「背筋が凍る」リトル・ワンダーズ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
背筋が凍る
うーむ。あまりに残念。
ひとつひとつのピースはすごくいい感じなのに、1枚の絵へと完成することはなく、バラバラの状態で終わっちゃったみたいな、そんな映画。良い映画にはなにが必要なのか、それをすごく考えさせられる。
ゲームをやるためにパイを作る!なーんてとっても可愛い話なのに、やることなすこと全然可愛くなくて、全然話に入り込めない。予告で抱いたワクワクはどこへ?これだと、子どもたちに犯罪を助長させる最低な映画じゃん!
まるでRPGをプレイしているかのようなアドベンチャーっぷりは最高にいい。16mmフィルムで撮影された映像と相まって、子どもの頃に夢中になったゲームの数々を思い出す。作中に登場する子どもたちもみんなゲームに夢中。お菓子を広げて、ジュースを飲んで、画面に釘付けになりながらコントローラーを動かす。うんうん、わかるよぉその感覚。ゲームが世界の中心に回ってる感じ、すっごい懐かしい。
演じている子たちもきっと家ではテレビと睨めっこ。じゃないとこんなハイテンションでいられない。みんな自然な素振りでとっても楽しそう。みんな大物になりそうな、そんな予感がします。
アイテムをゲットした時にさりげなく効果音が流れたり、スコープみたいなので標的を確認したり、至る所にRPG要素があって楽しい映画であることは間違いない。ただ、ゲームのような設定、そして16mmフィルムであるにも関わらず、急に現実的な描写が出てきたり、スマホやGPSといった近代技術を駆使してしまったりと、せっかくの要素が台無しでシンプルにアドベンチャーとして面白くないし、積み上げてきた高揚感が一気にぶち壊れる感じですっかり冷めてしまう。
魔女という設定も結局のところゲームという枠組みに囚われたが故に生まれたものであり、全くもって機能してないし、粗が多すぎて興味すら湧かない。ご都合主義な展開に持っていくがためのもの。まじで余計だし、なんならこのせいでツッコミどころが出てきてしまっている。
悪ガキッズが大暴れ!と謳っていたから、てっきりもっとポップで明るい雰囲気を想像していたら、ビックリするほど暗くて湿っぽい。しかもストーリーに起伏がなく、盛り上がるべきところで盛り上がれていない感じがどうももどかしい。めちゃくちゃ犯罪やるくせに全然ぶち上げてくれないし、そんなんだから普通にダメな事だから!と思わざるを得ない。ちょっとしたイタズラなら良かったのに、迷惑すぎる行動に嫌悪感。これだと可愛いで済まされないからね。ラストも終わりよければすべてよし!みたいな、ハッピーエンドな締めくくりをしているけど、うーん。これは受け入れられない...。
細かなところは大好きだからこそ、素材を生かしきれなかったのが悔しくて悲しい。撮る人が撮ればもっといい映画になったろうに。。。ザンネン。最近期待する映画が尽くコケてしまう。映画の神様よ、どうかわたしにお恵みを...。