「懐かしさだけやなかった 「令和もあぶない刑事」」帰ってきた あぶない刑事 asukari-yさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしさだけやなかった 「令和もあぶない刑事」
前作から8年、個人的には有終の美を飾ったと思っていた。しかし燻ぶっていたのか、彼らは自分の年齢を鑑みずにスクリーンに帰ってきた。自分も“あぶ刑事ファン”の一人であり、「これは是非とも観なければ」と即座に思ったのだが、同時に
「正直大丈夫か?」と思った。
ポスターや事前情報の画像から漂う「老い」と「くすみ」。そらそうや。お互いもう古希を超え、後期高齢者の一歩手前。個人的に思う“あぶない刑事”とは、疾走感と重厚感とはっちゃけ感が混在するシリーズ。なのに2作前より老いを感じるシーンが目立ってきてさらに、なんですよ。これは成り立つのか?という不安も抱えつつ鑑賞したんですが・・・、
見事なブラッシュアップ!
いや正直驚きました。昔のような感じは残しつつ、「あれ、これは新しいな」と思うところも多い。その新しさは、主演の二人よりも、脇役のハマりの良さが大いに貢献しているかと。土屋太鳳の疾走する様、早乙女太一、岸谷五朗が織りなす重厚な雰囲気、そして舘ひろし、柴田恭兵がそもそも持っていたはっちゃけ感。今にして思えば脚本も各々が持つ魅力を上手く引き出したかのような展開。新しい風が古臭さを脱臭し、老いた二人がその風に乗って二人がさらに輝きを取り戻しているんです。ゆえに面白い!ちゃんと走るシーンもバイクでぶっ放すお決まりの展開あるし!
しかし、残念ポイントがあるのもたしか。特に気になるのはアクションシーンのお決まり感の明らかさ。お笑いシーンは別として、もうありえんやん、そんなんならんやんと思ってしまう展開がそこそこあり、特にクライマックスであった鼻にくる展開はもう少しならんかったか。そこは昭和やないんやし、あざとさやスマートさがもっと欲しかった。でもこれはこれであぶない刑事らしいのか。
それでも、最初の心配は杞憂に終わりました。まさかここまで面白かったとは。古参と新風が混ざり合った本作は「懐かしくも新しさを感じる良作」と思い、“あぶ刑事ファン”の自分は満足しました。
良かった。