き出すってのはそんなに難しいのでしょうか? 無論、難しくしているのは貧困に比例しているからで、それを企む政治ってのは要するに国民を従順なままにしておきたいのです。世の先生方に本作を是非観て頂きたいって、先生方はクソ忙しい状況に漬け込まれてますからね、そう言う悪巧みを見破らなくてはなりません。

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クニオ

4.0本作が作られた意義

2024年12月20日
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鑑賞方法:映画館

IMDb、RottenTomatoesで評価がとても高い本作。やはりサンダンス映画祭における観客賞受賞は伊達じゃないのでしょう。これは必見だと言うことでヒューマントラストシネマ有楽町へ。会員割引を使って鑑賞です。公開初日の11時20分からの回はまぁまぁな客入り。
本作、「学校を舞台にした生徒と教師の物語」という古典中の古典であり、昨今においてこのジャンルにおける「実話ベース」というのも特に珍しいわけではありません。と言うことで、それなりに感動も期待できるだろうとは思っていましたが、観終わった感想は「低く見積もり過ぎていた」と思うほど心を動かされました。
なお、『型破りな教室(原題:Radical)』というタイトルも決して大袈裟には感じません。エウヘニオ・デルベスが演じるセルヒオ先生は「型破り」どころか「型を一切無視した」ユニークな教育方法を採用しつつ、常に生徒目線で考えて「大人の事情」を理由にすることが一切ありません。むしろ出来ることなら何でも実践しようとする熱意でいっぱい。とは言え、教師にとって学校は勤め先であり組織。当然、孤軍奮闘では限界があるのですが、就任早々、巧みな話術と強引すぎるくらいの行動力でチュチョ校長(ダニエル・ハダッド)を巻き込みます。勿論、チュチョ校長も始めは戸惑い、そして修正させようともするのですが、次第にセルヒオの本気と生徒たちの反応を目の当たりにし、遂には一番の理解者となっていっていきます。そんな二人のバディ感は最高で、見た目のデコボコ感も微笑ましい。
そして何と言っても、すべての子供たちの反応が本当に素晴らしい。セルヒオの突拍子もない授業に半信半疑で付き合い始めますが、間違えることに恐れず、自分で考えることで興味が広がり、どんどんと目が輝いていく感じが尊くて神々しい。特にメインキャラクターであるパロマ(ジェニファー・トレホ)、ルペ(ミア・フェルナンダ・ソリス)、ニコ(ダニーロ・グアルディオラ)が三者三様に「学業に集中できない事情」を抱え、そしてそれぞれの人生が待っています。そんな彼らが学ぶことに目覚めていく姿を観ていると、彼らの可能性を奪う環境に本気で強いもどかしさを感じますし、だからこそ、本作が作られた意義を深く理解することが出来ます。監督・脚本を務めるクリストファー・ザラ、素晴らしい仕事だと思います。
と言うことで、観る前の予想を大幅に上回った本作。今年は現時点で92作品目の劇場鑑賞となりましたが、その中でも上位の評価となりそう。傑作です。

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TWDera

4.0子どもたちに夢を見させないで。

2024年12月20日
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映画「型破りな教室」(原題『RADICAL』)は、

メキシコの小学校を舞台に、
教育と現実とのギャップに苦しむ教師と生徒たちの姿を描いた作品だ。

一見、優しさと希望に溢れた教育映画のように見えるかもしれないが、
その実、非常に厳しく、生々しい現実を描き出している。

メキシコの貧困層にある小学校が舞台、
実話をベースにした物語。

型破りな教師が生徒たちに新しい学びの方法を,
提供しようと奮闘する姿を描く。

先生が提案するのは、単に教科書に載っていることを学ぶのではなく、
現実世界に目を向け、実際に使える知識を身につけること。

しかし、その方法が学校内で通用するのか、
また、家庭や地域社会の現実にどれほど影響を与えるのかが大きなテーマとなっている。

劇中で繰り返されるセリフ、

「本で学ぶか、現実で学ぶか」という問いかけが象徴するように、

本作は単なる教育論に留まらず、
現実の厳しさと向き合う必要性を強調している。

生徒たちが置かれた状況はマフィアの影がちらつき、
ゴミの山が街の風景となっている。

その中で、教育がいかにして意味を持つのかが問われる。

理想と現実の狭間で揺れる教師の姿を描きつつ、
観客に問いかける。

理想に基づいた教育が果たして生徒たちの未来にどれほどの影響を与えられるのか、
そしてその理想を貫くことが可能なのか。

また、親たちの反応もこの物語の中で重要な位置を占める。

「先生がいくら理想を語っても、卒業したら現実に戻るだけだ」

「子どもたちに夢を見させないで」
というセリフが示すように、
親たちは冷徹に現実を見つめている。

この親たちの言葉も、教師にとっては大きな壁となり、
物語の進行とともにその重さがじわじわと感じられる。

この映画の最大の強みは、
表情と挙動を捉えた細やかな演出にもある。

子どもたちのセリフが少なく、
登場人物たちの微細な表情や動きに注目が集まる中で、
登場人物たちの内面が自然と伝わってくる。

教師が生徒一人一人に対して向けるまなざしや、
生徒たちが感じる希望や不安、
それらがカメラを通して静かに、確実に観客に伝わってくる。

さらに、カメラの使い方、美術装飾が非常に効果的で、
現実の厳しさを浮き彫りにしている。

例えば、生徒たちの家庭の状況や周囲の環境を描写するシーンでは、
カメラは一切の装飾を排した環境を捉える、

ただただその現実を淡々と見つめ続ける。

このリアルなアプローチが、
映画全体に重厚感と説得力を与えており、
観客はその現実と向き合わせられ、
自分事になるまで気持ちを近づけさせられる効果にもなっている。

「型破りな教室」は、理想と現実、
教育と社会の対立を描きながら、教育における挑戦と困難、
そして希望の可能性を問いかける映画だ。

メキシコという社会背景の中で、
1人の教師がどれほどの力を発揮できるのか、
またどこまで現実に立ち向かえるのか、
映画はその問いを観客に投げかける。

それは、単に教育の方法論にとどまらず、
社会全体に対する問題提起でもある。

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蛇足軒妖瀬布

4.5今年最後の感動作

2024年12月20日
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鑑賞方法:映画館

これぞ映画って感じの作りになっている。序盤は先生と生徒の繋がり、中盤はキャラクターそれぞれの葛藤、終盤はどうしようもない現実、ラストはがっちり感情移入をつかんで終わらせる。
中盤から涙、戸惑い?どうするのこの流れってハラハラさせてちゃんとオチをつける。最高の映画作品。
文句をつけるから、もう少し生徒たちのキャラクターを掘っても良かったかも。時間があるので何とも難しいが。
シナリオ、カメラワークも飽きさせない作りで面白い。
学園映画はあるがこの作りは方は説教臭くなく、理想の映画だと思う。

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るい

4.5観る我々が大切なことを学ぶことに

2024年12月20日
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鑑賞方法:映画館

2011年にあった実話とのこと。
激しく感動した。
嗚咽を漏らした。

貧困と犯罪、麻薬カルテル〜麻薬戦争など、映画好きにとっては悪いイメージしかない?メキシコ🇲🇽。

そう、これまでそんな作品ばっか観てきた。

今作の舞台となる小学校も劣悪な環境にあり国内最低の学力だった。新しく赴任した教師の型破りな授業で子どもたちの意識を変えた。

しかし単なるサクセスストーリーではなかった。

貧困と治安の悪さは何ともならん。ハードな環境をキッチリ伝えたことがラストの感動につながった。

何より大切なことを教えてもらった。

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エロくそチキン2

5.0凄く良かったです!今年のマイベストワン!

2024年12月10日
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本当に面白くて感動して泣ける映画でした!
今年観た映画の中でマイベストワン!

死と隣り合わせの環境で子供たちは夢を見ることも知らず学力も全メキシコの最低点。赴任してきた教師は風変わりな授業で考える事や夢を持つことの大切さを教える。メキシコの深刻な現状を描く一方、面白いシーンも多く劇場で笑いが何度も起きていました。

本物の教育をしようとした本物の教師の物語。子供一人一人のエピソードも良かったです。本当に面白かったです!

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snowwhite

4.0何故、神奈川で上映しないのかいな?(~_~;)

2024年12月30日
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鑑賞方法:映画館

何故、東京でさえ、上映館が少ないのかいな?って感じで、思ったとおり、カメトメや侍タイムスリッパーと同様に、今後、上映館が増えないとおかしい作品でしたね😊

もし、このまま埋もれたら、ネットでは大荒れなのに、扱えば視聴率20%以上は間違いないのに、某国民的大スターの示談の件をどこのテレビ局も報じないくらい、エンタメ界は終わりを迎えたと言っても過言ではありません😂🤣(笑)

おっと、あの校長は裏のMVPですな😁

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おたか