型破りな教室のレビュー・感想・評価
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映画からもらう生きるチカラ。
治安の悪い、荒廃した町の小学校に赴任した先生と生徒たちの人間ドラマ。とにかく自分の考えを押し付ける事なく、自発的に学ばせる先生。徐々にこの先生に心を開き、学ぶ事と考える事、将来の夢に生き生きとしてくる。しかしながら、、、。
今年最初の映画でしたが、本当に素晴らしい作品でした。
閉塞感漂う時代にこの作品を見て風穴を開けて、今年頑張って生きよう!と思いました。
興味をわかせる、って大変。
学ぶ楽しさを知った子どもたち
鳥肌もんの面白さだった。
子どもの好奇心、学ぶ楽しさを知って自発的に勉強する意思は、何ものにも変えられない貴重な宝物だと思った。
教育委員だか議員だか知らないが、偉そうに足を机に乗せたクズ野郎がなかなかのヴィランぶりで、対比としての先生や子どもの素晴らしさが際立っていた。
それにしても、子どもたちが死と隣り合わせな世界って、やっぱりつらいなぁ。
自分がメキシコに生きていなくてよかった。
最初は金八先生キターと楽しく観ながら 形だけの教育カリキュラムとか...
H車が出てきた
2011年、メキシコの米国との国境に近いマタモロスでの実話を元に紡いだ物語。
貧困と暴力・犯罪で疲弊した地域の小学校に新学期から赴任し、短期間で見違えるような成績を導いた一人の教師ファレス(セルヒオと呼ばせていた)。彼が担当したのは、成績が振るわなかった6年生の23人のクラス。彼は何を成し遂げたのだろう。
それは、彼が受験勉強のような記憶学習を課すのではなく、思考する習慣を生徒に教えたことに尽きるのだろう。その結果として、ゴミ拾いで生計を立てている父親と二人で暮らす、とてつもない能力を持った少女パロマが見出される。もう一人は、家庭の貧しさから年少の弟と妹の面倒を見ながら学校に通うルペ、この子は教師に最初に課された哲学の命題に興味を持ち、学校の図書館では飽き足らず、大学の図書館にも通って、哲学者ジョン・スチュアート・ミルの著作に辿り着く。そうだ、彼女は記憶するのではなく、探究する楽しみを知ったのだ。ニコと言う、セルヒオの課した浮力の課題で一番伸びた生徒は、本当にかわいそうだったが、生徒たちから思考力が導き出されたことにより、パロマだけではなく、皆の力で思いがけない好成績を得ることができたのだ。
映画を観ていてうれしかったこと、セルヒオ以外の多くの教師たちは、生徒たちに受験勉強を科そうとしないセルヒオを教育委員会に告発する。それに対し、校長のチュチョは、日和見に見えはするが、実際にはセルヒオの応援をする(ジャッキー・チェンのポリス・ストーリーの署長みたいに)。これで随分、溜飲が下がった。
そう言えば、チュチョ校長は古いH車に乗っていた(お隣の国のH車ではないように見えたが)。H車と言えば、1970年代、米国西海岸で、とてつもなく厳しい排ガス規制が課されようとした時、いち早くその基準をクリアしたことで知られている。必ずしも、創業者であるH宗一郎の考えには沿わない方法で。その当時、H車は日本の誇りだった。翻って、現在欧州では、温暖化への対策が大きく叫ばれている。街を走るバス一台にもそれは見てとれる。では日本の企業の取り組みはどうだろう。世界をリードできるような提案はなされているのだろうか、確かに企業の採算も大事だろうけれど。礼儀や融和のみでなく、あの当時のような創意工夫に富んだ、思考の重視される時代に戻れないものか。今は思考ではなく、効率的なデータ収集に最大の力点が置かれているように思われるが。チュチョ校長の運転する古ぼけたH車を見ながら、そのことを思い出していた。
不意打ちの展開に思わず・・涙
2024年見納め作品になりましたがもっと口コミで広げたい作品
邦題が奥行がないのでたぶんタイトルでひっかかる人もいなさそうで残念
この登場人物、世界観でもっともっと見たくなる登場人物の描き方で
冒頭から最後まで感情を揺さぶられまくりました
先生や校長先生も人間として素晴らしいですが、子供たちも素晴らしい
それぞれの環境で学びに目覚めていく過程は見ていて思わず頑張れと応援したくなるし
生徒たちがそれぞれの学びを楽しむ姿は感動的でした
一方でその思いとはうらはらに厳しい現実に直面して、不本意な選択をせざるを得ない
子供たちの描き方には胸が張り裂けそうになりました
希望や夢すら持てなかったそれまでの人生だけでなく新しい生き方を選択できない子供たちがいること、現実がそう簡単に変えられないことがこの映画の肝ですね
エンタメ作品ならもっと希望のある展開も描くことができたのでしょうが
不意打ちの展開は・・・
それは宝物
メキシコにて、犯罪と隣りあわせの環境の小学校に変わった先生が赴任して来たことにより学力最底辺だった子どもたちの意欲と成績が…といった物語。
型にはまった教育方法を嫌い、自ら問いかけ子供達に考えさせ…といったやり方のセルヒオ。
風変わりで校長や同僚からも白い目で見られる彼だが、燻る子供達には確かな変化が訪れ…。
観ながら、自身の小学生時代を思い出してしまいました。当時、先生たちの話で「学校に行きたくても行けない子供が世界にはたくさんいるの!」とよく言われていましたが…いやいや、学校なんて面倒だし毎日日曜日が良い…と当時は思ってしまったものですが…。
実際には、小学生であるにも関わらずヤングケアラーのような生活を強いられたり、興味があっても向き合えさせてもらえない…なんてことが本当にあるんですね。そんな彼らの気持ちを掴むセルヒオは素晴らしい先生だと思った。
でも、パパの意見もわかる。
厳しい現実を生きてきたからこそ、戻されるくらいなら叶わぬ夢など…う〜ん、我々が軽々しく意見できない現実ですよね。
それでも、天才も良い指導者と出会えなければ…とも思わされたし、セルヒオの葛藤、結局どうするのが正しいのかは誰にもわかりませんね。
その他、まさかの衝撃の展開で驚いたし、綺麗なだけのドラマじゃないのも、メキシコの厳しい現実を教えてくれました。
総じて、年の瀬に出会った名作といえる作品だった。
Viva Mexican Cinema
2011年頃のメキシコ、貧困と暴力が子供たちの間近にある片田舎の小学校が舞台。いわゆる貧困と教育という、子供達の可能性に対し、大人が課題だと分かっていながら、具体的な解決から目を逸らしがちなテーマ。しかしご安心を、実話ベースであるが、ちゃんと映画として「かわいく面白い」「あーやっぱりとそうなったか、と身につまされ」「最後はちゃんと、ほっとする」は成立しており、観客を選ばない作りとなっているので、鑑賞後も細かいところを思い出すゆとりのある映画。
後でちょっと自分なりに考えたエピソード、
「遭難船の救助ボートのエピソード」は、一見物理を通じ考える力の育成だけに目が行きがちだが、この物語の本質を冒頭で暗示している気がする。現在はどうだか知らないが、当時の教育政策という名の浮力を計算できる大人が少なく、救助ボートに乗れない子供たちがいる事を言いたかったのかもしれない。
「ゴミ山の上で天体望遠鏡をのぞき込むエピソード」カットは終始少年少女のやり取りにクローズされていた。望遠鏡のその先に金星か月かが見える映像でも出るのかなと思ったが、この映画はそんな些細な事は描かなかった。このカットは、少女は見えている星が少年には見えなかった。それはこの後の展開を暗示していていたのだろう。
映画として単純に見る事も出来るし、勝手深読みして妄想にふける事も出来た。なんといってもエピローグで明かすハッピーエンド実話系のノリ大好きです。メキシコ映画はほとんど見たことないけど、この作品は中々の傑作です。
学ぶことに必要なこと
2024年、最後に観る映画です。
事実を元に作られた映画。
学ぶことに大切なのは、自ら考えること。
それを、試験の結果などは度外視して教えた教師と子どもたちの話。
結果は従来の教育以上のものだったけれど、それをできる教師はほとんどいないなぁ。
長い目で見た時どちらが子どもたちのためになるのかは、歴然だけれどそれをできる腹の座った教師はほぼない。
学校の先生とか、子どもの学びに関わる人にこそ見てほしい映画です。
子どもたちを、ダメにする前に。
教育は誰のため?
好奇心は誰にでも
フアレス先生の授業を受けた生徒たちは、どんどん目がキラキラしてきて好奇心に溢れてきましたよね。そしてフアレス先生も彼らの未知なる才能を発見しやる気がみなぎってきます。数学の天才パロマ、ものづくりが得意なニコ、哲学者になりたい女子などなど。
本来教育者とはフアレス先生みたいに生徒の好奇心を引き出しアシストする人だと思います。でも昨今では、先生は生徒のテストの点数などで数字管理されているから、テストで良い点数を取らすことを優先する刹那的な教育になってしまうんでしょうね。学校の現場を知らない教育委員会が教育要項を勝手に決めてしまうのだろうし、日本では受験勉強に勝ち抜いた文科省の役人が決めてますもんね。そりゃあ不登校にもなるわけだ。だってつまらないから!
あと、パロマの父親も子供の時は好奇心に溢れていたと思います。だから、ラストでパロマの気持ちに気がついたんです。そう、本来好奇心は誰にでもあるのです。そして人だけではなく、映画や本からも自然からも学ぶことができるのです。そんな老若男女の好奇心を社会がアシストすることで人類は幸せになれると思いました。
可能性は無限
型破りな先生
自分の頭で考えてる?
ベタな教師モノと思っていたら、やはりベタなんだけど、国家が行う教育とは何かと改めて考えさせてくれる作品でした。メキシコでも治安が悪い地区にあり全国統一テストでは最下位の小学校にやって来た教師が、文字通り型破りな授業で生徒達を惹きつけるお話しです。わかってはいても、教師の一言で今まで考えもしなかった未来に子供達が眼を輝かせるのは、ジーンときます。この一言や教室で出される問題が頭にインプットされた子供達が、自主的にその事を考え続け結論を見出す過程が、微笑ましくも楽しいです。子供の個性を大事にと言う甘い教育論でなく、ネットに頼らず自分の頭で何が正しいのかを考え続け発見し答えを出すことの楽しさと大切さを強調しているのに好感が持てます。もちろん、子供達が全員ハッピーになれるわけでなく、厳しい現実もしっかり描いているのもいい所ですね。一方で、教育委員会のお偉方の目指す教育や試験は、国や社会の一員としてコントロールしやすい国民を育てることであり、映画のジャンルは違うけどキューブリックの『フルメタルジャケット』で新兵を同じ基準の兵器に訓練していたのを思い出しました。役者では、まさにエウヘニオ・デルベスの独壇場で、この人『コーダ』でも音楽教師役がハマってました。校長役のダニエル・ハダットもいい味でした。
自分と同じ絶望を子供に押し付ける親たち。メキシコにも真面目に前向きに考える人がいるんだと初めて知る。
子供の未来を信じることができない大人たちが腹立たしい。
少しの可能性も、寄ってたかって台無しにする。
どうせこの現実から逃れられないのだから、少しでも傷つけないようにと教え込む大人たち。
親から子に引き継がれるあきらめの気持ちが、その状況から抜け出せない連鎖を作る。
いかにも容姿端麗なパロマとニコのカップルより、弟たちを風呂に入れながら、疑問の答えを見つけたときの喜びを知ったルペの表情が素晴らしい。
貧しい家庭で、子供が子供の面倒を見るために学校にいけなくなるのに、なぜ子供を作るのか。
本当に疑問。
教育が無くて大人になると、そんなことも考えられないのか。
アメリカのアクション映画やドラマのせいで、メキシコは単なる犯罪国家で無法地帯としか思ってなかった。
(あと、コロンビアは麻薬犯罪密輸出国、のイメージしかない。)
真面目に前向きに考える人なんていないと思っていたので、こういう真面目な映画をどんどん作ってほしい。
教育に携わる人間として、実話ベースであることも含めて希望になるよう...
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