「テンポの良いサスペンス」梟 フクロウ りらさんの映画レビュー(感想・評価)
テンポの良いサスペンス
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韓国の宮廷物は登場人物は多いわ関係性は複雑だわ、おまけに官位や名称がよくわからんわで、Netflixのドラマでは今までに何度か挫折してます。でもその私がラストまでぐいぐい引っ張っていかれたし、人物相関図も何とかぐちゃぐちゃにならず済みました。
といって、単純な話なわけではまったく無く、老いた王と世子の対立に絡む陰謀、その中で起きる暗殺事件の唯一の目撃者が盲人の鍼医・ギョンス。しかも鍼の腕を買われて宮廷に勤め始めたばかりのギョンスには、誰にも明かせない秘密があり、それが露見しないよう振る舞わねばならない。しかも暗殺者の謀によって、目撃者ではなく暗殺の容疑者に仕立てられたため、どう行動するか、誰に打ち明けるべきか、ひとつ選択を誤れば命が無い、という詰んだ状況。
ギョンスは、心臓に持病を持つ幼い弟をひとり故郷に残しており、彼のために何としても無事に帰らなくてはならない。鍼医としての矜持もあるが、弱者が身を守る術として身につけた「見ぬふり、知らぬふり」や時に嘘もつく臆病さも併せ持つ。しかし、不遇な若宮を見捨てられない情の深さや、不正を憎む心、恩義には報いたいという忠義な心根があり、それが彼をどんどん窮地に追い込んでいく。最後まで緊張感が持続する、筋立てもテンポも良い作品でした。ギョンス役の俳優さん、すごく良かった。複雑な人物像がはまってました。
あと10分くらい長くていいから、盲人のギョンスが宮廷でいかに根を下ろして認められていくかの過程を、もう少し丁寧に描いてくれてもよかったかなぁという気もするけど、観てよかったです
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