「伊藤野枝と大杉栄、100年前の二人の生きざま。いつまでも語り継ぐべき物語。」風よ あらしよ 劇場版 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
伊藤野枝と大杉栄、100年前の二人の生きざま。いつまでも語り継ぐべき物語。
NHKで放送されたドラマを映画化したもの。伊藤野枝を吉高由里子が演じているとあって興味を持った。2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」でも主役。そして藤原 道兼役の玉置玲央がこの映画でも出てくる。
以前、韓国映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」も見た。いずれも史実に基づく映画であるが、この韓国映画の迫力・衝撃が忘れられず。いずれにしても、二つの物語を見て女性の抑圧された境遇と凄まじいまでの信念と生きざま、100年前の政治的圧力、弾圧、民衆の暴走の恐ろしさを感じた。
★ 女性解放運動に邁進する伊藤野枝(吉高由里子)の波乱の人生、力強い意思を持ち行動する女性の物語。そしてアナキスト大杉栄(永山瑛太)との出会い。ほぼ百年前の1923年の関東大震災で国家反逆思想で捉えられ1923年9月16日二人は殺害される。甘粕事件。
★ 韓国映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」2019年日本公開。朝鮮と日本で活動したアナキスト(無政府主義者)の朴烈(パクヨル)と、朴に共鳴した日本人女性アナキスト金子文子を描いた映画。関東大震災朝鮮人虐殺事件の中で捉えられ、裁判を経て無期懲役となる。金子文子は1926年7月23日獄中死する。朴烈は生き延び韓国に帰国1974年1月17日死去。韓国人俳優らが日本語・韓国語で演じている。Prime Video で見れる。
★ 伊藤野枝と大杉栄はあっさりと殺され、葬られる一方、金子文子らは日本人弁護士の惜しみない努力も実り裁判、恩赦もあり無期懲役に。しかし、朴烈を思い続け金子文子は3年後に死亡、しかし朴烈は50年後まで生き続ける。
★ 伊藤野枝・大杉栄の話は有名でよく取り上げられ、テレビ放映の劇場版であることで個人的には物足りなさもあった。でも、この話をあまり知らない人にはとても印象に残る展開であろう。
★ 配給は「太秦」。福田村事件も取り上げている会社。