「卵1個の価値も人それぞれ?」リトル・ワンダーズ カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
卵1個の価値も人それぞれ?
子供窃盗団(あえてそう言い切らせてもらう)が魔女率いる密猟グループから卵1個を取り返そうとするお話。
欧米の映画で時折り見かけるイースターのエッグハントをモチーフにした(多分)、キッズが主演の冒険映画で、魔女の子は差し詰めイースターラビットと言ったところか。(服も野うさぎっぽいし)
16mmフィルムの粗めの画像と言うこともあり、スマホを持ってなければ70年代映画のリマスター版かと思わせるほど最近では見られないトンデモストーリーで、昔の教育テレビあたりでやってそうな海外ドラマのようだった。
子供たちの全ての行動のモチベーションが「病気の母親」ではなく、ただ「ゲームがしたい」と言うこの1点のみで、薄情ではあるが何とも言えないこの子供らしさが本作の一番の面白ポイントになっており、鑑賞中に「この子たち何でこんなことしてるんだっけ?」と自問し「ああそう言えばゲームをしたいためだった」と自答することが何度もあったほど。
美しい自然の中で思いっきり遊んでくれることを望んでいる大人たちとは違い、田舎だろうが都会だろうが子供たちにとってはゲームで遊ぶことが彼らの人生において何よりも一番大事であると言う現実を極端に描き切った潔さが良かった。
ツッコミどころを山ほど残したままにもかかわらず、不思議と観終わった後の爽快感をしっかり覚えるのは、生意気だけど所詮子供と思わせるシーンを忘れずに描いていることも影響しているのかなと思うが、個人的には親目線でホームビデオのように終始目を細めながら観てしまった。
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