「観客が観たい映画作りに徹している」帰ってきた あぶない刑事 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
観客が観たい映画作りに徹している
あぶない刑事シリーズの第8作。令和時代を反映してはいるが、第1作から変わらず、昭和テイスト満載で、観客を楽しませるという作り手の揺るぎない意志を感じた。観終わって満足感に浸ることができた。8年前に、『さらばあぶない刑事』を観た時、いずれ復活するなと感じたが、その通りになって嬉しい。
本作の舞台は横浜。定年退職後ニュージーランドに移ったが、訳ありで日本に帰国して探偵業を始めた個性的な二人の元刑事、タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)が主人公。ある日、二人の事務所に永峰彩夏(土屋太鳳)という若い女性が訪れ母親・夏子探しを依頼する。夏子は二人の旧知の女性だった。タカは、既に、夏子に似た女性(吉瀬美智子)を見掛けていた。二人は夏子捜索を開始するが、警察も容易に手を出せない犯罪組織が二人の前に立ちはだかってくる。二人の巨悪との戦いが始まる・・・。
二人の軽妙なやり取り、カーアクション、格闘シーン、銃撃戦など、お約束の見処は満載。設定は現代だが、TVシリーズ当時の昭和テイストに溢れ堪らなかった。二人とも70歳代になった。顔のシワは役者としてのキャリアの証。体のキレ、姿勢の良さには脱帽。老いたというよりは上手に歳を取った感が強い。おしゃれ、粋、軽妙でありながら、強い正義感を持った二人の活躍は爽快だった。二人の軽妙なやり取りは歳を重ねて円熟味を増している。
作り手が、観客にテーマ、メッセージを提起して、観客に考えさせるという作品が今の映画作りの主流だが、本作は観客が観たいものを作るという娯楽性重視の映画作りが明確であり、映画の娯楽性を再認識できる作品に仕上がっている。我々観客は、娯楽として楽しみたいから劇場に足を運ぶのである。娯楽性を重視した本作の作品コンセプトは映画作りの原点である。
人生100年時代であり、舘ひろし、柴田恭兵はまだまだ現役である。二人の創り出すショータイムをまたいつの日か観られることを期待したい。
> 本作は観客が観たいものを作るという娯楽性重視の映画作りが明確であり、映画の娯楽性を再認識できる作品に仕上がっている。
まさに!堅苦しくない「娯楽の映画」でした。十分楽しませてくれました。
考えさせる映画もいいけれど、こういうエンターテイメントに振り切った映画も必要。頭空っぽにして楽しみたい時もあるもの!